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青天霹靂
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父は自分の保身のために、虎王が殺されても仕方がないと言っている。俺はずっと虎王やこの女性から、父奪ったのは、俺だと思っていたけど。
それは少し違うのかもしれない。
その言葉を聞いた虎王のかーちゃんの号泣はとまらず、元宮が宥めるように背中を撫でている。
自分が大事にしているもののためなら、他の人に迷惑をかけるかもしれないけど、どうでもいいことじゃないか。
病院を守るために、父が俺のかーちゃんと結婚したのも知っている。そういう人なのだ。
貴方が捨てるなら、俺が貰っても別に構わないよね。
俺は手にしていた脅迫文を尻ポケットにしまう。
「金払わない、警察にも相談できない?…………じゃあ、どうするの?虎王のこと見捨てるの?」
俺は、彼に最後の問いかけをした。
彼は拳をギリギリと震わせて、躊躇いながらも頷いた。
「なにも、できない」
俺は父親の言葉に失望はしなかった。
なにしろ、俺はその言葉を待っていたのだ。
「それなら、たけおは俺が取り戻しにいくよ。だから、とーちゃん、約束破って悪いけど、たけおを俺にくれ。あんたが要らないなら、命をかけて俺が奪い返すからさ」
彼は目を見張って俺を信じられないように見返す。
「おい、相手はヤクザなんだ、ぞ」
俺は後ろで呆然としている直哉をちらと見やる。
「これから、海東組に殴り込みかけっから、兵隊用意してくれ。……頼む。とりあえず、二年だけでいい」
いままでみんなを頼ったことがなかったが、さすがに1人じゃ無理だ。
俺は使えるものは全部使ってでも、アイツを奪いとる。
「…………待て、士龍!お前も私の息子なんだぞ!」
腕を掴まれて、俺は振り払う。
「幸い籍は抜けてるし、警察沙汰になってもとーちゃんは困らないだろ?…………悪いな、とーちゃん。俺はたけおが欲しいんだよ、あんたがいらねぇっていうなら俺のもんだ」
二年だけなら三十人は、固く集められる。三年は就職が決まっているヤツも多いから、警察沙汰は避けたい。
元宮に視線をやると携帯を手にして、虎王の派閥の奴らに連絡を入れ始めていた。
「…………虎王を…………たすけて」
泣きじゃくっている虎王の母親の頭を俺は軽く撫でる。
「まかせてよ……。きっと大丈夫だから」
虎王の派閥の二年をいれれば、五十人は固いかな。
人数で襲撃したらやはり大事にはなりそうだけど、責任は俺がとればいい。
俺は直哉の肩を叩いて、虎王のマンションから外に出る。
…………捨てるなら、俺のモノだ。
「士龍サン…………」
「虎王は、イボ兄弟で俺の弟だ。とーちゃんに別れろって言われて別れたけど、気が変わった」
直哉の無言の問いかけに答えて、エレベーターを降りる。
「………うちは………十五人くらい集められそうです」
「分かった」
「…………士龍さん、俺はタケちゃんから聞いてました。父親の本妻の間にも息子がいる話とか」
「……まあ、たけおが弟とか、いまだに実感ないけどね」
大切な人を取り戻しにいくだけ。
元宮に笑いかけて、俺は直哉のタンデムにまたがり、繁華街のゲーセンの裏を集合場所に指定した。
それは少し違うのかもしれない。
その言葉を聞いた虎王のかーちゃんの号泣はとまらず、元宮が宥めるように背中を撫でている。
自分が大事にしているもののためなら、他の人に迷惑をかけるかもしれないけど、どうでもいいことじゃないか。
病院を守るために、父が俺のかーちゃんと結婚したのも知っている。そういう人なのだ。
貴方が捨てるなら、俺が貰っても別に構わないよね。
俺は手にしていた脅迫文を尻ポケットにしまう。
「金払わない、警察にも相談できない?…………じゃあ、どうするの?虎王のこと見捨てるの?」
俺は、彼に最後の問いかけをした。
彼は拳をギリギリと震わせて、躊躇いながらも頷いた。
「なにも、できない」
俺は父親の言葉に失望はしなかった。
なにしろ、俺はその言葉を待っていたのだ。
「それなら、たけおは俺が取り戻しにいくよ。だから、とーちゃん、約束破って悪いけど、たけおを俺にくれ。あんたが要らないなら、命をかけて俺が奪い返すからさ」
彼は目を見張って俺を信じられないように見返す。
「おい、相手はヤクザなんだ、ぞ」
俺は後ろで呆然としている直哉をちらと見やる。
「これから、海東組に殴り込みかけっから、兵隊用意してくれ。……頼む。とりあえず、二年だけでいい」
いままでみんなを頼ったことがなかったが、さすがに1人じゃ無理だ。
俺は使えるものは全部使ってでも、アイツを奪いとる。
「…………待て、士龍!お前も私の息子なんだぞ!」
腕を掴まれて、俺は振り払う。
「幸い籍は抜けてるし、警察沙汰になってもとーちゃんは困らないだろ?…………悪いな、とーちゃん。俺はたけおが欲しいんだよ、あんたがいらねぇっていうなら俺のもんだ」
二年だけなら三十人は、固く集められる。三年は就職が決まっているヤツも多いから、警察沙汰は避けたい。
元宮に視線をやると携帯を手にして、虎王の派閥の奴らに連絡を入れ始めていた。
「…………虎王を…………たすけて」
泣きじゃくっている虎王の母親の頭を俺は軽く撫でる。
「まかせてよ……。きっと大丈夫だから」
虎王の派閥の二年をいれれば、五十人は固いかな。
人数で襲撃したらやはり大事にはなりそうだけど、責任は俺がとればいい。
俺は直哉の肩を叩いて、虎王のマンションから外に出る。
…………捨てるなら、俺のモノだ。
「士龍サン…………」
「虎王は、イボ兄弟で俺の弟だ。とーちゃんに別れろって言われて別れたけど、気が変わった」
直哉の無言の問いかけに答えて、エレベーターを降りる。
「………うちは………十五人くらい集められそうです」
「分かった」
「…………士龍さん、俺はタケちゃんから聞いてました。父親の本妻の間にも息子がいる話とか」
「……まあ、たけおが弟とか、いまだに実感ないけどね」
大切な人を取り戻しにいくだけ。
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