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オレの表情を見て、余計なことを言ってしまったのかという表情を浮かべていたが、多分士龍にはオレの気持ちは半分も理解できていないだろう。
オレを助けない選択をしてくれた父親と名乗るあの男に、心から感謝しているのだ。
少し心配そうな表情で士龍はオレの顔を見て、携帯電話を取り出すと画面を押して電話を始める。
父親に状況報告をしているようだ。
日本語とドイツ語が微妙に混じっていて、オレには良く内容はわからなかった。
あえてわからないようにしていた、のかもしれない。
「わかった。たけおに代わるね……。たけお、電話で生きてるって報告して」
手渡された電話機をじっと見て耳に当てて、オレは席を立つと内容を聞かれないように窓際へと歩み寄った。
そして、あの男相手に何をゃべった方がいいのかと迷ってから声を出した。
「あ……まあ、生きてる」
『親を心配させて、それだけか。謝るなりなんなりあるだろう』
低くどもる声は、いつもよりも力がないのは、オレが死んだりして自分のところに警察などがくるのではと不安だったのだろう。
後ろで母親が号泣している声がする。
「……べつに、悪いことはしてねえよ。謝ることもない」
士龍から見せてもらった脅迫状とやらには、オレがクスリをやっているとか、あることないことが書かれていた。
『普段のおこないが悪いから疑われるんだ』
子供を信じることのできない、そして自分の病院しか守れない男とこれ以上は話す気はなかった。
「ああ、そうだな。悪かったよ。士龍が怪我をしている。ちゃんと治してくれ」
『わかっている。士龍には言ったが、オマエらのことは目をつぶるから、好きにしろ。もう何もいわん』
そういうとオレは通話を切って、不機嫌な顔のままでソファーに戻って士龍の手に返した。
士龍は心配そうな表情でオレを見たが、軽く首を振った。
あの男に助けてもらいたいだなんて思わなかったし、むしろ助けてくれなかったことに感謝してる。だから、何で助けてくれなかったんだなんて責める気もおきなかった。
助けてくれなかったから、士龍がきてくれた。オレを士龍のモノにしてくれた。
士龍をオレのモノにしたくて仕方がなかったのに、そっちの方が愛されているような気がして嬉しい。
ソファーに座りなおすと、ハセガワがオレを不思議そうに指さして士龍へと問いかける。
「シロはさ、この赤毛のドコがいーの?あんまり可愛くはないな」
「ちんこかな。エッチがうまい」
まあ、返ってきた答えにオレは嘆息するが、まったく嫌ではないのだ。そうなるように計画的に仕込んだし、そう言ってもらうのは男としては甲斐性を褒められていて嬉しいものだ。
「シロも、トールも最低な答えを平気でするよね」
日高が眉を寄せて綺麗な顔をくもらせる。
「え、最低かな?そこは、大事なとこじゃね?俺だって一緒だなあ。俺の場合はヤスの顔がすごく可愛いからだけど」
ハセガワがそう返すと、日高は少し顔を赤らめる。
やっぱりセックスを褒められて嫌な気がする男はいない。
「まあ、トールがオレの顔を好きだっていうのは、、昔から知ってたけどね」
「シロ、顔とか体がイイとかいうのは最低らしいぞ」
よく覚えておくんだぞと、ハセガワが少しお兄さんぶった口調で言うが、それは子どもの頃から同じだったのだろう。
体が好きだというのは最低だとして、その体を好きにならせようと、必死に士龍を抱いてきたオレも最低だと思う。
「まあ、普通に最低かもだけど……そう仕向けたし仕方ないっす。でも、士龍に気にいってもらえるのはすごく嬉しい」
素直にそう告げると、士龍はオレの手をぎゅうと握ってくる。
二人のギャラリーのことはすっかり頭から抜けてしまっているのだろう。
「さてと、俺らはこれからデートいくから、冷蔵庫のもん、好きに食って?寝室も使っていいぜ。俺ら朝まで帰らねえから。帰ってきたら送るし」
邪魔だと思っていたわけではないが、日高とハセガワが二人して立ち上がって外に出る服を用意し始める。
気を遣われているのかと恐縮したが、士龍は時計をみて時間を確認する。
「ああ、夜はデートだからって言ってたね。これから夜景とか?」
なるほど。もともとデートの予定があったようである。デート前にヤクザの事務所へかちこむ神経は尊敬に値する。
さすがにレジェンドをぶちたてている男である。
「駅前のSMホテル。ヤスの合格祝いに連れていく約束してたからよ。馬とかなんか檻とかなんかスゲエのあるらしいぞ。なんか面白そうだし、ヤスが行きたいらしいし」
ハセガワは恥ずかしげもなくそんなことを言うが、やはりレジェンドはセックスも一筋縄ではないようだ。
SMホテルだなんてレベルが違いすぎる。
まあ、これだけ綺麗な男相手だったら何をしても興奮するのかもしれないが。
「冷蔵庫のもんとか、寝室とか玩具とか好きに使っていいからな」
日高はにっこりと綺麗な顔で笑顔を作ると、ハセガワの腕を軽く組んで頬を肩にくっつけてご機嫌な様子で出て行った。
オレを助けない選択をしてくれた父親と名乗るあの男に、心から感謝しているのだ。
少し心配そうな表情で士龍はオレの顔を見て、携帯電話を取り出すと画面を押して電話を始める。
父親に状況報告をしているようだ。
日本語とドイツ語が微妙に混じっていて、オレには良く内容はわからなかった。
あえてわからないようにしていた、のかもしれない。
「わかった。たけおに代わるね……。たけお、電話で生きてるって報告して」
手渡された電話機をじっと見て耳に当てて、オレは席を立つと内容を聞かれないように窓際へと歩み寄った。
そして、あの男相手に何をゃべった方がいいのかと迷ってから声を出した。
「あ……まあ、生きてる」
『親を心配させて、それだけか。謝るなりなんなりあるだろう』
低くどもる声は、いつもよりも力がないのは、オレが死んだりして自分のところに警察などがくるのではと不安だったのだろう。
後ろで母親が号泣している声がする。
「……べつに、悪いことはしてねえよ。謝ることもない」
士龍から見せてもらった脅迫状とやらには、オレがクスリをやっているとか、あることないことが書かれていた。
『普段のおこないが悪いから疑われるんだ』
子供を信じることのできない、そして自分の病院しか守れない男とこれ以上は話す気はなかった。
「ああ、そうだな。悪かったよ。士龍が怪我をしている。ちゃんと治してくれ」
『わかっている。士龍には言ったが、オマエらのことは目をつぶるから、好きにしろ。もう何もいわん』
そういうとオレは通話を切って、不機嫌な顔のままでソファーに戻って士龍の手に返した。
士龍は心配そうな表情でオレを見たが、軽く首を振った。
あの男に助けてもらいたいだなんて思わなかったし、むしろ助けてくれなかったことに感謝してる。だから、何で助けてくれなかったんだなんて責める気もおきなかった。
助けてくれなかったから、士龍がきてくれた。オレを士龍のモノにしてくれた。
士龍をオレのモノにしたくて仕方がなかったのに、そっちの方が愛されているような気がして嬉しい。
ソファーに座りなおすと、ハセガワがオレを不思議そうに指さして士龍へと問いかける。
「シロはさ、この赤毛のドコがいーの?あんまり可愛くはないな」
「ちんこかな。エッチがうまい」
まあ、返ってきた答えにオレは嘆息するが、まったく嫌ではないのだ。そうなるように計画的に仕込んだし、そう言ってもらうのは男としては甲斐性を褒められていて嬉しいものだ。
「シロも、トールも最低な答えを平気でするよね」
日高が眉を寄せて綺麗な顔をくもらせる。
「え、最低かな?そこは、大事なとこじゃね?俺だって一緒だなあ。俺の場合はヤスの顔がすごく可愛いからだけど」
ハセガワがそう返すと、日高は少し顔を赤らめる。
やっぱりセックスを褒められて嫌な気がする男はいない。
「まあ、トールがオレの顔を好きだっていうのは、、昔から知ってたけどね」
「シロ、顔とか体がイイとかいうのは最低らしいぞ」
よく覚えておくんだぞと、ハセガワが少しお兄さんぶった口調で言うが、それは子どもの頃から同じだったのだろう。
体が好きだというのは最低だとして、その体を好きにならせようと、必死に士龍を抱いてきたオレも最低だと思う。
「まあ、普通に最低かもだけど……そう仕向けたし仕方ないっす。でも、士龍に気にいってもらえるのはすごく嬉しい」
素直にそう告げると、士龍はオレの手をぎゅうと握ってくる。
二人のギャラリーのことはすっかり頭から抜けてしまっているのだろう。
「さてと、俺らはこれからデートいくから、冷蔵庫のもん、好きに食って?寝室も使っていいぜ。俺ら朝まで帰らねえから。帰ってきたら送るし」
邪魔だと思っていたわけではないが、日高とハセガワが二人して立ち上がって外に出る服を用意し始める。
気を遣われているのかと恐縮したが、士龍は時計をみて時間を確認する。
「ああ、夜はデートだからって言ってたね。これから夜景とか?」
なるほど。もともとデートの予定があったようである。デート前にヤクザの事務所へかちこむ神経は尊敬に値する。
さすがにレジェンドをぶちたてている男である。
「駅前のSMホテル。ヤスの合格祝いに連れていく約束してたからよ。馬とかなんか檻とかなんかスゲエのあるらしいぞ。なんか面白そうだし、ヤスが行きたいらしいし」
ハセガワは恥ずかしげもなくそんなことを言うが、やはりレジェンドはセックスも一筋縄ではないようだ。
SMホテルだなんてレベルが違いすぎる。
まあ、これだけ綺麗な男相手だったら何をしても興奮するのかもしれないが。
「冷蔵庫のもんとか、寝室とか玩具とか好きに使っていいからな」
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