竜攘虎搏 Side Dragon

怜悧(サトシ)

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意志薄弱

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 余裕なんかなくて、変な汗が下着の中を伝って落ちる。
 階段を降りて昇降口へ辿り着くまでに、体の中心にはまった栓が動いて、脳みそが痺れて視界も霞んで、クラクラしてくる。
 漸く昇降口を出ると、バイクに跨った富田君が颯爽と現れて俺の手にメットを渡してくる。
 やっぱり、バイクはカッコイイし羨ましい。
 俺の原チャとは違うなあ。
「うわ…………もうスゲーエロい顔してんな、眞壁。エネマグラってやっぱりヤバイ?」
 俺にはいつもの余裕はない。
 軽口を叩きたくても、何も浮かんでこない。
「仕方ねーよ、もうイキそうなんだからさあ…………早く帰ろう。も…………ほしい」
 メットを被って、足を開いて跨がるとグッと奥まで入りこんで、ビリビリ手足が痺れて唇が開く。
「そんなんで、帰るまでガマンできるんかよ?」
 俺の様子を見てからかうような目を向ける富田君に、多分ガマンできねぇとか思いながら、余裕な顔を無理やりする。
「…………安全運転、ヨロシク」
 俺の原チャとは違い、富田君のバイクの速度は非常に速い。
 直進ならまだ堪えきれるのに、舗装されていない道はガタガタとして振動を体に伝えて、右左折の度に傾く重心が、胎内に埋めた異物が中を摺る動きを手助けしている。
 富田君の腰に回した腕にぐぐっと思わず力を込めてしまう。
 校舎を出るときからジンジン痺れてた頭が、ぼんやりと霞ががってきて息もあがっていき、思考を奪う。
 アツイ、アツイ………あ、きもち……いい……ッ…。
 カーブになると奥までぐいぐいとエネマグラが食い込んで内部を強く押し上げて、堪らず顎先をあげてしまう。
「…ッくッ……………ふ…うう……ッん…ハァ、ハァ」
 荒い呼吸を繰り返しながら、どうにか落ちないように富田君にしがみつくので精一杯になっちまう。
 真冬だというのに、体が汗ばんで全身が震えて仕方がない。
 もっと奥まで突かれたい、中に熱い肉が欲しいとばかり考えちまう。
 振動で動きが加わるたびに、その先の快感を知ってる体は無意識にに求めている。
「やらしい声…………なあ、たまんねえの?」
 くくっと背中越しに哂う富田君の言葉に身を震わせる。
押し上げられる肉が熱をもっていき、何度もぐいぐいと追い上げられる。
 きゅきゅっと信号で停止ししたと同時、すべるように腰を富田君に押し付けて痙攣して空イキしてしまう。
「――ッ…………ッ……っううう…っつうう」
 思わず顎をあげて身震いを伝えてしまうと、富田君は体を揺すって哂っているようだ。
「我慢できなかったンかよ?」
 問いかけるメット越しの声に、ごくっと息を呑む。
 答えの代わりに、俺は回した腕に力を込めた。脳みそがとろけちまったように、ずぶずぶと考えがのみこまれていく。
 内側からの痺れがどんどんと体を侵食していき、何も考えられないくらい思考力を奪っていく。
 甘いものを食べた時の満足感のようなものが欲しくて仕方なくなる。
 信号が青になり走り出すと同時、ぐいっと前方にのめりこむと、前立腺を押し上げる感覚に腰を揺らめかせる。
 もう、だめだ、理性がもたない、そう思うと体が重く感じて、本能のままに腰を押し付けて、快感にたまらず富田君にぎゅううっとしがみつく。
「眞壁…………たまんないって顔………してるの可愛いな」
 微かに富田君の声が聞こえた気がした。

「士龍…………腰、抜けてんのか?自分で歩けっか」
 声をかけられて視線だけで周りを見回すと、自宅の横にバイクがつけられているのが分かる。
 ぐいっと手を伸ばされてヘルメットを外され、空気が火照った頬を撫でて心地よくて呼吸を飲んで落ち着かせようと息を吐き出した。
「…………っふ………ン、ン………かた、かして……」
 なんとかのろのろとバイクから降りるが、視界はぐにゃりと歪んでくるくると回っている。
 このまま自分で部屋まで歩いていけそうにはなかった。
富田君の肩に掴まるようにしてゆっくりと歩くが、歩くたびに身体の中のエネマグラが動いて敏感な場所をじくじくと刺激するのに耐えられず、ビクビクと身体が痙攣する。
 閉じられない唇から顎先にかけて涎が伝い落ちていき、白痴のようで誰かに見られないかと背中を丸めるのが精一杯だ。

 すっかりイッてしまっていて、完璧に体が欲情しているのだ。
 この男が欲しいと全身が訴えていた。
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