猛獣のツカイカタ

怜悧(サトシ)

文字の大きさ
上 下
12 / 23

12

しおりを挟む
「うふふ照れてるのね。もう、恥ずかしくないでしょ。ちゃんと手は洗ったから直に入れてみましょうか」
 カリッと耳朶に軽く歯をあてて、息を吹き込むようにして、工藤は手袋を外して長く形のよい指をゆっくりと奥まで押し込む。
「……ッく…っはァ……くっ、そ、ああ、ああ、やッ、は、や、やめ……ろッ……ッ」
 手袋を嵌めていたときよりも馴染む指の感覚に、工藤は容赦なくくいっと押し上げられ声を漏らす。
 顎先をあげ呼気を得ようと工藤が喘ぐと、串崎の慈しむような視線にぶつかる。
 まるで、大切なものを育てるかのように笑みを浮かべ、工藤の堅い髪に指を通して撫でる。
「奥がいいのでしょう。怖くないわよ。アタシの前では淫らに本能を出していいのよ」
 優しく誘うように聞こえる言葉に、身体は素直に反応して内部の指をぎゅうっと肉の圧迫で食い締める。
「……ッあ、く……ッああ…ッ、や、ああ…ッ」
「甲斐、覚えて。ここが貴方の悦い場所よ」
 前立腺とは異なる場所で、熱が溜まった一点をを捉えて指の腹で押し上げるようにくいくいとつつかれると、身体が硬直する。
「……ッひ、いい……ッひィああァ、アア……ッアアッううう」
 ビクンビクンと身を震わせ、目の前にハレーションが放射するように飛び散る。
 工藤は射精もできずに、何度も達しているのか、眉尻を下げて蕩けきった表情になる。
「甲斐、とても気持ち悦いでしょう。もう何も考えないでいいのよ」
 串崎はまだひくつく肉洞から指を引き抜いて、ゆっくりと少しグロテスクな張り型を取り出して、少し拓いた唇へと押し付けた。
「これを本物のおちんちんだと思って舐めて。これを嵌めて、もっと気持ちよくさせてあげる」
 指を抜かれて隙間が見える内側は震えを繰り返し、まだ足りないのだと訴えている。そっと頭を撫でて言い聞かせる串崎の言葉には嘘はない。
 工藤は押し付けられたシリコンのにおいのする、イボのついたディルドーを唇に挟んで咥内に含む。
「いいこね。口を開いて、舌を絡めてみて」
 耳元で囁かれて頭を撫でられ、言われるがままに舌を絡ませて嘗め回し、くぷくぷと指で隙間を撫で回されると奥まで含ませて欲しくて仕方がなくなる。
 鼻を鳴らして欲しくて脚を開いてしまう。
るで催眠に掛かったかのように、串崎の言葉に操られることに、工藤は心地よさすら覚えていた。
 ディルドを入れたり出したり繰り返し、唾液のついたそれをずるっと引き抜く。
「甲斐。すっごく美味しそうよ。ねえ、これどうしようか」
 くすっと嗤いながら、指をつっと引いて堪らない表情を浮かべる工藤の表情をを見下ろす。 
「……う……っく…ああ…おね……おねが、い……なか、いれて……くれよ」
 堪らず腰をあげてねだると、串崎は面白がるようにまあ可愛いと顔を撫で回し、ディルドの先っぽをひくつきを繰り返しているアナルへと押し付けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

Take On Me 2

マン太
BL
 大和と岳。二人の新たな生活が始まった三月末。新たな出会いもあり、色々ありながらも、賑やかな日々が過ぎていく。  そんな岳の元に、一本の電話が。それは、昔世話になったヤクザの古山からの呼び出しの電話だった。  岳は仕方なく会うことにするが…。 ※絡みの表現は控え目です。 ※「エブリスタ」、「小説家になろう」にも投稿しています。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

組長と俺の話

性癖詰め込みおばけ
BL
その名の通り、組長と主人公の話 え、主人公のキャラ変が激しい?誤字がある? ( ᵒ̴̶̷᷄꒳ᵒ̴̶̷᷅ )それはホントにごめんなさい 1日1話かけたらいいな〜(他人事) 面白かったら、是非コメントをお願いします!

ヤクザと捨て子

幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子 ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。 ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。

被虐趣味のオメガはドSなアルファ様にいじめられたい。

かとらり。
BL
 セシリオ・ド・ジューンはこの国で一番尊いとされる公爵家の末っ子だ。  オメガなのもあり、蝶よ花よと育てられ、何不自由なく育ったセシリオには悩みがあった。  それは……重度の被虐趣味だ。  虐げられたい、手ひどく抱かれたい…そう思うのに、自分の身分が高いのといつのまにかついてしまった高潔なイメージのせいで、被虐心を満たすことができない。  だれか、だれか僕を虐げてくれるドSはいないの…?  そう悩んでいたある日、セシリオは学舎の隅で見つけてしまった。  ご主人様と呼ぶべき、最高のドSを…

少年探偵は恥部を徹底的に調べあげられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜

羽村美海
恋愛
 古式ゆかしき華道の家元のお嬢様である美桜は、ある事情から、家をもりたてる駒となれるよう厳しく育てられてきた。  とうとうその日を迎え、見合いのため格式高い高級料亭の一室に赴いていた美桜は貞操の危機に見舞われる。  そこに現れた男により救われた美桜だったが、それがきっかけで思いがけない展開にーー  住む世界が違い、交わることのなかったはずの尊の不器用な優しさに触れ惹かれていく美桜の行き着く先は……? ✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦ ✧天澤美桜•20歳✧ 古式ゆかしき華道の家元の世間知らずな鳥籠のお嬢様 ✧九條 尊•30歳✧ 誰もが知るIT企業の経営者だが、実は裏社会の皇帝として畏れられている日本最大の極道組織泣く子も黙る極心会の若頭 ✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦ *西雲ササメ様より素敵な表紙をご提供頂きました✨ ※TL小説です。設定上強引な展開もあるので閲覧にはご注意ください。 ※設定や登場する人物、団体、グループの名称等全てフィクションです。 ※随時概要含め本文の改稿や修正等をしています。 ✧ ✧連載期間22.4.29〜22.7.7 ✧ ✧22.3.14 エブリスタ様にて先行公開✧ 【第15回らぶドロップス恋愛小説コンテスト一次選考通過作品です。コンテストの結果が出たので再公開しました。※エブリスタ様限定でヤス視点のSS公開中】

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...