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番外編:合コンに行こう!
2 side D
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どうしても断れなかったと、頭をさげて虎王が俺に頼んできたことは、俺の大学の友達と合コンを設定してほしいということだった。
女子に俺を紹介したいわけじゃないので、なるべくイケメンな友人で頼むといわれたが、さほど仲の良い友達はいない。
最初から入学生代表とかをしてしまったのでハードルがあがっているのかもしれない。
いや、背が高いし金髪だからっていうのもあるのかもしれない。
外人と思われているのかな。
まあ、仲良くなるにはいいチャンスかもしれないな。
一般教養でとった授業を終えると、4人で集まっているグループと思しき集団に俺は近寄った。
人懐っこさなら定評はある。
「こんにちわ」
「あ、こんちわ。えーと、まかべ、じゃない橘君、何か用?」
服はシンプルだが、ダサい感じはなく爽やかそうなおかっぱの黒髪の男はびっくりしたような顔で俺を見返した。
「えっと、俺。橘士龍、よろしくね」
「主席入学の人くらい、俺たち知ってるって。今更言わないでよ」
あははとそこまで情報疎くないよと、茶髪でピアスをした珍しい感じのスタイルのいい男は、人懐こく俺にわらいかける。
「そ、そう?いや、俺なかなか友達できなくって。弟に看護学校の子たちとの合コンのセッティング頼まれたんだけど……興味ないかな?」
問いかけると、あるあるとみな手をあげる。
この様子ではうまくいきそうだ。
「でも、意外だな。橘君って、合コンとか必要ないでしょ」
「あ、シロウでいいよ。うん。付き合ってる人いるから、必要ないんだけどさ、弟に頼まれちゃって」
俺はにっこり笑って、すぐ近くの椅子に腰をかけると、そうだよねと同意される。
「シロウ……君、彼女途切れなそう」
「わかる。そんなイメージ」
どんなイメージかはわからないが、彼らには俺が遊び人に見えるのだろう。
実際ピアスもしてるし。
目が緑だし、金髪だし。怖いって思われてたのかもしれない。
「そんなでもないよ。何か月もいなかった時もあるよ。結構振られるんだ」
「それもイメージじゃない」
「振られるんだ」
「うん。いつもね、イメージと違ったっていわれる」
俺の言葉にぶっはと笑って、そうかもそうかもとマッシュルームカットの男が笑う。
「俺は結城、よろしくね。シロウ」
手を伸ばしてくれたので、俺はそっと握って握手をする。
「俺は田山。そんでこっちが、瑞城と茂垣」
田山君と名乗ったおかっぱは、フレームの薄い眼鏡の男と天パーの丸眼鏡の男を指さして紹介してくれる。
茂垣君はどうやら少し俺を見ておびえているようだ。
「金髪、地毛なんだ。そんなに怖いやつじゃないんだけど」
「シロウは、ハーフ?」
結城君は俺の髪の毛に、手を伸ばして軽くつまむ。
「えっとね、4分の1、クォーターだよ」
返答すると、結城君は4分の1でも結構出るもんなんだねって面白そうに眺めている。
隔世遺伝だから、ハーフよりも出やすいはずなのだけど、虎王を見るとそういうものでもないのかもしれないと思う。
「ミドルネームとかないの」
「ないよー。普通に日本人名だけだって」
笑って返すが、茂垣君はおびえたままである。
不思議に思って顔を見つめると、少し下がって俺の顔をまじまじと見て、
「僕、〇×市の一高に通ってたんです……」
「あ、俺もおんなじ、〇×市だよ」
地元仲間と思ってうれしくなって、俺は茂垣君にぎゅっと抱き着く。
なんだかカタカタと震えているが、まだ秋なのだが寒いのだろうか。
「え、ええと……。だって、東高の……眞壁さん……ですよね」
「そう!!え、俺のこと知ってるの。一高かあ、じゃあ司、加藤司のこと知ってるか」
予備校の時に一緒に勉強した司のことを思い出した。
東〇大学の理Ⅱに受かったっていってたな。
かなり勉強してたしな。
「……風紀委員長ですか。知ってますよ、お知り合い?」
「同じ予備校だったんだ。都内行ったけど、元気かな」
懐かしくなって呟くと、不思議そうな茂垣君の顔にぶつかる。
「だって、眞壁君って……東高の番長ですよね……?」
ほかの人に聞かれないように気をつかってか小さな声で聴く。
この人はとてもいいやつだろう。
ああ、高校時代の喧嘩し放題の俺のことを知ってておびえてるのかと、俺はようやく気付いて元気よくうんと頷いた。
「番長とか、呼び方カッコ悪いけどね。そう呼ばれてたことも、あったかも……なんかごめんね」
このまま怯えられてしまうかなと思って、体を離して顔を覗き込むと首を横に振る。
「僕こそ、なんかごめんね。悪い人には全然見えないのに」
謝られて、俺はなんといっていいのかわからない顔をすると、結城君が俺たちの顔をみて唇を尖らせる。
「地元ネタで盛り上がらないでー、俺ら置いてけぼりにしないでね」
ぽんぽんと肩をたたかれて、これから友達になってもらおうと決意を新たにした。
女子に俺を紹介したいわけじゃないので、なるべくイケメンな友人で頼むといわれたが、さほど仲の良い友達はいない。
最初から入学生代表とかをしてしまったのでハードルがあがっているのかもしれない。
いや、背が高いし金髪だからっていうのもあるのかもしれない。
外人と思われているのかな。
まあ、仲良くなるにはいいチャンスかもしれないな。
一般教養でとった授業を終えると、4人で集まっているグループと思しき集団に俺は近寄った。
人懐っこさなら定評はある。
「こんにちわ」
「あ、こんちわ。えーと、まかべ、じゃない橘君、何か用?」
服はシンプルだが、ダサい感じはなく爽やかそうなおかっぱの黒髪の男はびっくりしたような顔で俺を見返した。
「えっと、俺。橘士龍、よろしくね」
「主席入学の人くらい、俺たち知ってるって。今更言わないでよ」
あははとそこまで情報疎くないよと、茶髪でピアスをした珍しい感じのスタイルのいい男は、人懐こく俺にわらいかける。
「そ、そう?いや、俺なかなか友達できなくって。弟に看護学校の子たちとの合コンのセッティング頼まれたんだけど……興味ないかな?」
問いかけると、あるあるとみな手をあげる。
この様子ではうまくいきそうだ。
「でも、意外だな。橘君って、合コンとか必要ないでしょ」
「あ、シロウでいいよ。うん。付き合ってる人いるから、必要ないんだけどさ、弟に頼まれちゃって」
俺はにっこり笑って、すぐ近くの椅子に腰をかけると、そうだよねと同意される。
「シロウ……君、彼女途切れなそう」
「わかる。そんなイメージ」
どんなイメージかはわからないが、彼らには俺が遊び人に見えるのだろう。
実際ピアスもしてるし。
目が緑だし、金髪だし。怖いって思われてたのかもしれない。
「そんなでもないよ。何か月もいなかった時もあるよ。結構振られるんだ」
「それもイメージじゃない」
「振られるんだ」
「うん。いつもね、イメージと違ったっていわれる」
俺の言葉にぶっはと笑って、そうかもそうかもとマッシュルームカットの男が笑う。
「俺は結城、よろしくね。シロウ」
手を伸ばしてくれたので、俺はそっと握って握手をする。
「俺は田山。そんでこっちが、瑞城と茂垣」
田山君と名乗ったおかっぱは、フレームの薄い眼鏡の男と天パーの丸眼鏡の男を指さして紹介してくれる。
茂垣君はどうやら少し俺を見ておびえているようだ。
「金髪、地毛なんだ。そんなに怖いやつじゃないんだけど」
「シロウは、ハーフ?」
結城君は俺の髪の毛に、手を伸ばして軽くつまむ。
「えっとね、4分の1、クォーターだよ」
返答すると、結城君は4分の1でも結構出るもんなんだねって面白そうに眺めている。
隔世遺伝だから、ハーフよりも出やすいはずなのだけど、虎王を見るとそういうものでもないのかもしれないと思う。
「ミドルネームとかないの」
「ないよー。普通に日本人名だけだって」
笑って返すが、茂垣君はおびえたままである。
不思議に思って顔を見つめると、少し下がって俺の顔をまじまじと見て、
「僕、〇×市の一高に通ってたんです……」
「あ、俺もおんなじ、〇×市だよ」
地元仲間と思ってうれしくなって、俺は茂垣君にぎゅっと抱き着く。
なんだかカタカタと震えているが、まだ秋なのだが寒いのだろうか。
「え、ええと……。だって、東高の……眞壁さん……ですよね」
「そう!!え、俺のこと知ってるの。一高かあ、じゃあ司、加藤司のこと知ってるか」
予備校の時に一緒に勉強した司のことを思い出した。
東〇大学の理Ⅱに受かったっていってたな。
かなり勉強してたしな。
「……風紀委員長ですか。知ってますよ、お知り合い?」
「同じ予備校だったんだ。都内行ったけど、元気かな」
懐かしくなって呟くと、不思議そうな茂垣君の顔にぶつかる。
「だって、眞壁君って……東高の番長ですよね……?」
ほかの人に聞かれないように気をつかってか小さな声で聴く。
この人はとてもいいやつだろう。
ああ、高校時代の喧嘩し放題の俺のことを知ってておびえてるのかと、俺はようやく気付いて元気よくうんと頷いた。
「番長とか、呼び方カッコ悪いけどね。そう呼ばれてたことも、あったかも……なんかごめんね」
このまま怯えられてしまうかなと思って、体を離して顔を覗き込むと首を横に振る。
「僕こそ、なんかごめんね。悪い人には全然見えないのに」
謝られて、俺はなんといっていいのかわからない顔をすると、結城君が俺たちの顔をみて唇を尖らせる。
「地元ネタで盛り上がらないでー、俺ら置いてけぼりにしないでね」
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