竜攘虎搏 Side Dragon

怜悧(サトシ)

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満願成就

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  心から心配してくれるこいつらのことは、有難いとは思うが、それとこれとは話が全然違ってくる。
 しばらくして、ガラガラと引き戸が空いて道郎と将兵が入ってくる。
 道郎は俺の机の前に立つと、じっと視線をあわせて表情を読み取ろうとするかのように目を細める。
「シロー、下のやつに心配かけんなよ」
「士龍、ホンキなのか?」
 将兵は開口1番、そこを聞いてくる。
「ン、ホンキ」
「こないだのさ、嫌われてるって悩んでたセフレの小悪魔ちゃんは?」
「ああ……。……つか、それが、たけおだった」
「マジでかよ。ロリロリ美少女じゃなかったのか」
 二人には恋の悩みを打ち明けていたので、その説明からしなくてはならない。
 あの時は、そこまで言えなかったけども。
「ああ。なるほどなあ……嫌われてるって言ってたじゃん」
「うん。まあ、そうなんだけどな。嫌いだけど好きなんだって泣きながら言われた。可愛かった」
 俺がそう言うと、将兵は少し目を開いて天井を見上げた。
 しばらく黙り込んだ後、将兵は苦笑を浮かべて、俺の背中を叩いた。
「そんなら、仕方ねえな……。……あのガキ、士龍に傷つけたらぶち殺すケドな」
 将兵は深くため息をつきながら、ばむばむと俺の頭を叩く。

「ぜってえ……傷つけないから、命にかけて大事にするから、一緒にいさせてくれ」
 突如空き教室の扉が開いて、低く通る声が響き、赤い派手な髪が現れた。
 教室の扉を開けて虎王がゆっくりと俺らに近づいてきたのがわかり、その言葉に俺はちょっとばかり嬉しくて胸が高鳴った。
 が、次の瞬間、虎王の体は吹っ飛んで床に叩きつけられた。
 思わず席を立つ俺を、グイッと道郎が押さえる。
 いきなりモノも言わずにぶっ飛ばしたのは、将兵である。
「ッ、てえ…………」
 殴られた腹部を押さえながら、虎王はフラフラと立ち上がる。
 直哉たちは身構えるが、虎王に戦意はないのを見とって、様子をうかがっている。
「ショーちゃん…………をい、ちょっと待って」
「悪ィ、顔見たら、とりあえずムカッとした。ケジメの1発くらい入れさせろや」
 俺が将兵を咎めると、ハハッと笑って肩を聳やかす。
 まあ、将兵はまずなにより拳からの男である。
「たけお、自分のトコには話してきたんか?」
 腹を抱えて痛みを堪える虎王を手招きして、少し気を立てている仲間を落ち着かせるように手の平で制して諫める。
「ああ。別に、士龍に張り合ってたのはオレだけだし、解散とかじゃなきゃ、スルーしてくれるらしい」
 まあ、そうだろうな。
 あの中で俺とやり合いたがってたのは、虎王だけだったし。
「富田、テメェ、士龍サンの頭が抜けてンのをいいことに、何コマしてんだよ」
 将兵の脇からガッと立ち上がって、虎王の胸ぐらを掴んだのは、俺のトコの特攻隊長の多一である。
 将兵におもくそ全力で殴られてんだし、それ以上いじめないでやってほしい。
 将兵の拳は当たると重いからな。
 それに、抜けてるとか、それは俺への悪口だろうか。
「多一君、俺は抜けてるかもだが、嫌なら殴るぞ。まあ、それに、たけおのちんこきもちいいし」
 言った途端に、横で将兵が腹を抱えて大爆笑し出して、道郎にはたかれている。
「……士龍サン、そんなに気持ちがいいのが好きなら俺だって、士龍サン抱けますから!」
「俺もだ、こんな赤髪野郎のちんこより、俺のほうがイイですよ。士龍サン、考え直してください」
 直哉まで、なぜか必死に俺に迫ってくる。
 俺も本物のビッチじゃねーから、誰でもいいわけじゃねえんだけどな。
「全員で、士龍サンのこと気持ちよくさせれますよ」
 そんなアホな話をマジな顔で言われても引くけどな。
 将兵は笑いながら俺の背中をバンバンたたく。
「士龍、超モテモテ!マジでうらやましくねぇケドな」
「ショーへー、茶々いれねえの。こないだは、シローの恋バナ応援するって言ったし」
「バーカ、あれは、小悪魔のぼいんぼいんちゃんだと想定してたんだよ」
 道郎と将兵はなんか言い合いをしているが、とりあえずこいつらをどうにかしねえとな。
 虎王は俺の肩をガッと掴む。
「まだ、ちんこだけかもしれねえけど、でもオレはホンキだから。お願いだから、あの……他のは……試さないでくれ」
 俺は、虎王の口を掌で乱暴に塞ぐ。
 ちゃんと好きだと言ってないし、仕方ないけどさ。
「悪りぃ。俺は一本しかいらねえし、コイツのを気にいってっから。オマエらのちんこもきっとイイモンだと思うけどよ。恋心とかは、そんだけじゃねえからさ。分かってくれ」
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