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第52話→sideH
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気がつくと脱がされたズボンはおざなりにだが着せられて、車の助手席で寝かされていた。
上着は面倒だったのか上に引っ掛かっているだけだ。
俺は痩せたといってもライよりはでけえし、重いから運ぶのも精一杯だったんだろう。
酷くしてほしいと願いを伝えたのは、本心だけど本当にしてくれるなんてライは本当に俺に甘い。
横目で見るとなんだか、不機嫌そうである。
最後まで射精させてもくれなかった。
酷いのを望んだのは俺だから、仕方がないけど身体がまだ燻っている。
擦り付けられた木の棘が刺さってるのか、亀頭も痛い。
「…………さっきよ…………トイレで誰かと会ったのか」
ハンドルを切りながら、ライは苛立ちを隠さずに俺に問いかける。
トイレ…………。
俺はようやく、上着のポケットに入れた水上の名刺が入っていないことに気がつく。
見られた……か。
ライの不機嫌な理由に思い当たると、俺は視線を逸らす。
「あ、ああ。さっき言ったろ?…………客に会った」
俺を調教した男に、会っちまった。
「そうか。もう一度会いたかったのか」
ライは少し汚れた名刺を座席の物入れから取り出して俺にちらりと見せる。
「そんなんじゃねえ」
「じゃあ、なんで捨てない?」
そんなの、オマエに捨てられたら頼るとこなんてないから保険にしただけだ、なんて言えねえか。
「返せ」
俺がすごんでみせると、ライは後でなと言って自分の胸ポケットに入れる。
「俺は……酷くするとか、SMとかよくわかんねえけどよ、オマエの望みかなえっから、ハルカ…………もうどこも行くな」
自信なさそうな不安そうな表情にぶつかる。
「はっ…………無理すんな」
そんな顔をさせたいわけじゃない。
なんで、わからないんだよ。
「無理じゃねえよ」
「…………バーカ。……今だって、はやくオマエに突っ込まれてえばかりしか考えてねえよ」
吐き出すように告げると、ライは俺をちらっと見やり頷いてスピードを加速した。
マンションに着いてからも、ライは無言で俺の腕をグイグイ引いていく。
怒っているのとはまた違う、どこか苛立ちを含んだ表情に俺は何も言えなくなっていた。
俺より少し低い身長だが、腕っ節もあったし俺とは違って頭が回るやつだったから、下のヤツらも俺よりもライを頼っていたように思う。
高校もライなら別のとこにいけたのに、なんで、離れなかったのか、ずっと不思議だった。
マンションに入って玄関で靴を脱ぐ。
まだ掴んだままのライの指先が肌にくい込んだままだ。
「をい、いーかげん、離せ。腕、いてえよ」
「……わりい」
「馬鹿力…………」
腕を離され箇所を見ると、軽く鬱血している。
力強すぎだろ。
「…………後悔してる。さっき、アイツについてけば良かった……」
ライの細い目がカッと見開かれた。
唇がわなわなと震えて、表情に怒りが垣間見れる。
あー、怒らせたなあと思うが、1度切った堰はとまらない。
ぶっ壊されたい。
ぶっ壊したい。
わけのわからない、被破壊願望。
何をどう言えば、ライの沸点に届くかは俺は知っていた。
「…………助けてなんてほしくなかった。何もわかんなくなっちまうくらいになれば……セックス三昧で幸せになれ…………ッグッ」
目の前が真っ暗になって、痛みが脳天に突き刺さり床に倒れる。
かはっかはっと咳き込み、見上げるとライは泣きながら俺の腹を殴りつける。
泣いてんなよ…………バカだな。
昔からずっと俺の後ばかり追ってきて、人生狂わせちまったのに、これ以上、オマエの負担になりたくねえよ。
だから、もう一度言う。
「…………助けてなんか、ほしくなかった」
上着は面倒だったのか上に引っ掛かっているだけだ。
俺は痩せたといってもライよりはでけえし、重いから運ぶのも精一杯だったんだろう。
酷くしてほしいと願いを伝えたのは、本心だけど本当にしてくれるなんてライは本当に俺に甘い。
横目で見るとなんだか、不機嫌そうである。
最後まで射精させてもくれなかった。
酷いのを望んだのは俺だから、仕方がないけど身体がまだ燻っている。
擦り付けられた木の棘が刺さってるのか、亀頭も痛い。
「…………さっきよ…………トイレで誰かと会ったのか」
ハンドルを切りながら、ライは苛立ちを隠さずに俺に問いかける。
トイレ…………。
俺はようやく、上着のポケットに入れた水上の名刺が入っていないことに気がつく。
見られた……か。
ライの不機嫌な理由に思い当たると、俺は視線を逸らす。
「あ、ああ。さっき言ったろ?…………客に会った」
俺を調教した男に、会っちまった。
「そうか。もう一度会いたかったのか」
ライは少し汚れた名刺を座席の物入れから取り出して俺にちらりと見せる。
「そんなんじゃねえ」
「じゃあ、なんで捨てない?」
そんなの、オマエに捨てられたら頼るとこなんてないから保険にしただけだ、なんて言えねえか。
「返せ」
俺がすごんでみせると、ライは後でなと言って自分の胸ポケットに入れる。
「俺は……酷くするとか、SMとかよくわかんねえけどよ、オマエの望みかなえっから、ハルカ…………もうどこも行くな」
自信なさそうな不安そうな表情にぶつかる。
「はっ…………無理すんな」
そんな顔をさせたいわけじゃない。
なんで、わからないんだよ。
「無理じゃねえよ」
「…………バーカ。……今だって、はやくオマエに突っ込まれてえばかりしか考えてねえよ」
吐き出すように告げると、ライは俺をちらっと見やり頷いてスピードを加速した。
マンションに着いてからも、ライは無言で俺の腕をグイグイ引いていく。
怒っているのとはまた違う、どこか苛立ちを含んだ表情に俺は何も言えなくなっていた。
俺より少し低い身長だが、腕っ節もあったし俺とは違って頭が回るやつだったから、下のヤツらも俺よりもライを頼っていたように思う。
高校もライなら別のとこにいけたのに、なんで、離れなかったのか、ずっと不思議だった。
マンションに入って玄関で靴を脱ぐ。
まだ掴んだままのライの指先が肌にくい込んだままだ。
「をい、いーかげん、離せ。腕、いてえよ」
「……わりい」
「馬鹿力…………」
腕を離され箇所を見ると、軽く鬱血している。
力強すぎだろ。
「…………後悔してる。さっき、アイツについてけば良かった……」
ライの細い目がカッと見開かれた。
唇がわなわなと震えて、表情に怒りが垣間見れる。
あー、怒らせたなあと思うが、1度切った堰はとまらない。
ぶっ壊されたい。
ぶっ壊したい。
わけのわからない、被破壊願望。
何をどう言えば、ライの沸点に届くかは俺は知っていた。
「…………助けてなんてほしくなかった。何もわかんなくなっちまうくらいになれば……セックス三昧で幸せになれ…………ッグッ」
目の前が真っ暗になって、痛みが脳天に突き刺さり床に倒れる。
かはっかはっと咳き込み、見上げるとライは泣きながら俺の腹を殴りつける。
泣いてんなよ…………バカだな。
昔からずっと俺の後ばかり追ってきて、人生狂わせちまったのに、これ以上、オマエの負担になりたくねえよ。
だから、もう一度言う。
「…………助けてなんか、ほしくなかった」
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