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後で片付けなきゃなと思うと、音を聞きつけたのか、寝室の扉が開いた。
士龍は着替えようとしてたのか、上半身は裸で下は俺のスエットを着ている。
胸元にはオレがつけたキスマークが激しく散っている。
あ、来てるの恋人て言っちまったな。
男だと知って、またいちゃもんつけられるかもしれない。
「たけお、誰か来てんの?」
士龍は寝ぼけた顔で、ゴシゴシ腕を顔を擦り付け、父親の顔を見て、驚いたように二度見した。
きっと、外国人だと思ってびっくりしたのかもしれない。
「あ、ワリィ煩くしちまって。起こしちまったな。えっと、こっちオレの……」
「Vati⁈…………Warum hier……(父さん、なんでいるの)」
「士龍……」
士龍が天使語を話す声と、父親の声が重なった。
「虎王、どういうことだ⁈」
焦った様子で、父親はオレの胸ぐらをぐいと掴む。
見た目よりは力が強いがやはり優男の力だし、オレを投げたりは出来ないだろう。
「だから、さっき恋人きてるッて言っただろ………………まあ、男だけど。そういうアンタこそ、士龍と知り合いなのか」
よく父もドイツに行くことが多いし、再婚する前はドイツに留学していたとかおふくろが言っていた。もしかしたら、そこで出会ってたのかもしれない。
オレの想像できたのはそこまでだった。
「何を言ってるか分かってるのか。……士龍は私の息子だ。オマエらは兄弟なんだぞ!…………それ以前に、お前たちは男同士じゃないか!すぐに別れなさい」
オレは二人の間に立って、思いも寄らない事実とその展開に口をあんぐりあけて二人を見返した。
確かに金髪だし、こうやって並んで見るとオレと父親より、士龍と父親の方が親子のように見える。
……マジで親子……かよ。
士龍が父親の元嫁の息子というなら、IQ140もある噂の天才児なんじゃないのか。
東高とかにいるわけがねえじゃねえか。
いろいろ辻褄があわないのに父親と並ぶと顔のパーツが似ていて、分かりたくはないが分かってしまう。
確実にオレと士龍のタネは一緒だ。そしたら………?
オレと士龍は……、き、きょうだい…………かよ。士龍がオレの兄だっていうのか。
激昂する父親以上に、オレは混乱して怒りにまかせて拳をテーブルの上に叩きつけた。
「知るかよ!どれが、アンタのタネとか、そうじゃねーとか、ちげえとかどうやったって、分かるかよ!ふざけんな!勝手に人の恋愛に口出してくんじゃねえ!」
「それが父親に対する態度か!」
父親が、オレ掌を振り上げるのを見て、咄嗟にオレ握っていた拳を父親の頭をめがけて繰り出す。
バッチン
激しい肉を叩く音が響く、が、痛みはない。
拳も柔らかな大きな手のひらで、そっと包みこまれる。
「士龍……」
父親の平手打ちを頬に受けながら、士龍はオレの拳をいつものように余裕で受け止めている。
全くオレの拳は効いてはいないようだ。
「とーちゃん、心配しないで。わかったよ…………大丈夫だよ、俺はたけおと、ちゃんと別れるから」
オレには見せたことのないような、穏やかな笑みを浮かべて立っていた。
「何言ってんだよ、…………士龍」
こいつは何を言ってんだ、なに、勝手なことを言ってんだ。
「たけおも、とーちゃん殴っちゃダメだぞ。朝飯用意すっから、とーちゃんも食べてッて」
いつもと変わらない口調で、のんびりと話す士龍の真意がまったく見えない。
「オレは別れないからな!」
必死で叫ぶと、士龍がオレの拳を握る手に少し力が入る。
いつもたたえている余裕な光がその目の中に見えなかった。
しばらく押し黙って、吹っ切るように頭を軽く横に振ると、士龍は今でにはないような冷たい視線を、オレに向けた。
「俺が終わりって言ったら終わりなんだ。わかれ。俺だって、弟とセックスはできねえよ」
士龍は着替えようとしてたのか、上半身は裸で下は俺のスエットを着ている。
胸元にはオレがつけたキスマークが激しく散っている。
あ、来てるの恋人て言っちまったな。
男だと知って、またいちゃもんつけられるかもしれない。
「たけお、誰か来てんの?」
士龍は寝ぼけた顔で、ゴシゴシ腕を顔を擦り付け、父親の顔を見て、驚いたように二度見した。
きっと、外国人だと思ってびっくりしたのかもしれない。
「あ、ワリィ煩くしちまって。起こしちまったな。えっと、こっちオレの……」
「Vati⁈…………Warum hier……(父さん、なんでいるの)」
「士龍……」
士龍が天使語を話す声と、父親の声が重なった。
「虎王、どういうことだ⁈」
焦った様子で、父親はオレの胸ぐらをぐいと掴む。
見た目よりは力が強いがやはり優男の力だし、オレを投げたりは出来ないだろう。
「だから、さっき恋人きてるッて言っただろ………………まあ、男だけど。そういうアンタこそ、士龍と知り合いなのか」
よく父もドイツに行くことが多いし、再婚する前はドイツに留学していたとかおふくろが言っていた。もしかしたら、そこで出会ってたのかもしれない。
オレの想像できたのはそこまでだった。
「何を言ってるか分かってるのか。……士龍は私の息子だ。オマエらは兄弟なんだぞ!…………それ以前に、お前たちは男同士じゃないか!すぐに別れなさい」
オレは二人の間に立って、思いも寄らない事実とその展開に口をあんぐりあけて二人を見返した。
確かに金髪だし、こうやって並んで見るとオレと父親より、士龍と父親の方が親子のように見える。
……マジで親子……かよ。
士龍が父親の元嫁の息子というなら、IQ140もある噂の天才児なんじゃないのか。
東高とかにいるわけがねえじゃねえか。
いろいろ辻褄があわないのに父親と並ぶと顔のパーツが似ていて、分かりたくはないが分かってしまう。
確実にオレと士龍のタネは一緒だ。そしたら………?
オレと士龍は……、き、きょうだい…………かよ。士龍がオレの兄だっていうのか。
激昂する父親以上に、オレは混乱して怒りにまかせて拳をテーブルの上に叩きつけた。
「知るかよ!どれが、アンタのタネとか、そうじゃねーとか、ちげえとかどうやったって、分かるかよ!ふざけんな!勝手に人の恋愛に口出してくんじゃねえ!」
「それが父親に対する態度か!」
父親が、オレ掌を振り上げるのを見て、咄嗟にオレ握っていた拳を父親の頭をめがけて繰り出す。
バッチン
激しい肉を叩く音が響く、が、痛みはない。
拳も柔らかな大きな手のひらで、そっと包みこまれる。
「士龍……」
父親の平手打ちを頬に受けながら、士龍はオレの拳をいつものように余裕で受け止めている。
全くオレの拳は効いてはいないようだ。
「とーちゃん、心配しないで。わかったよ…………大丈夫だよ、俺はたけおと、ちゃんと別れるから」
オレには見せたことのないような、穏やかな笑みを浮かべて立っていた。
「何言ってんだよ、…………士龍」
こいつは何を言ってんだ、なに、勝手なことを言ってんだ。
「たけおも、とーちゃん殴っちゃダメだぞ。朝飯用意すっから、とーちゃんも食べてッて」
いつもと変わらない口調で、のんびりと話す士龍の真意がまったく見えない。
「オレは別れないからな!」
必死で叫ぶと、士龍がオレの拳を握る手に少し力が入る。
いつもたたえている余裕な光がその目の中に見えなかった。
しばらく押し黙って、吹っ切るように頭を軽く横に振ると、士龍は今でにはないような冷たい視線を、オレに向けた。
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