猛獣のツカイカタ

怜悧(サトシ)

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「……てめえ……」
 手を伸ばして串崎は涼しげな目元を細めて、あやすような口調で工藤に問いかける。
「でも、いかせてほしいってちゃんと言えたから、ださせてあげる。どっちがしたいの?」
「……しょんべんの方だ」
「わかったわ」
 工藤の答えに満足した様子で、串崎はあらかじめ近くに置いておいたらしい尿瓶を手にして工藤のペニスを掴むと、尿瓶の淵に垂らしてやる。
「さあ、していいのよ」
 ニヤニヤとした表情で促すと、工藤が顔を真っ赤にしたままで、恥ずかしさにまだ用を足すことができずに震えている。
「見るな」
「いやよ、早くしないと片付けるわよ」
「……く、そ……」
 観念はするが、見られていることを意識したくないからか、工藤は目を伏せてじょろじょろと尿を尿瓶へと放つ。
 静かな部屋で響く水音が、ひどく淫靡に聞こえて、工藤はぐっと奥歯を噛み締めた。
「全部出たかしら。終わったらありがとうございます、っていうのよ」
「……言うか、ボケ」
 出し切って少しだけ調子を取り戻したが、串崎に尿瓶を頭の上に掲げられて息を呑む。
「掛けるわよ」
 串崎が有言実行のタイプなのは、ここのところの発言で十分理解していたので、工藤は慌ててしぶしぶと礼を口にした。
「ッ、……くそ、ありがとうございます」
「そうよ、いいこね」
 まるで犬にでもするかのように頭を撫でられて、工藤はむっつりしながら睨みあげる。
「撫でるな」
 串崎の行動に工藤は辟易した様子だったが、語調には昨日ほどの険はなく、反射的に罵倒してしまうといった様子である。
「じゃあ、昨日の続きしましょうか。うまくできたら、ご飯食べさせてあげる。餓死したくないでしょ」
 うまくできなかったら飯抜きだとあっさりと言う串崎は、言ったことを違えないだろう。
「……続きって……まだ、なんかさせるのか」
 昨晩の続きってことはあれ以上の何かをさせられるのだろうと、工藤は息を呑んで体をこわばらせる。
「あら、昨日のは最初の躾の方法のレクチャーよ。これからが本番じゃないの。昨日言ったでしょ」
「本番って……」
 聞くのは嫌だと本能は叫んでいたが、何も知らないままでいるのも実際にされた時には衝撃を受けすぎる。
 工藤はおそるおそる串崎を見上げる。
「まずは、ここを完全に使えるようにしなきゃ。昨日は指を入れただけでしょ」
 串崎は昨晩と同じようにゴムの手袋を嵌めてクリームを手にすると少しとってアナルの淵にぬりたくり、太いゴムポンプのついたシリンジを手にするとその先のチューブを工藤のアナルへと押しこんだ。
「……ま、て、何を入れて……んだ」
 ぐいっと脚を開かれ遠慮なく入ってくる異物に工藤は目を見開いて、激しく動揺する。昨日みたいな媚薬でまた乱すというのか。体力はもう底をついていて、同じことをされたら昨日のように抗う気力すら残っていない。
「ただのグリセリンよ。昨日は指で少し遊んだだけだけど、今日からは拡げたりするから、傷ついてばい菌が入ったら大変だし、綺麗にしなきゃ」
「拡げるって……てめぇ、俺もてめえみたいなカマにしようってのか、てめえと同じにするなよ」
「残念だけど、まだアタシはこっちは使ったことないわよ」
「どっちでもいい……ふざけんな」
変わらず啖呵を切る工藤の態度に、グリセリンの溶液をすべて注ぎこみながら串崎は言い聞かせるように工藤の耳元でつげる。
「そうね。昨日言ったでしょ、貴方のここはもうおまんこになるって」
「馬鹿言うな……」
「まだ分かってないのね。しょうがないわね」
 空になったシリンジの蓋を外して、瓶から液体を注ぎなおし、再び注ぎ込んでいくと下腹部がふくらみを帯びはじめる。
「くる……しい、腹……そんなに、いれンな」
 工藤はもがく様に腰をずらそうとするが、まったく動かすことすらできず、辛そうに呼吸を荒くするだけだった。
「甲斐。もうちょっとだけ入れたら、ちゃんと出させてあげるわ」
「も、むり……だ、やめッ、ろ……ッ」
 嫌がる工藤は頭を横に振り続けるが、逃れる術もなくシリンジの中身を注がれ、アナルプラグを嵌める頃には、荒い呼吸を繰り返したまま全身にびっしょりと汗を掻いて、蒼白な顔をしている。
「あと五分我慢しなさい。ね」
 串崎は堰きとめているプラグがびくびく震えるのを眺めながらほくそ笑んで、ぽこりと膨らんだ下腹部をマッサージするかのように撫で回した。
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