竜攘虎搏 Side Tiger

怜悧(サトシ)

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「オマエがすぐヤりてえ、っていうから…………」
身体を攻略しようと思ってはいたが、これは身体だけでも、オレに完璧に落ちたってことか。
指をそのまま中に入れると、ローションが既に馴染んで肉が柔らかくなっている。くぱくぱと弄りながら首筋に舌を這わせる。
「トロトロだねえ。じゃあ、ありがたく食わせてもらうよ、士龍」
グッズ屋で買い求めた中から、シリコンのゴムを取り出して玉袋に通すとぎゅっと括った。
オレは眞壁を本気でぶっ壊すつもりできた。だけど、こんな可愛いことされちまうと、なんだか気が変わる。
少しは、オレも期待していいだろ?
「な、なに…………っ」
「ちんこでイかないようにね、袋を閉じただけ」
前立腺を指で探って、中指でくいくいとつつくように動かす。
「…………ッ……ふンンッ…………ッンッ」
身悶えするように背を反らして、熱が下半身に溜まるのが辛いのか、救いを求めるようにオレに腕を伸ばす。
「士龍、口開けて」
口を開かせて、舌先にクリップをとめてチクビにもバイブをつけたクリップをとめる。
指を含んだアナルの中がよろこんでいるのか、きゅうきゅうと肉で指を締め付ける。
袋からピンクローターを取り出して、奥まで埋め込み前立腺にあたるようにセットする。
「ン…………ふ、やらっあ、ッ……やあ、あ、ああ…………らあ」
クリップではさんだ舌先をはみだしながら、呂律がまわらなくなり唾液をたらしていやがる士龍が、かわいい。背後から抱き寄せると、ローターとバイブのスイッチを入れる。
「気持ちよくしてやってんだから、いやらしい体に正直になって乱れなよ、士龍」
耳元で囁くと、抱いた身体が更にカッと熱をもつ。
ぴくんぴくんと身体を震わせ、腰を切なそうに揺らしてたまらないように背筋を反らす。
「ひ……ら…………っひく…………やら……っひく……ううう……ひも……ひもひい…………っうふ…………ッ」
脚を開いて淫らに悶えながらローターの動きじゃ足りないとばかりに腰を突き出す。
どろどろに蕩けた緑の濡れた瞳で見返され、脚を大きく開かせてバイブの振動を強くする。
「もしかして、たんねえ?」
「ンンッっひく…………ッひ、おひ……おひんぽが……いい……ひっ、ンッ…………んあか、お、く、う……びゅぽびゅぽひて」
唾液を垂らしてねだるような、甘える舌たらずな言葉にたまらなく劣情が疼く。
ああ、そうだ。身体だけだとしても…………それでもいい。
オレはこの人を手に入れたい。
「士龍、いま、すげええろい顔してるのわかるか。なあ、もしかして、オレとエッチするの気に入った?脅迫されてんのに、気に入っちまった?」
 問いかけると、オレを熱っぽいすっかり蕩けきった目で見つめて、甘い吐息とともに口を開く。
「きも、ひ……いい……っ、きにひ……てる…………んんーッ」
「士龍はおどされてエッチしてるのに、気持ちくなっちゃう淫乱ちゃんなんだな」
 セックスが気に入っていると告げられて、素直な言葉に胸がきゅうと掴まれる。
 震える玩具を弱いところに押し付けて、ゆっくりと引き出すとからっぽにした肉の隙間に指をゆるゆると抜き差しする。
「ふッ…………ううう…んん………」
 バイブとローターで充分にぐずぐずになって、熱をもって膨らんだ胎内を意地悪くぬくぬくと弄り回して反応をうかがう。
 オレの焦らしに堪らないのか、視線が求めるようにオレを見返す。
「…………ッも、あ、あ、ちんぽ…………ほ、しい……っからッ」
「だれの?ねえ、呼んでよ、オレのこと」
 誰の体を求めているのか、はっきりと彼自身に刷り込んでしまいたかった。
 今、アンタが求めているのはオレなのだと、脳の中に刻み付けてしまいたかった。
「…………ッと、とみた…………くんの…………」
「違う。虎王だ。た、け、お、って呼んで」
「…………ッ、た、たけ、たけおの…………ちんぽ…………なかに、ほし…………ッい」
 下の名前を呼ばせるのは、何だかこそばゆいが呼ばれるだけで体が高揚してくる。
 いつも何に対しても余裕をかましている男が、必死にオレの体を求めているという事実が、体中の血を滾らせていく。
「可愛いな…………しろうの大好きなおちんぽやるよ」
「ヒッ……ッあひ、くう……あはあ……ひも、いい、ぎもぢ……ッひあ、う」
「ほら、大好きなちんぽで、何度でもメスイキさせてやるよ。なあ……ド淫乱の士龍先輩」
オレの身体の下で腰を揺らして艶かしい表情を浮かべている彼は、完全にオレの身体に溺れているようで、鼻を鳴らして素直に欲望を口にする。
東高一の強さを誇るオレが憧れた人を、自分で穢しておいて失望している。
失望してるのに、こんなにも執着している。
歪みすぎた愛情。こんなの、アンタには迷惑でしかない話だよな。
繋がったまま、心地よい締め付けを繰り返す胎内へと埋めたままその硬い体を抱き寄せる。
「…………ッん、ふ…………はあ、あは…………ッ」
涙で蕩けた緑の飴玉のような眸をざらりと舐めあげる。
やっぱりコンタクトは入っていないようだ。
きっとこの金髪も地毛に近いのだろう。
このままこの綺麗な目をくりぬいて閉じ込めてしまいたい。とか、猟奇的な気持ちすら芽生えてしまう。
「きもちいいの、士龍」
優しい口調を心がけて、くちゃくちゃと目ん玉を舐めながら問いかけると、唇から唾液を垂らして蕩けた顔で頷く。
「すげえ、美味しいぜ。最初からトロトロだからな」
鬱血してすごい色になっている袋からシリコンの紐を外すとらぴくんぴくんと軽く身を震わせ、ペニスから白い液を垂れ流す。
きゅうっと胎内が閉まるのに、俺は残滓を絞り出される感覚に、汗ばんだ眞壁の身体を抱き寄せる。
「…………ッんふ…………ひも、ひいい、たけ、お」
名前を呼ばれるのが嬉しくて、オレは眞壁の肩にかぶりついて歯型を残す。
こんなのは、ダメだと思う。
卑怯な手でこの身体を手に入れて、それでもいいって開き直ったのに踏み切れない。
多分、もう、眞壁の身体は堕ちているのに。
快楽に弱いからか、あんなに期待してオレをこんなに求めてくれているのに。踏み切れない。
何故かだなんて、オレだってわからない。
最初から、そんなつもりもなく犯してしまったことも、オレらしくない。
眞壁は快感に緩んだ表情のまま、オレの顔をぼんやりと眺めて頬をすりすりと擦りつけてくっつける。
 無意識でやっているのだろうか。なんて、可愛いのだろう。
 オレはその髪に手を置いて、その表情を穏やかな心地で見下ろす。
「……Ich …………dich(イッヒ ディル)」
また、天使語かよ。
普段の時にはなんとなく聞けなかった天使語のことを聞く。
「その言葉、なんだ。………………なあ、アンタよくダンケって言うけど、なんだ……寝ぼけていうのを、何回かきいた」
そう尋ねると、ハッと我に返ったように居心地悪そうな表情を浮かべてオレから視線を逸らした。
「あ……」
眞壁は迷うように視線を揺らした後で、オレを見返して少し考えてから口を開いた。
「……Dan、ke、schonは、ドイツ語で、ありが、とって……意味」
ありがとう、か。何度か聞いたタイミングを照らし合わせる。
今のイッヒディルって意味は、なんだろうか。聴いてみるかと顔を向けると、眞壁は身体をもぞつかせて、オレを見返す。
「な、なあ………俺…もっと…………ほしい…………たけお」
眞壁はいやらしく腰に堅いペニスを押し付けて、オレを誘った。

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