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色白だがしっかりとした体つきと滑らかな皮膚は、王子らしいなとか思いながらも、それを口にするほどの余裕もない。
「ーーん、ッふ……ッはあ、ッあ、ああッ、ふかッ……ッい」
身体の構造は分かっているとばかりに胎内をかき乱す動きにずっと翻弄されている。
自分のではないような甘ったるい声にも腹はたっているが、それなしではいられない疼きにも我慢の限界だ。
日本刀があるなら腹をかっさばいて死にたいが、鈍そうな剣しか与えられてない。
というより、既に頭をぶち抜かれてるはずなのだから、夢の中でハラキリしても変わりはしない。
「気持ちよさそうな声だな、サーガ。すっかり馴染んできている」
王子が囁きながらググッと腰を突き上げてくるのに合わせて、オレは内部に力を篭めることも覚えてきてしまっている。
「ーーッ」
どぐどくと王子に体液を注がれる感覚に、頭が酔ったようにぐらぐらする感覚を覚える。
「サーガ。このまま私の愛妾にしてしまいたいくらいだが、私にも政務があって、そうもいかないからね。明日からは別の者たちに任せることにする」
唇を寄せながら王子はオレの頭を何度も撫でる。
愛妾ね……。
頭がくらくらしたままで、なんの反論もできないが、どうやら明日からは家臣達に下げ渡されるのだろう。
「安心するがいい。みなパラディンの称号を得た、屈指の騎士たちだ。魔王討伐の際には、君とパーティを組ませて先陣をきらせるつもりだ」
パーティね。
結束を組ませるために先に乱交パーティってわけか。
「彼らは素晴らしい技の使い手たちだ、昼は技術を伝授してもらい、夜は君の世話をさせる……。私だけのモノにしてしまう気だったのだが、長老が許してはくれなかったのだ」
しおらしく項垂れる王子がなんとなく可愛く見えて、オレは抱き寄せて白金の綺麗な髪を撫でる。

「……足りねえよ。お前の時間が許す限り抱けよ」



普段は朝から鍛錬といって王子に連れ出されるのだが、朝から兵士に風呂に連れ込まれて夜伽の準備と同様に身体を洗われて、香油を塗りこまれている。
王子から下げ渡される準備かとは思ったが、昼間からそういう気分にはなれないのだ。
「王子を肉欲に溺れさせるとは……正室になって内側から王家を破滅させるつもりか」
「勇者ではなく、淫魔の使いよ」
分かっていないと思ってなのか、酷い罵倒を繰り返し吐き捨てられている。
ずりずりと身体の中に入ってくるのは、あの日打ち込まれた石の棒でしっかりと内側まで咥え込まされて脚が閉じられなくなる。
「勇者の技など会得せずとも、このまま贄として魔王に捧げればよい」
どうやら、王子の思惑とは別の方向でオレの身柄は扱われているらしい。
誓いとやらでこいつらを傷つけられない、暴れられないのが難儀だが、夢の中であろうと馬鹿にされるのは頭にくる。
「離宮に運ぶぞ。六英傑様たちがお待ちだ」
オレの衣服を簡単に着せて、ガラガラと台に載せたまま運び出す。
身体の真ん中に石が入っている感覚は、本当にきつくて息を継ぐのが苦しい。
行き着く先が乱交パーティなのは分かっているだけに、どうにか体力は温存したい。
「王子に、魔王を倒すと誓った……それじゃ不満か」
兵士に覚えた単語を駆使して語りかけるが、ちらと男はオレを眺めて鼻先で笑う。
「王子は、お前を娶りたいと仰せだ。淫紋の効果とも思うが、それでは傾国するのだ。だから老院がお前を鍛えるとの名の元に六英傑に預けることとした」
義務でしてくれていると考えていたが、王子は娶りたいとか、このおっさん相手に思っていたっていうことに、オレはまず驚いた。
「なら、構わねえかな」
隙を見て逃げ出すことも考えていたが、王子の心意気に完敗したのでそのまま運ばれていくことを決めて眠りについた。
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