竜攘虎搏 Side Dragon

怜悧(サトシ)

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番外編:旅行に行こう

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「さっきのたけお、めっちゃカッコよかった」
ご機嫌に士龍はへらへらしながら、部屋で服を着替えると、虎王に背後から抱きつく。
「おい、オレが着替えらんねえだろ」
「サービスしよっか」
照れているのか、耳まで赤くする虎王に士龍はイタズラっぽく腕を下肢に下ろして股間を撫でる。
「これから夕飯ってんだろ。遅くなると皆を待たせちまうよ」
手で軽く悪戯な攻撃を払うと、肩をそびやかせて頭一つ高い士龍の顔を見上げる。
「けど、夜は覚えとけよ。歩けないくらいにしてやるからな」
「んじゃあ、期待しとく。まあ、さっきはトール君がマジで殴るとかないけど、でも嬉しかった」
「あれ、かなりマジな顔だったぞ」
「ウソ!?」
確かに海兵がわざわざ伝えてくれたことを言うのを忘れたのはまずかった。
本当に康史が溺れて危なかったらしいのだ。
もし彼に何かあったら、殴るだけでは済まされ無かっただろう。
「代わりに殴れとか、本当に愛されてるなあ、俺」
「いつも、アンタがやってることだろ」
ついと目を逸らして、カードキーをテーブルから取り上げると、
「おら、メシ食いにいくぞ」
ぐいと腕を引く虎王について、士龍は頷いてラウンジへと向かった。


「おかえり!ナンパ上手くいったの?」
ビーチに行かずに街を散策していた誠士と東山が、先にラウンジで待っていたのに、士龍は近寄って声をかける。
「東山が真面目過ぎるからなあ、お持ち帰りできなかったよ」
「真面目って、俺ら未成年なのにバーとか行けないだろ」
「まあ、俺も将来警察官になりたいから、行かないケドね」
誠士は東山をからかいながら、でもショートの子は可愛かったなあと呟く。
「大人のおねえさん狙いだったの?」
食事はラウンジから外に出ての屋外ビュッフェのようである。
「大人がいいよ。同級生とか、なかなか難しいしさ」
感慨深く呟く誠士はしんみりとした表情を浮かべる。
「東山君は中学のころはモテモテだったけど」
「そうかな。その頃はあまり興味なくて。真壁君こそ、人気あったよ。近寄り難いみたいだったけど」
「あ、中学の時は日本語下手だったから、無口なフリしてたしね」
「そうなの?」
「今でもあまりうまくないケドね」
外への出口の受付で談笑していると、ようやく何故かかりゆし姿の東流と康史が並んで現れた。

「ちょ、マフィアみたいでカッコイイな、東流」
誠士は褒め言葉なのか、東流の背中を叩いて青いシーサーの柄の入った白地のかりゆしを見つめる。
「ラウンジ近くの売店で売ってて、買ったんだけど、着たくなって、着てきちゃったんだ。待たせてごめんね」
康史はぺこりと頭を下げて、トールはチンピラ度アップ間違いないなどとつけたす。
「かっけえから、ついついシーサーにしちまった」
受付の人に案内されて、屋外のプールサイドのテーブルにつくと、椅子に座る。
みな長身なので、狭い感じが否めない。
「ビュッフェだし食べまくるぞ」
皿を3枚抱えた東山がさっさと食べ物を取りに行く。
「やべえ、勝ちに行く気満々じゃねえか」
「食ってなんぼだろ」
「士龍、何枚持ってくんだよ」
東山に対抗して四枚皿を持っていく士龍に、慌てて虎王はついていく。
ビュッフェは、一気に戦場と化した。


「つか、士龍、何でゲームそんなに上手いんだ」
帰りにみんなでゲームコーナーに寄ったのだが、全て士龍の圧勝だった。
みんなから奢って貰ったアイスを食べながら部屋に戻ると、士龍は頬を軽くかく。
「ミッチーとかとゲーセン行くからかな。大体のゲームは、癖を掴めば楽勝だよ」
へへと笑って、食べかけのアイスを食べると虎王の目の前に差し出す。
虎王は、がぷっとアイスを大きく齧って、唇を尖らせた。
「IQ140は伊達じゃないんだな。出来ねえことねえんじゃねえの」
「泳げないよ?」
残りのアイスを食べきると、上着とシャツを脱ぎ始める。
「そうかもしれないけどな。さっきシャワー浴びただろ?またシャワー浴びるのか?」
「水着着るよ、まだ乾いてないけどいいかな」
「こんな夜に水着?」
「夜にビーチに行くって言ってただろ」
流石に夜は寒いかなとパーカーを羽織って士龍は行く気満々のようである。
「マジかよ。疲れてねえのか」
ぼやくように呆れ顔をする虎王も満更ではないのか、上着を脱ぎ始める。
「疲れより、身体が火照って仕方ないもん」
ニヤと笑うと、期待に満ちた表情で虎王の腕を引いて掌を自分の股間へ当てさせる。
すっかり膨らんでいて欲情してる様子に、虎王は肩をそびやかせる。
「まあ、そんなエッチなお兄ちゃんが大好きだけどな。夜の浜辺も綺麗だろうしね、ホントアンタは外とか好きだよな」
「違うよ、外じゃなくて、たけおと早くしたいんだよ」
「ハイハイ、わかりました」
ポケットに携帯ローションやゴムを突っ込んでカードキーを手にすると、虎王は照れているのかぶっきらぼうにその腕を引いて部屋を出た。
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