竜攘虎搏 Side Dragon

怜悧(サトシ)

文字の大きさ
上 下
71 / 169
青天霹靂

71

しおりを挟む
 しばらくして、背の高い長い黒髪の綺麗な水商売っぽい服を着た女性がゆっくりと俺らの方に歩み寄ってくる。
「うわ、綺麗だな。…………ヤス。すげえ、イイ」
 トール君は、表情を緩ませて近づいて賛辞を浴びせる。
 自信はあるっていってたけど、ここまで綺麗になるとは。
 周りの奴らも感嘆の声をあげている。
「ヤッちゃん、スゴイね」
「メイクはトールのおふくろさんにしてもらったけどね。ヤクザ好みのイイ女メイクでオーダーした」
 さらさらとした長い黒髪はウイッグなのだろう。
 ちょっとラメのはいったワンピースも似合っている。
「おふくろ喜んでたろ?」
「娘にメイクするのが、夢だったって言ってた」
 嬉しそうなトール君は、本当に日高を好きなんだなと傍目からもわかる。

 いきなり近くに止まったバイクに周りがざわめく。
 こんだけ集まっていりゃ、好奇心でヤンキーとかがやってきても不思議じゃない。
 長身の男はメットを外すと、ヤンキーというより爽やかな男子高生の顔がハッキリわかる。
 トール君は彼に笑顔で手を振ると、荷台に積んでたでかい袋を担いで近寄ってきた。
「東流、マジで東高ばっかじゃん。つか、康史、すげえ、マジで女装してるとか、びびる」
 大きな袋をトール君に手渡して、爽やかな顔をした男は臆さず俺たちを眺める。
「あ、こっちは同小だった、シロ。こっちは中学からのダチのセージ。高校は一緒で北高」
「野口誠士っす、シロ…………でいいのかな?」
 野口は、俺に爽やかな笑顔を向ける。
 たしか、市内でも有名なスポーツ選手だったかな。
 空手の全国インターハイの選手だったか、名前は聞いたことがある。
「えっと、俺は眞壁士龍。シロって、昔からトール君によばれてた。シロでいいよ。セージ君は空手強いんだっけ、有名だよね。インターホンがんばってね!」
 俺が手を差し出して握手をすると、セージ君はプッと吹き出しながら握手を返してくれる。
「東高の眞壁って、シロのことでしょ。なに?東流とおんなじ天然ちゃん?」
「士龍さんは、いろんなとこがお散歩して抜けてるんで気にしないでください」
 直哉がフォローしてくれているが、俺的にはトール君ほど配線ずれてないはずだと思う。
 野口は別に俺らにびびりもしない様子なのが、本当に不思議なくらいだ。でも、そうでもないとトール君のダチをやってられないもんな。
「ま、安心したわ。とりあえず、かちこみもいいけど東流がヤリすぎないようにストッパーしたげて。警察沙汰になったらさすがにフォロー大変だし。康史一緒だから大丈夫だと思うけどね」
 受け取った袋を漁るトール君を横目に見ながら、心配そうな表情をする男は、本当にいいヤツなんだなと分かった。
「アンタは?こないの」
「あー、セージは喧嘩しない掟なんだ」
「掟かー。スポーツ選手だもんな」
「空手のこともあるけど、将来は警官になる予定だからな」
「フォローはするよ。いいタイミングで逃走の補助すっからな」
 こんだけ喧嘩をしていて、トール君に警察沙汰の話をきかないのは、日高とこの野口の機転なのだなと気がつく。
 五人でカチコミをすると野口に伝えて、逃走経路を確認する。
 俺は最悪な時のことも考えて、必要なだけの人員の配置をして対処について指示して回った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性的イジメ

ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。 作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。 全二話 毎週日曜日正午にUPされます。

叔父さんと一緒♡

らーゆ
BL
叔父とショタ甥がヤッてるだけ。ガチのヤツなので苦手なひとは回避推奨。

反抗期真っ只中のヤンキー中学生君が、トイレのない課外授業でお漏らしするよ

こじらせた処女
BL
 3時間目のホームルームが学校外だということを聞いていなかった矢場健。2時間目の数学の延長で休み時間も爆睡をかまし、終わり側担任の斉藤に叩き起こされる形で公園に連れてこられてしまう。トイレに行きたかった(それもかなり)彼は、バックれるフリをして案内板に行き、トイレの場所を探すも、見つからず…?

俺たちの××

怜悧(サトシ)
BL
美形ドS×最強不良 幼馴染み ヤンキー受 男前受 ※R18 地元じゃ敵なしの幼馴染みコンビ。 ある日、最強と呼ばれている俺が普通に部屋でAV鑑賞をしていたら、殴られ、信頼していた相棒に監禁されるハメになったが……。 18R 高校生、不良受、拘束、監禁、鬼畜、SM、モブレあり ※は18R (注)はスカトロジーあり♡ 表紙は藤岡さんより♡ ■長谷川 東流(17歳) 182cm 78kg 脱色しすぎで灰色の髪の毛、硬めのツンツンヘア、切れ長のキツイツリ目。 喧嘩は強すぎて敵う相手はなし。進学校の北高に通ってはいるが、万年赤点。思考回路は単純、天然。 子供の頃から美少年だった康史を守るうちにいつの間にか地元の喧嘩王と呼ばれ、北高の鬼のハセガワと周囲では恐れられている。(アダ名はあまり呼ばれてないが鬼平) ■日高康史(18歳) 175cm 69kg 東流の相棒。赤茶色の天然パーマ、タレ目に泣きボクロ。かなりの美形で、東流が一緒にいないときはよくモデル事務所などにスカウトなどされるほど。 小さいころから一途に東流を思ってきたが、ついに爆発。 SM拘束物フェチ。 周りからはイケメン王子と呼ばれているが、脳内変態のため、いろいろかなり残念王子。 ■野口誠士(18歳) 185cm 74kg 2人の親友。 角刈りで黒髪。無骨そうだが、基本軽い。 空手の国体選手。スポーツマンだがいろいろ寛容。

部室強制監獄

裕光
BL
 夜8時に毎日更新します!  高校2年生サッカー部所属の祐介。  先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。  ある日の夜。  剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう  気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた  現れたのは蓮ともう1人。  1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。  そして大野は裕介に向かって言った。  大野「お前も肉便器に改造してやる」  大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…  

エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので

こじらせた処女
BL
 大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。  とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…

風邪をひいてフラフラの大学生がトイレ行きたくなる話

こじらせた処女
BL
 風邪でフラフラの大学生がトイレに行きたくなるけど、体が思い通りに動かない話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...