竜攘虎搏 Side Dragon

怜悧(サトシ)

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番外編:衆人環視

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「は、何考えてんの」
呆れた表情を浮かべて虎王は俺の顔をじっと見返す。
年が明けたが、受験勉強ばかりでどうも欲求不満とストレスが溜まっている。ついでに、色々溜まっている。
男だからね、仕方ないよね。自慰とか面倒だし、ほっといたら溜まるんだよ。貯金と違って溜まり過ぎるとムラムラが収まらなくなる。
「だから……すっげえエロいことしたい」
「……ってもなあ、こんな真冬に公園とか行ったら、試験前なのに風邪ひくだろ」
優しく諭してくれる虎王は、本当に気遣いのたまもので、普通に嬉しいのだが今俺が欲しいのはそれじゃない。
「……だめ?」
ちょっとキモいかもしれないが、首を傾げて問いかけると、ギリギリと奥歯を噛んで虎王も眉を寄せる。
怒ったのか。
たまには我儘いってみたのだが、まずかったかな。
夏に公園でいたした夜の青姦が気持ち良すぎて、もう一度したいとねだってみたのだ。
「……人がいりゃいいのか」
不機嫌そうな面をして、虎王は俺の顎先を掴んで問いかける。
「怒るなら、別にしねえでいいし」
「怒ってはいねえけど……、ちょっとエッチいシュチュエーション考えるけど……とりあえず、さみいからここに人呼ぶよ」
はーっとため息をつく虎王は、ノリ気なのか怒っているのかイマイチ判断出来ず、俺は頷いた。

虎王のマンションだが、ここに人を呼ぶ気なのだろうか。
スマホで何やら連絡をしている後ろ姿を見る眺めて、自分で言い出したのに不安になっている。
公園なら知らない奴らだろうし、後には響かないだろうけど、虎王の知り合いなら自分の知り合いの可能性もあり、何だか落ち着かない。
なんだか、やっぱし止めようとか言えないし。
などと柄にもなく怖じ気づいていると、通話を切って虎王がこちらに戻ってくる。
「……呼んだけど」
「知ってる人か?」
「まあ、オレあんまし顔は広くないし、自分が呼んで来てくれる人なんて限られてるだろ」
言い方に棘を感じるので、やっぱりあまり機嫌は良くないなと思う。
ちらっと携帯を眺める様子に、やっぱり知り合いなのかと迷いが生じる。確かに、あまり羞恥心はないが、知り合いなのはやはり少し躊躇いがある。
「……あのさ、たけお。やっぱナシとか、あり?謝るからさ」
聞き返すと軽く眉をあげて、ぐいと背中に腕を回されて抱き寄せられる。
「駄目。バカなこともう言わないように、ちゃんと言葉に責任とらせないとな」
前言撤回は不可能なようで、横に首を振られて身体を離される。
「あと10分でくるから、とりあえず裸になりなよ」
自分から頼んだので、やっぱりヤダとは言えずに俺はソファーから立ち上がると上着とシャツを脱いで、ズボンのベルトに手をかける。
イヤだとは思っていても、溜めに溜めた欲求にかすでに下半身は準備万端である。
からかわれるだろうな。
「やっぱり怒ってるんじゃねえか」
「まあ、オレだけのセックスじゃあ物足りないっていわれたわけだし……ちょっとはな」
「そういう意味じゃねえよ」
虎王はすっかり拗ねてしまっているようで、簡単には許しては貰えなそうだなと思い、諦めてズボンを脱いで全裸を晒した。
「嫌がる割には、びしょびしょじゃん」
思っていた通りに虎王にからかわれて、腕をとられて背中に回される。
「逃げないように紐で縛るな」
親指だけを合わせてぐるぐると拘束するが、痛くはないがそれだけで自由がきかない。
「逃げないし。……なんか、顔が怖えぇよ」
「怒ってるからな。あたりまえだろ。ほら士龍、体育座りして」
言われる通りにリビングのフロアに腰を落として、足を曲げて座る。
「後で痒くなるかもしれないけど、いいよね」
問いかけられて頷くと、膝を折った体勢のままガムテープで脛と太ももをぐるぐると巻き付ける。
「よし、じゃあそのまま床に腹ばいになってね」
背中をぐっと押し倒されて、尻を突き出すような格好にされる。
「ちょっ、と、くるしい」
「なかなかエッチな格好だぜ。見てみるか?」
虎王はニヤと笑いスマホを構えるとシャッターをきって、俺にその写真を見せた。
そこには、既に下半身を勃起させて拘束されて欲しがる顔をした俺が俺を見ていた。


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