竜攘虎搏 Side Dragon

怜悧(サトシ)

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番外編:歓びの歌を※Xmas

7【完】

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「綺麗にしてるのに、まだ勃てちまってるの」
呆れたような口調でからかわれて、身体を拭かれているのに、鼻を鳴らして頭をたけおの胸元にくっつける。いちいち言葉を返すのも体中が弛緩してしまってままならない。
「…………えっろい顔」
顎をとらえて唇を吸い上げるたけおの顔をぼんやり眺めて、あたたかいタオルで拭かれる心地良さに目を細める。
多幸感でいっぱいで口を開いてたけおの舌を受け入れる。幸せをたくさんくれる、まるでサンタさんだなとか思いながら、吸い返すように何度も唇を動かす。
「…………っ、たけ、お。めりー、くりすます」
頭が動かないから日本語を話すのは、難しくなる。
メリークリスマスは日本語でもなく、英語なのだけど日本語みたいなものになってる英語もたくさんある。
伝えたい気持ちが、うまく変換できなくなる。
「おお、メリクリ。すげえ可愛い。大好きだせ、士龍」
ぎゅうぎゅうど抱きつかれ、素肌が合わさるのが心地よくて目をつむる。
「……Frohe Weihnachten …… I wuensche Ihnen viel Glueck und alles Gute」
あたまがパッパラパーで、日本語がしゃべれないなあと思いながら見上げると、たけおは俺の頭を撫でてくれる。
「なんて言ったのか後で教えてよ」
気持ちが良すぎると日本語しゃべれなくなることは、前に話していたので、状況を分かってくれているのか、優しい顔で俺を覗きこむ。
眉間に皺を寄せない顔はホントにカッコイイなあと思う。
日本語にすると、どういう意味になるだろう。
「…………サンタへおねがい、した、んだ」
身体はまだ蕩けたままなので、たけおに身を預ける。
「お願いか……なんか、やっぱり可愛いなあ」
「……可愛いとか言い過ぎ……。たけおにたくさん幸せもらってるから、たけおに幸せがいっぱいくるように、お願いしたんだよ」
うまく伝えられたか分からず、視線をやるとギュッと強く抱き寄せられる。
あったけえな。
「アンタさあ、オレを殺しにかかってるのか。マジで心臓撃ち抜かれた。アンタが愛しくてたまんねえ」
少し大きくなった腕に巻き付かれて、俺が死にそうだ。
幸せすぎて、歓びが溢れてたまらない。
この幸せが、ずっと続きますようにと、俺は心から願った。

Frohe Weihnachten
俺はもう一度、たけおの耳元で願いを口にした。

【番外編 完】

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