5 / 77
5
しおりを挟む
ハセガワに敵わないことくらい頭じゃ分かっていたが、眞壁に上から言われた気がして腹立って仕方がなかった。
去年は下にいたかもしれないが、今は対等な立場なはずだ。
ヤル気のない様子でいかにも面倒臭いけど話の相手してやろうっていう態度が鼻についた。
いつでも余裕綽々で、何よりそれが似合ってしまうし、タレ目のイケメンなのも、全部腹がたって仕方がない。
「タケちゃん、報復いくなら、俺たちもついていくぜ」
教室を飛び出して、オレたちのたまり場である体育倉庫に行くと、派閥のメンバーは教室の一件を耳にしたのか全員集まっていた。
幼馴染みの元宮はオレの様子を見て、落ち着かせるように肩を叩いてくる。
「金崎のヤツのケツ拭くのに、オマエらに危険な目ェあわすのもなァって……それも正論なンだけどさ」
「ナニヨ、士龍サンに感化されちゃった?」
元宮とは小学生の頃からの親友だ。眞壁の派閥にも一緒に入って、抜けて派閥を作る話をした時も、一番に賛成して一緒にいてくれた。
「バカ言えよ」
「士龍サンが一人でそういう喧嘩するの、俺たちイヤだったから抜けたんだろ?だから、オマエにもして欲しくない」
「別に感化なんかされてねえって……」
元宮の言葉になんだかちょっとイラッとして、手にしていた鉄パイプをギュッと握り直した。
眞壁は仲間を必要以上に大事にして、まったく必要としてなかった。何のための派閥なのか、オレにはわからなくなっていた。
「報復に行っても、潰されると思うンだ。それはわかってンだけど、このまま何もせずじゃあよ、悔しいだろォ」
「まぁ……東高の武闘派としちゃあ黙ってらんねえよな」
オレの心を読んだのか、元宮は言いたいことを先回りしてくれる。
「金崎が卑怯な手ェ使ったってのがなぁ……。そら、ダチを輪姦されたらなあ……今回はウチに非がありまくる」
相棒を性的なはけ口になんかされたなんて聞いたら、それは憤慨して潰そうとするのは普通だ。ハセガワには非などまるでない。
「タケちゃん。それな、今回は金崎が全面的に悪ィからな。有名な話だぜ、ハセガワと相棒がデキてるって」
「まさか、日高はすげえオンナったらしで有名だろ」
「北高じゃ有名な話だ。本人ら隠してねえみたいだしな」
金崎もその噂を聞いて利用しようと考えたのだろう。結局、地雷踏んで吹っ飛んだってわけだな。
恋人マワされたら、そら、命張っても相手潰すだろうな。
そうでなきゃ漢じゃねえ。
眞壁の言う通り、自分の派閥のことをちゃんと考えたら、ここで突っ込むのは危険なことは分かってる。
「タケちゃんは、なんでそんなに報復してえの?」
「何にもしねえなら、東がナメられンだろ」
「ハセガワにナメられても今更じゃねえか。何も手ェださないがいいと思うぞ、士龍サンが言うようにさ。北高とは元々縄張り争いもねえし、ハセガワだけじゃねえか……」
北高で喧嘩をするような奴はハセガワしかいないし、縄張り争いさえない。ハセガワだって、こっちが絡みにいかなければ、何をしてくるわけでもない。普通の進学校に通っているというのに、迷惑な話だろう。
元宮はオレの真意を探ろうとじっと見返してくる。
元宮もこの喧嘩に、勝機がないと思っているだろうことは分かるが、オレの意志を尊重しようとしてくれているのだろう。
「ミヤ、オマエらはついてくんな。その面目ってヤツくれーなら、オレ独りでなんとかすっから」
自分はされたくない癖に、自分がその立場になると単独行動をしてしまいたいと思ってしまう。
「ちょっと待てよ、マジでどこいくんだ。タケちゃん!俺らはついていくって」
元宮の制止を振り切ってオレは鉄パイプ片手に、駆け出した。
去年は下にいたかもしれないが、今は対等な立場なはずだ。
ヤル気のない様子でいかにも面倒臭いけど話の相手してやろうっていう態度が鼻についた。
いつでも余裕綽々で、何よりそれが似合ってしまうし、タレ目のイケメンなのも、全部腹がたって仕方がない。
「タケちゃん、報復いくなら、俺たちもついていくぜ」
教室を飛び出して、オレたちのたまり場である体育倉庫に行くと、派閥のメンバーは教室の一件を耳にしたのか全員集まっていた。
幼馴染みの元宮はオレの様子を見て、落ち着かせるように肩を叩いてくる。
「金崎のヤツのケツ拭くのに、オマエらに危険な目ェあわすのもなァって……それも正論なンだけどさ」
「ナニヨ、士龍サンに感化されちゃった?」
元宮とは小学生の頃からの親友だ。眞壁の派閥にも一緒に入って、抜けて派閥を作る話をした時も、一番に賛成して一緒にいてくれた。
「バカ言えよ」
「士龍サンが一人でそういう喧嘩するの、俺たちイヤだったから抜けたんだろ?だから、オマエにもして欲しくない」
「別に感化なんかされてねえって……」
元宮の言葉になんだかちょっとイラッとして、手にしていた鉄パイプをギュッと握り直した。
眞壁は仲間を必要以上に大事にして、まったく必要としてなかった。何のための派閥なのか、オレにはわからなくなっていた。
「報復に行っても、潰されると思うンだ。それはわかってンだけど、このまま何もせずじゃあよ、悔しいだろォ」
「まぁ……東高の武闘派としちゃあ黙ってらんねえよな」
オレの心を読んだのか、元宮は言いたいことを先回りしてくれる。
「金崎が卑怯な手ェ使ったってのがなぁ……。そら、ダチを輪姦されたらなあ……今回はウチに非がありまくる」
相棒を性的なはけ口になんかされたなんて聞いたら、それは憤慨して潰そうとするのは普通だ。ハセガワには非などまるでない。
「タケちゃん。それな、今回は金崎が全面的に悪ィからな。有名な話だぜ、ハセガワと相棒がデキてるって」
「まさか、日高はすげえオンナったらしで有名だろ」
「北高じゃ有名な話だ。本人ら隠してねえみたいだしな」
金崎もその噂を聞いて利用しようと考えたのだろう。結局、地雷踏んで吹っ飛んだってわけだな。
恋人マワされたら、そら、命張っても相手潰すだろうな。
そうでなきゃ漢じゃねえ。
眞壁の言う通り、自分の派閥のことをちゃんと考えたら、ここで突っ込むのは危険なことは分かってる。
「タケちゃんは、なんでそんなに報復してえの?」
「何にもしねえなら、東がナメられンだろ」
「ハセガワにナメられても今更じゃねえか。何も手ェださないがいいと思うぞ、士龍サンが言うようにさ。北高とは元々縄張り争いもねえし、ハセガワだけじゃねえか……」
北高で喧嘩をするような奴はハセガワしかいないし、縄張り争いさえない。ハセガワだって、こっちが絡みにいかなければ、何をしてくるわけでもない。普通の進学校に通っているというのに、迷惑な話だろう。
元宮はオレの真意を探ろうとじっと見返してくる。
元宮もこの喧嘩に、勝機がないと思っているだろうことは分かるが、オレの意志を尊重しようとしてくれているのだろう。
「ミヤ、オマエらはついてくんな。その面目ってヤツくれーなら、オレ独りでなんとかすっから」
自分はされたくない癖に、自分がその立場になると単独行動をしてしまいたいと思ってしまう。
「ちょっと待てよ、マジでどこいくんだ。タケちゃん!俺らはついていくって」
元宮の制止を振り切ってオレは鉄パイプ片手に、駆け出した。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
昭和から平成の性的イジメ
ポコたん
BL
バブル期に出てきたチーマーを舞台にしたイジメをテーマにした創作小説です。
内容は実際にあったとされる内容を小説にする為に色付けしています。私自身がチーマーだったり被害者だったわけではないので目撃者などに聞いた事を取り上げています。
実際に被害に遭われた方や目撃者の方がいましたら感想をお願いします。
全2話
チーマーとは
茶髪にしたりピアスをしたりしてゲームセンターやコンビニにグループ(チーム)でたむろしている不良少年。 [補説] 昭和末期から平成初期にかけて目立ち、通行人に因縁をつけて金銭を脅し取ることなどもあった。 東京渋谷センター街が発祥の地という。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
禁断の寮生活〜真面目な大学生×体育会系大学生の秘密〜
藤咲レン
BL
■あらすじ
異性はもちろん同性との経験も無いユウスケは、寮の隣部屋に入居した年下サッカー部のシュンに一目惚れ。それ以降、自分の欲求が抑えきれずに、やってはイケナイコトを何度も重ねてしまう。しかし、ある時、それがシュンにバレてしまい、真面目一筋のユウスケの生活は一変する・・・。
■登場人物
大城戸ユウスケ:20歳。日本でも学力が上位の大学の法学部に通う。2回生。ゲイで童貞。高校の頃にノンケのことを好きになり、それ以降は恋をしないように決めている。自身はスポーツが苦手、けどサカユニフェチ。奥手。
藤ヶ谷シュン:18歳。体育会サッカー部に所属する。ユウスケとは同じ寮で隣の部屋。ノンケ。家の事情で大学の寮に入ることができず、寮費の安い自治体の寮で生活している。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる