竜攘虎搏 Side Dragon

怜悧(サトシ)

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番外編:家庭教師と勉強しよう

6【完】

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「は?それは気にしすぎだろ」
たけおが家庭教師の日には必ず同席すると言い出したので、あまりの心配加減に肩を聳やかす。
デスクでノートに書き込みをしている俺に、たけおは背もたれごと抱きしめてくる。
甘えている犬みたいで可愛い。
「大体な、俺になんかしようとするのはオマエくらいだ」
「そんなことねえし。小倉さんの例もあるし」
それを言われると二の句が告げなくなる。
確かにそんな特例もあった気もする。
すっかり忘れかけてたな。
思い出してテンションを下げると、たけおは気遣うように俺の顔に手を伸ばす。
「アンタは抜けてるし、お人好しだから心配なんだ。オレみたいなへタレ野郎でもつけ込めるくらいなんからな。それにさ……」
「ん?なんだよ」
引っかかるような言い方をするたけおを振り返ると、軽く頬をかく。
「キタラから聞いたんだけど、あのセンセイ男と付き合ってたらしい。金髪のイケメンだったって。別れたらしいけど」
「…………だから?心配?」
「身体はそんなにデカくないけど、ハセガワの弟だし……」
「だから、大丈夫だろ。あの兄弟は卑怯なことしないだろ」
「…………どうせオレは卑怯モンだし」
いじけたたけおの頭を手を伸ばして撫でる。
「俺が好きなのは、たけおだからいいんだ。お前の卑怯さのお陰でこうしてられるし」
「フォローになってねえよ」
ボヤくように唇を尖らせて不機嫌に眉の間に皺を刻みながらも、大人しく頭をなでられているたけおが可愛くて仕方がなく、頬にちゅっと唇をくっつける。
「お兄ちゃんはこれからお勉強するからな。終わるまで待っててよ。全裸待機でいいからね」
「元も子もねえお誘いだな」
ぷっと吹き出して機嫌を直したようにたけおは呟くと、身体を離して上着を脱ぐ。
「アンタも……はやく欲しけりゃ、さっさと勉強こなせよ」
その言葉に煽られて俺は問題集をいつもの三倍の速さで解いたのだった。
俺のやる気スイッチを押し方を心得てるのは、家庭教師より何よりたけおだけなのだと、実感した。

【【番外編】家庭教師と勉強しよう 完】
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