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開花
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縦縞のスーツの男は、明らかにそのスジの者と分かるいでたちの男を中へ促した。
VIPルームの重厚な防音扉の中は、シャンデリアが煌びやかに照らされた豪勢な接待室だった。
「飯島さん、結構いい具合に仕上がってますよ。あの坊や」
兄貴分に当たるその男に彼は頼まれた仕事の報告をすると、扉の脇に立っている店のオーナーの男へ手をあげ、接待の準備をするように指示した。
彼から預けられた男は見目の良さと飲み込みの良さからか、稼ぎ頭になってるという追加の報告もすると、満足そうに聞く飯島に媚びる様な視線を向けた。
「相変わらず、高坂のシノギの手際には不安はないな」
飯島は頷いてねぎらいの言葉をかけ、高坂と一緒にVIPルームの中へと入っていく。
店のボーイは間髪をいれずに、椅子に座る飯島へとグラスを差し出しタイミングを見計らいながら料理を並べていく。
そこへ先ほどの店のオーナーとおぼしき人物が部屋に戻って来た。
「飯島様、ご苦労様です。高坂さんが紹介してくれた子は、非常に稼いでくれて助かってますよ」
手にしていたシャンパンのボトルの栓をぽんっと引き開けて、オーナーは自らグラスへととくとくと注ぎ入れてもてなした。
「そうだな。是非とも彼の具合を見たいのだが、呼んでくれるかな」
ここは知る人ぞ知るSM倶楽部であり、ヤクザである桜星会の息がかかっている。
ここで稼いでいるということは、そういう意味での売り物になっているということである。
飯島がグラスに口をつけてから告げると、オーナーは間髪を置かずにフロントへと内線をかけた。
こういった対応は瞬時におこなわなくてはならない。
非合法な店であるが、警察などに通報がいかないのも裏組織と繋がりがあってのことである。
「呼び出しましたので、少しお待ちください」
ちらりと様子を窺いながら空になったグラスへシャンパンを注ぐオーナーに、高坂は満足そうに頷いた。
「躾ができてないと、後々困るのでね」
「しかし……育ててから、お引取りになるというのも珍しい話でびっくりしましたよ。高坂さん」
「アレは元々は先の買い取り先があるモノなんでね。しっかりと躾けてくれないと困る」
オーナーの言葉に高坂は答えず、代わりに横から飯島がグラスを傾けながら機嫌良さそうに答えた。
「失礼いたします……」
全裸に首輪を嵌めた格好で、犬のようにボーイに鎖を轢かれてやってきた若い男の姿を、飯島は推し量るように顎をしゃくって見つめた。
欲情しきった体は媚薬を飲まされたのか塗られたのかしたのだろう。
彼はのろのろと脚を引き摺って、既に呼吸を荒く繰り返して床に伏している。
震える肌は滲み出る汗に濡れ、股ぐらの狭間にある肉棒は張り詰めてらてらと照らされた光に反射している。
「……ほう。これが新しいマゾ犬かい」
僅かに開いた太股からたらたらと粘液を滴らせていて、だらしのない姿を晒している姿を眺めて、飯島はちろりと舌で唇を舐めた。
高坂を通じて彼の躾をこの店へ頼んだというのに、飯島は彼を見るのは初めてだという様子だった。
足元に臥して荒い呼吸を繰り返す彼の顎先を摘んで、確認するかのように無理矢理顔を上げさせた。
男らしく整っているであろう顔立ちも打ち消すほど、目はとろんとしていて焦点が合っていない。
熱に上気した表情で、閉じることができないのか、開き切った唇からは唾液が滴り落ちていた。
VIPルームの重厚な防音扉の中は、シャンデリアが煌びやかに照らされた豪勢な接待室だった。
「飯島さん、結構いい具合に仕上がってますよ。あの坊や」
兄貴分に当たるその男に彼は頼まれた仕事の報告をすると、扉の脇に立っている店のオーナーの男へ手をあげ、接待の準備をするように指示した。
彼から預けられた男は見目の良さと飲み込みの良さからか、稼ぎ頭になってるという追加の報告もすると、満足そうに聞く飯島に媚びる様な視線を向けた。
「相変わらず、高坂のシノギの手際には不安はないな」
飯島は頷いてねぎらいの言葉をかけ、高坂と一緒にVIPルームの中へと入っていく。
店のボーイは間髪をいれずに、椅子に座る飯島へとグラスを差し出しタイミングを見計らいながら料理を並べていく。
そこへ先ほどの店のオーナーとおぼしき人物が部屋に戻って来た。
「飯島様、ご苦労様です。高坂さんが紹介してくれた子は、非常に稼いでくれて助かってますよ」
手にしていたシャンパンのボトルの栓をぽんっと引き開けて、オーナーは自らグラスへととくとくと注ぎ入れてもてなした。
「そうだな。是非とも彼の具合を見たいのだが、呼んでくれるかな」
ここは知る人ぞ知るSM倶楽部であり、ヤクザである桜星会の息がかかっている。
ここで稼いでいるということは、そういう意味での売り物になっているということである。
飯島がグラスに口をつけてから告げると、オーナーは間髪を置かずにフロントへと内線をかけた。
こういった対応は瞬時におこなわなくてはならない。
非合法な店であるが、警察などに通報がいかないのも裏組織と繋がりがあってのことである。
「呼び出しましたので、少しお待ちください」
ちらりと様子を窺いながら空になったグラスへシャンパンを注ぐオーナーに、高坂は満足そうに頷いた。
「躾ができてないと、後々困るのでね」
「しかし……育ててから、お引取りになるというのも珍しい話でびっくりしましたよ。高坂さん」
「アレは元々は先の買い取り先があるモノなんでね。しっかりと躾けてくれないと困る」
オーナーの言葉に高坂は答えず、代わりに横から飯島がグラスを傾けながら機嫌良さそうに答えた。
「失礼いたします……」
全裸に首輪を嵌めた格好で、犬のようにボーイに鎖を轢かれてやってきた若い男の姿を、飯島は推し量るように顎をしゃくって見つめた。
欲情しきった体は媚薬を飲まされたのか塗られたのかしたのだろう。
彼はのろのろと脚を引き摺って、既に呼吸を荒く繰り返して床に伏している。
震える肌は滲み出る汗に濡れ、股ぐらの狭間にある肉棒は張り詰めてらてらと照らされた光に反射している。
「……ほう。これが新しいマゾ犬かい」
僅かに開いた太股からたらたらと粘液を滴らせていて、だらしのない姿を晒している姿を眺めて、飯島はちろりと舌で唇を舐めた。
高坂を通じて彼の躾をこの店へ頼んだというのに、飯島は彼を見るのは初めてだという様子だった。
足元に臥して荒い呼吸を繰り返す彼の顎先を摘んで、確認するかのように無理矢理顔を上げさせた。
男らしく整っているであろう顔立ちも打ち消すほど、目はとろんとしていて焦点が合っていない。
熱に上気した表情で、閉じることができないのか、開き切った唇からは唾液が滴り落ちていた。
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