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番外編:合コンに行こう!
3 side T
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駅の噴水の前で待ち合わせをしたのだが、士龍たちはまだやってこない。
女の子たちは、時間通りに集まっている。
普通は女を待たせるものではない。
特に合コンではご法度だ。
士龍からは、どうやら急に明日レポートの提出することになったとかで少し遅れると連絡がきた。
夜遅くまで遊んでから終わらせられるようはレポートではないらしい。
「たちばなぁ、ねえ。お兄さんたち、ちゃんとくるの?遅刻とかないんだけど」
リーダー各の茶髪のウエーブの女、名前は蔵元というのだが、文句をオレに投げてくる。
「蔵元。30分くらい待っててってことだからさ、あの店のアイスおごるから、食べて待ってようぜ」
ご機嫌とりに高級アイスの店を指さして、一緒にひき連れていく。
本当に女は面倒だ。
まあ、とっかえひっかえした過去もあるけど。
その時は別にそんな煩い女とは付き合わなかったしな。
全員に好みのフレーバのアイスをおごってやると、おいしいと声をあげて夢中になって食べている。
ちょろいなとか思ったりすると、女の反感を買うのだろう。
連れてくるメンバーのレポートも士龍が手伝っているようで、本当に士龍には申し訳ない。
アイスも食べ終わって、もう一度文句を言おうとしている蔵元に、今度は何でごまかそうかと、周囲を見回す。
食い物はもう釣れないよなあ。
視線を巡らせた先にある駅の改札から目立つ金髪が歩いてくるのがわかった。
助かった。
周囲の視線がいつものように士龍集まっていくのがわかる。
そしてここにいる女子たちも例外ではない。
「うわ、あの人、めちゃイケメン。すごい綺麗、海外のモデルかな」
「背も高いし。天然の金髪だわ。やばいね。え、まって、こっち向かってきてない?」
「わ、こっちに手を振ってるよ。どうしよ、もしかして逆ナンとかじゃない。医学部男子とどっちにしよう」
女子がきゃあきゃあとわめき始める。
奴が手を振ってるのはオレにだ。
決しててめえらにではない。
パタパタと駆け寄ってきた長身イケメンなオレの士龍は周囲も気にせずぎゅっと抱きついてくる。
「たけお!!いっぱい待たせてごめんね!!」
いつもながらふわっと良いにおいがする。
「ああ、オレこそごめん。忙しいのに」
くっつく士龍を名残惜しく思いながらゆっくり引きはがした。
女たちは、スキンシップ過多の士龍の行動にあんぐり口をあけている。
後ろに控えている爽やかそうな一群を見つけて、オレは近寄った。
これが士龍の大学の友達だろう。礼儀正しくした方がいいよな。
「すみません。橘虎王と申します。今日はありがとうございます」
頭を下げると、士龍のテンションに少し警戒していたような男たちはにこりと笑い返してくれた。
「ちょっと……このスキンシップ激しいイケメンがお兄さんなの?」
蔵元はオレの腕を引いて耳元でささやく。
「だから滅茶苦茶イケメンっつっただろ。つか、条件は守れよ」
よだれを垂らした肉食獣が牙をむいている。
絶対に士龍のことはオレが守らなくてはいけない。
「う……ここまでって思わないよ。橘がブラコンになる気持ちはわかる。わかるけど……」
「守れよ。暴れるぞ」
ギッとにらみつけると、がっかりした表情の蔵元はちぇっと舌打ちをしている。
医学部との合コンも捨てがたいのだろう。
「わかったわよ。まあでも、わたしは橘でもいいんだけどね」
おっぱいをオレの腕にわかりやすくこすりつけてくる。
いや、願い下げだといっただろう。
振りほどこうとした、その瞬間に視界に影が差す。
「ねえ、近いよ」
にっこりと笑った士龍は、蔵元が掴んでいるオレの腕を無理矢理引きはがして、オレの腕にからめる。
「え」
蔵元は、驚いた表情で士龍を見上げる。
「これは俺のだからね。あげない」
ふんわりとした表情のままでけん制すると、俺の腕をきっちりホールドしたままで、自分の仲間を女の子たちに紹介しはじめる。
いや。そうじゃないだろう。
オレも相当嫉妬深いのだけど。
そのまま士龍のホールドから逃れられず、女の子の視線も痛く居心地の悪いまま店に向かった。
女の子たちは、時間通りに集まっている。
普通は女を待たせるものではない。
特に合コンではご法度だ。
士龍からは、どうやら急に明日レポートの提出することになったとかで少し遅れると連絡がきた。
夜遅くまで遊んでから終わらせられるようはレポートではないらしい。
「たちばなぁ、ねえ。お兄さんたち、ちゃんとくるの?遅刻とかないんだけど」
リーダー各の茶髪のウエーブの女、名前は蔵元というのだが、文句をオレに投げてくる。
「蔵元。30分くらい待っててってことだからさ、あの店のアイスおごるから、食べて待ってようぜ」
ご機嫌とりに高級アイスの店を指さして、一緒にひき連れていく。
本当に女は面倒だ。
まあ、とっかえひっかえした過去もあるけど。
その時は別にそんな煩い女とは付き合わなかったしな。
全員に好みのフレーバのアイスをおごってやると、おいしいと声をあげて夢中になって食べている。
ちょろいなとか思ったりすると、女の反感を買うのだろう。
連れてくるメンバーのレポートも士龍が手伝っているようで、本当に士龍には申し訳ない。
アイスも食べ終わって、もう一度文句を言おうとしている蔵元に、今度は何でごまかそうかと、周囲を見回す。
食い物はもう釣れないよなあ。
視線を巡らせた先にある駅の改札から目立つ金髪が歩いてくるのがわかった。
助かった。
周囲の視線がいつものように士龍集まっていくのがわかる。
そしてここにいる女子たちも例外ではない。
「うわ、あの人、めちゃイケメン。すごい綺麗、海外のモデルかな」
「背も高いし。天然の金髪だわ。やばいね。え、まって、こっち向かってきてない?」
「わ、こっちに手を振ってるよ。どうしよ、もしかして逆ナンとかじゃない。医学部男子とどっちにしよう」
女子がきゃあきゃあとわめき始める。
奴が手を振ってるのはオレにだ。
決しててめえらにではない。
パタパタと駆け寄ってきた長身イケメンなオレの士龍は周囲も気にせずぎゅっと抱きついてくる。
「たけお!!いっぱい待たせてごめんね!!」
いつもながらふわっと良いにおいがする。
「ああ、オレこそごめん。忙しいのに」
くっつく士龍を名残惜しく思いながらゆっくり引きはがした。
女たちは、スキンシップ過多の士龍の行動にあんぐり口をあけている。
後ろに控えている爽やかそうな一群を見つけて、オレは近寄った。
これが士龍の大学の友達だろう。礼儀正しくした方がいいよな。
「すみません。橘虎王と申します。今日はありがとうございます」
頭を下げると、士龍のテンションに少し警戒していたような男たちはにこりと笑い返してくれた。
「ちょっと……このスキンシップ激しいイケメンがお兄さんなの?」
蔵元はオレの腕を引いて耳元でささやく。
「だから滅茶苦茶イケメンっつっただろ。つか、条件は守れよ」
よだれを垂らした肉食獣が牙をむいている。
絶対に士龍のことはオレが守らなくてはいけない。
「う……ここまでって思わないよ。橘がブラコンになる気持ちはわかる。わかるけど……」
「守れよ。暴れるぞ」
ギッとにらみつけると、がっかりした表情の蔵元はちぇっと舌打ちをしている。
医学部との合コンも捨てがたいのだろう。
「わかったわよ。まあでも、わたしは橘でもいいんだけどね」
おっぱいをオレの腕にわかりやすくこすりつけてくる。
いや、願い下げだといっただろう。
振りほどこうとした、その瞬間に視界に影が差す。
「ねえ、近いよ」
にっこりと笑った士龍は、蔵元が掴んでいるオレの腕を無理矢理引きはがして、オレの腕にからめる。
「え」
蔵元は、驚いた表情で士龍を見上げる。
「これは俺のだからね。あげない」
ふんわりとした表情のままでけん制すると、俺の腕をきっちりホールドしたままで、自分の仲間を女の子たちに紹介しはじめる。
いや。そうじゃないだろう。
オレも相当嫉妬深いのだけど。
そのまま士龍のホールドから逃れられず、女の子の視線も痛く居心地の悪いまま店に向かった。
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