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密月陽炎
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しおりを挟む結局夕方近くまで、彼らのマンションに長居をしてしまったが、アルバムを見たり色々な話をして虎王も二人と打ち解けたみたいだったのがよかった。
今日も虎王の部屋に帰ってきたのだが、毎日のようにお泊まりをすることに、俺は嬉しくて浮かれまくっている。
身体を支えられたりとかするのは、あまり経験はないし、玄関で靴を脱がしてくれたりとか、お世話をいちいち焼かれて至れり尽くせりなのはちょっと照れる。
愛されてるなっていう実感のようなものがある。
「おい、士龍さあ。なんで、靴脱がされながらちんこ勃ててんだよ」
タンデムしながらくんかくんかと虎王の匂いを嗅ぎまくって、ただでさえ興奮していたので、息子さんはすっかりおっきしている。
靴を脱がしてもらう時の、虎王の視線が丁度股間だから、俺の下半身の様子なんかすぐバレちまうな。
「俺、敏感肌なんだよ」
「ったく、それは冗談かなんかなの」
虎王は、軽く息をついて俺の腰を抱くと、引きずるようにソファーに座らせてクールな表情で俺のコートに手をかける。
あれ、放置か?
俺のコートを、自分のと一緒に几帳面にハンガーにかけて、さっさとエアコンを入れる。
よくできたマメな子だ。いい弟だな。まあ、弟なんて思ってねえけど。
「タンデムすると、すげえ、匂いで興奮する」
「ああ、いつもだよなぁ、それ」
ちょっと笑いながら、ソファーの背後から腕を回して、虎王は俺のベルトに手をかける。
「アンタを脅してた時からそうだった」
「脅されてたけど、先に俺が興奮してたからな。イヤイヤなんてたった一度もないぜ」
脅しのメールのお誘いを、首を長くして待っている俺がいたのも事実だった。
「ハッ、とんだ淫乱だな。やっぱし、マゾなの?」
耳元で笑う声も心地よくて、ふふんと鼻を鳴らす。
「気持ちイイことしか好きじゃあねえよ」
「そういうとこゆるいよな、士龍は。やっぱし、ちょっと心配になっちゃうなァ」
カチャリとベルトを外す音が聞こえ、背後から耳をくわえて舌先で辿られる。
濡れた吐息を耳穴へと吹き入れられると、背中が痺れて全身から力が抜ける。
「入院して綺麗な看護師さんに目移りしないように、しっかり躾をしとくかな」
「ああ?ナースは見飽きてるけどな」
忘れているかもしれないが、俺のかーちゃんはナースでたまに職場の友達を家に呼んでくる。
昔からナースさんたちには可愛がられていた。
そういう職場の世界は狭いから、悪さしたらすぐバレるので、手を出すなんてことは天地がひっくり返ってもない。
それに、俺は一途だというのに虎王には信用がねえのかな。
俺には虎王を捨てた前科があるしな。
身体が熱くなってぼんやりしながら、虎王を霞む視界で見上げる。
虎王は少し欲情している表情をして、ゆっくりと身体をまさぐってくる。
自信なんてねーのは俺のほうなんだけど。
「士龍が、メチャメチャもててて、女絶やしたことなかったの知ってるし。その気になったらさ……とか、考える。」
ぷちぷちとシャツのボタンを外し、熱をもったざらつく舌先を耳へと挿しいれてくる。
それだけで、俺の身体はビンビンに感じちまう。
「ばか、俺のセックスライフはオマエなしじゃもうダメなんだし……俺のが心配だぞ」
柄にもなく、そういう不安はある。
別にいつ心変わりをされても仕方ないかなとかあるし、先に1度俺から捨てた負い目がある。
虎王に同じことされても俺に責める権利はない。
「それに、たけおは、かっけえから俺のが心配」
どうしたらこのキモチ伝えられるだろう。
わからず見返した虎王は、俺をじっと見つめて心配しなくて大丈夫と告げて、それからふと思い出したような表情で口を開いた。
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