137 / 169
番外編:家庭教師と勉強しよう
2
しおりを挟む
「なあ、相談くらいないのかよ」
たけおは、私服で家に来てと言ったら出かけるのと勘違いしたようで、来て早々拗ねている。
ちゃんと細かい説明もメールすれば良かったのかもしれない。
「ごめん。セイ君、東の制服嫌いなんだって」
俺はセイ君に公式の使い方、応用をレクチャーされながら、文句をいいながらもコーヒをいれてくれるたけおに謝る。
「知ってる。キタラんちに行った時に聞いた」
たけおは、後輩でセイ君の弟の家に何度か行っている。
「セイ君改めて紹介するね。俺の腹違いの弟のたけお」
「ああ、それでタケちゃん先輩って、キタラが呼んでるんですね」
ちらと目を向け軽く頭を下げると、セイ君はどうでもいいかのように答え合わせしたプリントを俺に渡す。
プリントを見るとほとんどあっていたが、効率の悪い解き方に指摘が入っている。解き方まで追って確認してくれるのはありがたい。
「それより、国語がどうにかしたい」
「壊滅的ですよね。私立なら殆ど国語はないし、あっても帰国子女枠でどうにかなりそうなんだけど」
国立狙いの俺をちらちらと見ながら、セイ君は軽く息をつく。
「とーちゃんにはあまり負担かけたくないというかさ」
「跡継ぎいないんだし、カネくらい出すだろ」
跡継ぎを放棄した当のたけおは、気軽にいうが、俺は少しかっこつけたかった。
ちゃんとなるだけ自分でどうにかして、たけおを手に入れたかった。
奨学金も自分で払える金額で、なんとかしたいのだ。
「まあ、覚えは悪くないから大丈夫だと思いますが、てにをはの使い方がいまでも変です」
「て、に、を、は?」
「たとえば、国語がどうにかしたい、ではなく、国語をどうにかしたい、です。まあ、日本語話し始めてまだ8年でしたっけ。昔はドイツ語しか喋れなかったから、格段に進歩してますけど」
日本語は本当に難しい。
大学の入試をクリアするくらいにならなくては。
「これから毎日1冊本を読んで、感想をメールで僕に提出してくださいね」
これを貸しますと、セイ君は1冊の文庫本を俺に手渡した。
やはりセイ君の教え方は理にかなった方法で、思っていたよりも捗った。
夕食を出すとかなり嬉しそうに食べて行ったので、俺も満足していたのだが、たけおはかなり不満そうで、不機嫌なオーラが漂ってきている。
それでも、セイ君を家までバイクで送っていってくれたので感謝している。
こんな夜道を一人で帰して絡まれたら大変だし。
「たけお、これからデートするか?」
帰ってきたたけおが玄関に上がる前に、俺はその腕をぐいと掴んだ。
いつもより少しだけお洒落にしている様子なので、相当期待して来たのはわかる。
「あ?もう、夜遅せえぞ。ドコいくんだよ」
面倒臭いといったように、赤い髪をバリバリ掻き乱して俺を見上げる。
まあ、遊ぶには夏の夜は長いって話。
「公園、とか?」
「公園なあ。こんな夜になにすんだよ、花火とかか?ヤルなら買ってくるけどよ」
疲れた表情を浮かべるたけおの耳元に俺は唇を押し当てるように近づけて、
「ナニしようぜ。開放感あって、イイかも」
俺の言葉にたけおは驚いて見返し、目をしばたたかせる。
「……お兄ちゃん、アンタ、ソッチの花火あげたいのかよ」
たけおは俺の腰に腕を回して満更でもない表情を浮かべる。
暫く勉強漬けでたけおとはそういうことを、1週間はやってない。俺もそろそろ限界だったし。
「家でもいいんだけど、夏だしさあ。夏っぽいことしたいなあって」
「分かった。あーっと、近くじゃあヤベエから、少し遠出するぞ」
たけおは少し強く俺の腕を引いて外に出た。
たけおは、私服で家に来てと言ったら出かけるのと勘違いしたようで、来て早々拗ねている。
ちゃんと細かい説明もメールすれば良かったのかもしれない。
「ごめん。セイ君、東の制服嫌いなんだって」
俺はセイ君に公式の使い方、応用をレクチャーされながら、文句をいいながらもコーヒをいれてくれるたけおに謝る。
「知ってる。キタラんちに行った時に聞いた」
たけおは、後輩でセイ君の弟の家に何度か行っている。
「セイ君改めて紹介するね。俺の腹違いの弟のたけお」
「ああ、それでタケちゃん先輩って、キタラが呼んでるんですね」
ちらと目を向け軽く頭を下げると、セイ君はどうでもいいかのように答え合わせしたプリントを俺に渡す。
プリントを見るとほとんどあっていたが、効率の悪い解き方に指摘が入っている。解き方まで追って確認してくれるのはありがたい。
「それより、国語がどうにかしたい」
「壊滅的ですよね。私立なら殆ど国語はないし、あっても帰国子女枠でどうにかなりそうなんだけど」
国立狙いの俺をちらちらと見ながら、セイ君は軽く息をつく。
「とーちゃんにはあまり負担かけたくないというかさ」
「跡継ぎいないんだし、カネくらい出すだろ」
跡継ぎを放棄した当のたけおは、気軽にいうが、俺は少しかっこつけたかった。
ちゃんとなるだけ自分でどうにかして、たけおを手に入れたかった。
奨学金も自分で払える金額で、なんとかしたいのだ。
「まあ、覚えは悪くないから大丈夫だと思いますが、てにをはの使い方がいまでも変です」
「て、に、を、は?」
「たとえば、国語がどうにかしたい、ではなく、国語をどうにかしたい、です。まあ、日本語話し始めてまだ8年でしたっけ。昔はドイツ語しか喋れなかったから、格段に進歩してますけど」
日本語は本当に難しい。
大学の入試をクリアするくらいにならなくては。
「これから毎日1冊本を読んで、感想をメールで僕に提出してくださいね」
これを貸しますと、セイ君は1冊の文庫本を俺に手渡した。
やはりセイ君の教え方は理にかなった方法で、思っていたよりも捗った。
夕食を出すとかなり嬉しそうに食べて行ったので、俺も満足していたのだが、たけおはかなり不満そうで、不機嫌なオーラが漂ってきている。
それでも、セイ君を家までバイクで送っていってくれたので感謝している。
こんな夜道を一人で帰して絡まれたら大変だし。
「たけお、これからデートするか?」
帰ってきたたけおが玄関に上がる前に、俺はその腕をぐいと掴んだ。
いつもより少しだけお洒落にしている様子なので、相当期待して来たのはわかる。
「あ?もう、夜遅せえぞ。ドコいくんだよ」
面倒臭いといったように、赤い髪をバリバリ掻き乱して俺を見上げる。
まあ、遊ぶには夏の夜は長いって話。
「公園、とか?」
「公園なあ。こんな夜になにすんだよ、花火とかか?ヤルなら買ってくるけどよ」
疲れた表情を浮かべるたけおの耳元に俺は唇を押し当てるように近づけて、
「ナニしようぜ。開放感あって、イイかも」
俺の言葉にたけおは驚いて見返し、目をしばたたかせる。
「……お兄ちゃん、アンタ、ソッチの花火あげたいのかよ」
たけおは俺の腰に腕を回して満更でもない表情を浮かべる。
暫く勉強漬けでたけおとはそういうことを、1週間はやってない。俺もそろそろ限界だったし。
「家でもいいんだけど、夏だしさあ。夏っぽいことしたいなあって」
「分かった。あーっと、近くじゃあヤベエから、少し遠出するぞ」
たけおは少し強く俺の腕を引いて外に出た。
0
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
反抗期真っ只中のヤンキー中学生君が、トイレのない課外授業でお漏らしするよ
こじらせた処女
BL
3時間目のホームルームが学校外だということを聞いていなかった矢場健。2時間目の数学の延長で休み時間も爆睡をかまし、終わり側担任の斉藤に叩き起こされる形で公園に連れてこられてしまう。トイレに行きたかった(それもかなり)彼は、バックれるフリをして案内板に行き、トイレの場所を探すも、見つからず…?
俺たちの××
怜悧(サトシ)
BL
美形ドS×最強不良 幼馴染み ヤンキー受 男前受 ※R18
地元じゃ敵なしの幼馴染みコンビ。
ある日、最強と呼ばれている俺が普通に部屋でAV鑑賞をしていたら、殴られ、信頼していた相棒に監禁されるハメになったが……。
18R 高校生、不良受、拘束、監禁、鬼畜、SM、モブレあり
※は18R (注)はスカトロジーあり♡
表紙は藤岡さんより♡
■長谷川 東流(17歳)
182cm 78kg
脱色しすぎで灰色の髪の毛、硬めのツンツンヘア、切れ長のキツイツリ目。
喧嘩は強すぎて敵う相手はなし。進学校の北高に通ってはいるが、万年赤点。思考回路は単純、天然。
子供の頃から美少年だった康史を守るうちにいつの間にか地元の喧嘩王と呼ばれ、北高の鬼のハセガワと周囲では恐れられている。(アダ名はあまり呼ばれてないが鬼平)
■日高康史(18歳)
175cm 69kg
東流の相棒。赤茶色の天然パーマ、タレ目に泣きボクロ。かなりの美形で、東流が一緒にいないときはよくモデル事務所などにスカウトなどされるほど。
小さいころから一途に東流を思ってきたが、ついに爆発。
SM拘束物フェチ。
周りからはイケメン王子と呼ばれているが、脳内変態のため、いろいろかなり残念王子。
■野口誠士(18歳)
185cm 74kg
2人の親友。
角刈りで黒髪。無骨そうだが、基本軽い。
空手の国体選手。スポーツマンだがいろいろ寛容。
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので
こじらせた処女
BL
大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。
とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる