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満願成就
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「いっひ、でっひ?……ああ、苦しいってこと?」
気持ちを抱え続けることが苦しくて、好きだと告げた言葉を苦しいと置き換えた。
「アレは、ウソ」
そう告げると、頭の上にハテナマークを何本も浮かべて、虎王は不審そうに俺を見つめた。
「まあ、ホントっちゃ、ホントなんだけど。ええと、日本語で言うと…………好きだってこと」
あの時に気持ちがあったことは告げるつもりはなかったのだけど、告げた途端にぶわっと虎王の顔が真っ赤に染まって泣き出しそうに顔を歪ませる。
「ウソついて、ゴメンね」
「いやビックリしたけど、嬉しい」
そう言って、ぎゅうと抱き寄せられ肩口に顔を埋められて表情が見えなくなる。
「あー、ヤベェ。マジで泣きそう」
虎王の胸はドキドキと鼓動が早くて、嬉しいと言われた自分の鼓動も早くなってくる。指先から熱も伝わってくる。
「俺は、自分のことを好きじゃないヤツに、好きだなんて言うのはイヤだったんだ。オマエは俺を嫌いなんだってずっと思ってたから」
背中に回る手がゆっくりと俺の体のラインを辿っていく。
「最初から、アンタを好きだった、と思う。一緒に戦いたかった。派閥にいる時は喧嘩連れてってもらえなかったし、諦めて離れて、絡みに行っても相手してもらえなかった。色々、気持ちが捻くれちまって、素直に言えなかった」
そうだったのかと思うと同時に、好きな気持ちがぶわっと高まるのに、俺は嬉しくなって表情を緩めた。
「でも、さっき……一緒に戦えて、すげえ興奮した……」
「興奮したのか。一人で喧嘩に行くのは、よくミッチーやショーちゃんにも怒られる。ゴメンな、もうしないよ」
虎王の肩口に頭をくっつけて、ばくばくしている心臓を沈めようと息を吐き、身体が熱くなっているのを分かってほしくて甘えるように擦り付ける。
「イッヒ、マグ、ディッヒだっけ。もう一人でいかねえでくれ、オレも連れてってほしい……士龍がオレの知らないトコで傷つくのがイヤだ」
慣れないドイツ語で愛を囁かれて、身体の芯から熱が拡散されてぶわっと頭がぼんやりしてくる。
「ich liebe ……dich……Takeo」
万感の想いを篭めて、俺は愛してるの言葉を告げて唇を押し当てた。
頭半分低い虎王の肩へ手を置いて、くちくちと舌先を挿しこんで、絡む舌を貪るようにしゃぶりあげる。
「な、なあ、さっきの……」
唇が離れると虎王は言葉の意味を知りたそうな表情で問いかけてくる。
Ich liebe dichの意味は愛しているの意味。
だけど、今は秘密だ。
もう少し唇の刺激と感覚がほしいので、答えずに再度唇をくっつけた。
どっちかって言えば、俺は性欲強い方だし、もちろん男の経験は虎王が初めてだけど、かなり溺れている自信はある。
キスだけで、下半身はビンビンではち切れそうになっているのをアピールするように、虎王の太股へと押し付けて誘う。
「士龍、…………ベッドいこうぜ」
唇を離され耳元に息を吹きいれながら囁かれ、グイッと腕を強く引かれる。
視線を落とすと虎王の股間も、きっちりテントが張られている。
ちょっと嬉しくなってついて行くと、寝室の扉を開け腕を引かれて中に連れ込まれた。
気持ちを抱え続けることが苦しくて、好きだと告げた言葉を苦しいと置き換えた。
「アレは、ウソ」
そう告げると、頭の上にハテナマークを何本も浮かべて、虎王は不審そうに俺を見つめた。
「まあ、ホントっちゃ、ホントなんだけど。ええと、日本語で言うと…………好きだってこと」
あの時に気持ちがあったことは告げるつもりはなかったのだけど、告げた途端にぶわっと虎王の顔が真っ赤に染まって泣き出しそうに顔を歪ませる。
「ウソついて、ゴメンね」
「いやビックリしたけど、嬉しい」
そう言って、ぎゅうと抱き寄せられ肩口に顔を埋められて表情が見えなくなる。
「あー、ヤベェ。マジで泣きそう」
虎王の胸はドキドキと鼓動が早くて、嬉しいと言われた自分の鼓動も早くなってくる。指先から熱も伝わってくる。
「俺は、自分のことを好きじゃないヤツに、好きだなんて言うのはイヤだったんだ。オマエは俺を嫌いなんだってずっと思ってたから」
背中に回る手がゆっくりと俺の体のラインを辿っていく。
「最初から、アンタを好きだった、と思う。一緒に戦いたかった。派閥にいる時は喧嘩連れてってもらえなかったし、諦めて離れて、絡みに行っても相手してもらえなかった。色々、気持ちが捻くれちまって、素直に言えなかった」
そうだったのかと思うと同時に、好きな気持ちがぶわっと高まるのに、俺は嬉しくなって表情を緩めた。
「でも、さっき……一緒に戦えて、すげえ興奮した……」
「興奮したのか。一人で喧嘩に行くのは、よくミッチーやショーちゃんにも怒られる。ゴメンな、もうしないよ」
虎王の肩口に頭をくっつけて、ばくばくしている心臓を沈めようと息を吐き、身体が熱くなっているのを分かってほしくて甘えるように擦り付ける。
「イッヒ、マグ、ディッヒだっけ。もう一人でいかねえでくれ、オレも連れてってほしい……士龍がオレの知らないトコで傷つくのがイヤだ」
慣れないドイツ語で愛を囁かれて、身体の芯から熱が拡散されてぶわっと頭がぼんやりしてくる。
「ich liebe ……dich……Takeo」
万感の想いを篭めて、俺は愛してるの言葉を告げて唇を押し当てた。
頭半分低い虎王の肩へ手を置いて、くちくちと舌先を挿しこんで、絡む舌を貪るようにしゃぶりあげる。
「な、なあ、さっきの……」
唇が離れると虎王は言葉の意味を知りたそうな表情で問いかけてくる。
Ich liebe dichの意味は愛しているの意味。
だけど、今は秘密だ。
もう少し唇の刺激と感覚がほしいので、答えずに再度唇をくっつけた。
どっちかって言えば、俺は性欲強い方だし、もちろん男の経験は虎王が初めてだけど、かなり溺れている自信はある。
キスだけで、下半身はビンビンではち切れそうになっているのをアピールするように、虎王の太股へと押し付けて誘う。
「士龍、…………ベッドいこうぜ」
唇を離され耳元に息を吹きいれながら囁かれ、グイッと腕を強く引かれる。
視線を落とすと虎王の股間も、きっちりテントが張られている。
ちょっと嬉しくなってついて行くと、寝室の扉を開け腕を引かれて中に連れ込まれた。
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