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「タケちゃん、最近ボンヤリだな。なんかあった?」
教室でぼんやりと携帯アプリを眺めていると、元宮に声をかけられる。
元宮は幼馴染みで、数少ないオレの理解者である。
最初に東高にすげえ強くてカッコイイ人がいるって眞壁の話をもってきたのも、元宮だった。
「んー。ミヤさ、好きな人ができてさ。好きだと気づかなくて、イジメちまって嫌われちまってたら、……どうする」
「なんだよ、いきなり恋愛相談かよ」
元宮は意外だとブハハッと笑い、椅子を寄せて興味津々とばかりにオレの横に座った。
だいたい、元宮が眞壁に助けなんか求めたせいだとも思うのだが、恨み言は言わないでおく。
助けられたのは、確かだ。
「誠意みせるしかないんじゃない?優しくしてやるとか、プレゼントとかさ。で、可愛い子?」
「顔とかは…………かわいくは……ないけど」
顔は整っていて綺麗だとは思うが、そんなことよりも仕草ややることなすことのほうが可愛くて仕方がない。
「女の子は顔じゃないよな」
オレよりでかいし、力はあるし、強いし、虐めても平気な顔してるし、女の子でもない。
だけど、抱くと素直に気持ちいいとよがるし、泣くし、女の子より可愛い反応をする。
携帯のアプリを起動させて、ためらいがちに名前をタップする。
彼をもう二日くらい呼び出していない。
土曜日は朝飯が出来たよと優しく起こされて、ぼんやりしているうちに、まるで料亭旅館かと思うような和風料理が部屋に運ばれてきていた。
脅迫されてる相手に、あのおもてなしは違うだろと思ったのだが、あまりの美味さに賞賛しまくると、眞壁は照れながらも嬉しそうに笑っていた。
村澤さんや栗原さんと一緒にいる様子に嫉妬して、あの人を壊そうと思って抱いたのに、それもできずに愛しさばかりが募ってしまっている。
体だけでも堕としてやろうと始めたのに、こんな気持ちのままでズルズル続けていいのか迷っている。
「タケちゃんさ、好きだって言ったの?」
「言ってない」
「だよね。まず言わなきゃ、ダメじゃねえのか」
元宮はオレが気にしている携帯を眺めながら、真摯な表情でそう教えてくれる。
素直にそんなこと、言えるわけがない。
「…………言って、拒絶されたらイヤだ」
一度恋人になれと言って、拒絶されたのが今になって妙にこたえている。
脅迫の延長線だったからかもしれないが、あの時オレが好きだと答えていたら、何かが変わったのかもしれない。
だけど、あの時はイラつきの方が大きくて、まったく素直になんかなれなかった。
「誰だって拒絶はされたくないもんだけどね。…………とりあえず、デートにでも誘ったら?」
オレは元宮に言われるがまま、携帯に誘いを打ち込んだ。
【十六時に、駅前ショッピングモールの入口までこいよ】
と、入れて送るとしばらくらしてから、返事がくる。
【分かった】
いつもながら素っ気ない返事だなと思うが、奴にとっては脅されて相手してるだけなんだし、仕方がないだろう。
携帯をポケットにしまい、オレは机に突っ伏した。
教室でぼんやりと携帯アプリを眺めていると、元宮に声をかけられる。
元宮は幼馴染みで、数少ないオレの理解者である。
最初に東高にすげえ強くてカッコイイ人がいるって眞壁の話をもってきたのも、元宮だった。
「んー。ミヤさ、好きな人ができてさ。好きだと気づかなくて、イジメちまって嫌われちまってたら、……どうする」
「なんだよ、いきなり恋愛相談かよ」
元宮は意外だとブハハッと笑い、椅子を寄せて興味津々とばかりにオレの横に座った。
だいたい、元宮が眞壁に助けなんか求めたせいだとも思うのだが、恨み言は言わないでおく。
助けられたのは、確かだ。
「誠意みせるしかないんじゃない?優しくしてやるとか、プレゼントとかさ。で、可愛い子?」
「顔とかは…………かわいくは……ないけど」
顔は整っていて綺麗だとは思うが、そんなことよりも仕草ややることなすことのほうが可愛くて仕方がない。
「女の子は顔じゃないよな」
オレよりでかいし、力はあるし、強いし、虐めても平気な顔してるし、女の子でもない。
だけど、抱くと素直に気持ちいいとよがるし、泣くし、女の子より可愛い反応をする。
携帯のアプリを起動させて、ためらいがちに名前をタップする。
彼をもう二日くらい呼び出していない。
土曜日は朝飯が出来たよと優しく起こされて、ぼんやりしているうちに、まるで料亭旅館かと思うような和風料理が部屋に運ばれてきていた。
脅迫されてる相手に、あのおもてなしは違うだろと思ったのだが、あまりの美味さに賞賛しまくると、眞壁は照れながらも嬉しそうに笑っていた。
村澤さんや栗原さんと一緒にいる様子に嫉妬して、あの人を壊そうと思って抱いたのに、それもできずに愛しさばかりが募ってしまっている。
体だけでも堕としてやろうと始めたのに、こんな気持ちのままでズルズル続けていいのか迷っている。
「タケちゃんさ、好きだって言ったの?」
「言ってない」
「だよね。まず言わなきゃ、ダメじゃねえのか」
元宮はオレが気にしている携帯を眺めながら、真摯な表情でそう教えてくれる。
素直にそんなこと、言えるわけがない。
「…………言って、拒絶されたらイヤだ」
一度恋人になれと言って、拒絶されたのが今になって妙にこたえている。
脅迫の延長線だったからかもしれないが、あの時オレが好きだと答えていたら、何かが変わったのかもしれない。
だけど、あの時はイラつきの方が大きくて、まったく素直になんかなれなかった。
「誰だって拒絶はされたくないもんだけどね。…………とりあえず、デートにでも誘ったら?」
オレは元宮に言われるがまま、携帯に誘いを打ち込んだ。
【十六時に、駅前ショッピングモールの入口までこいよ】
と、入れて送るとしばらくらしてから、返事がくる。
【分かった】
いつもながら素っ気ない返事だなと思うが、奴にとっては脅されて相手してるだけなんだし、仕方がないだろう。
携帯をポケットにしまい、オレは机に突っ伏した。
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