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忘恩不義
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脅迫の条件によっては、脅迫されてやってもかまわない。
仲間を巻き込む争いが避けられるのなら、きっとその方がいい。
「……脅迫して、富田君は俺に何をして欲しいの?」
重いなあと思って、とりあえず富田君の下からごそごそと抜け出した。
昔イジメにあっていた時に、感情的になったほうが負けるということは学んできた。
感情的になればなるほど、自分の方が追い込まれていくということは知っている。
どんな時でも笑ったりしてるヤツの方が、最終的には勝てるってもんだ。
「ッくそ……なんで、アンタそんなに平気そうなんだよ。アンタはオレのために出した秘密をネタに脅されてるんだぜ。それでも余裕そうなとこが気にいらねえ」
「平気そうかな?」
感情を出したら負けだから出さないようにはしているけれど、それが余裕なのかは分からない。
首を捻って体を起こそうとしたのを、富田君は腕を伸ばしてグッと俺の肩を床に押し付ける。
「アンタのそういう態度が、オレをイラつかせンだよ。脅迫なんか大したことねえとか、タカくくってんだろ」
良く分からないが、総合すると富田君は俺の態度が気にいらないらしい。
確かに俺とは性格は合わなそうだ。焦ったり、俺が感情的になることを予想していたのだろう。
「富田君と争う気もトップとる気もない。俺には、オマエに得に働くような交換材料はないと思うよ」
俺の面倒そうな態度に、更にイラッときたのか、ギリギリ歯軋りをしているのが分かる。負の感情が丸出しで、今はまったく本当に隠す気もなさそうだ。
交換材料が気にいらない時は、殴って潰せばいいかな。
「………犯らせろ」
一瞬俺は面食らって、訳が分からないと首を傾げて富田君を二回ほど見返した。
「え?ナニを?」
「ナニって、ナニだろ、セックスだよ」
「え、俺、男の子だよ」
「ッ、ンなの、わかってるッ」
客観的に俺は自分を見てもそりゃないわって思う。
結構顔の造作はいいと自分でも思うけど、身体は大きいし、悪食過ぎるんじゃないのかな。
じいちゃんも蓼食う虫も好き過ぎ(?)とかよく言ってたけどさ。
だからと言って、ハイどうぞって犯らせるわけにはいきたくないよな。男同士はケツ使うらしいし、痛いの嫌いだし。
「ソレ、痛そうだからイヤだ」
あ、でも、トール君は気持ちイイとか言ってたっけな。
人それぞれだけど、痛そうな気しかしないのでお断りしてみると、富田君は俺を床に押さえる力を強める。
「じゃあ、バラしてもいいんだな?」
面倒だから富田君をここで潰そうかと脳裏をよぎったが、怪我してる相手に酷くするとか、俺の性分とは違う。
「困るな……」
「ホントに腹立つ。困ってるなら困ってるような顔しろよ」
精一杯困った顔をしようと思うのだが、あんまりうまくいかない。
富田君は赤い髪だがすっきりした顔立ちで、悪い顔はしていない。どっちかっていうと女性にモテる部類の顔だ。
「富田君、別にオンナノコに困ってないでしょ?いないなら紹介するよ」
将兵に頼めば何人か連れてきてくれるし、女の子を紹介すれば少しは落ち着くかもしれない。
「勘違いするな。下半身に困ってるから言ってンじゃねえよ、アンタを屈服させたいって言ってんの」
そんなに眉を寄せて、怖い顔で青筋たてることもねえじゃねえかなと思う。
「セックスで屈服ね……。喧嘩で勝てないから、そっちにシフトするの?そんなにヤりたいなら、別にいいけど」
ちょっと挑発するように笑って、俺の肩を押さえ込む富田君の腕をぐっと引いて、怖い顔を覗き込む。
トール君は気持ちがイイって言ってたし、案外悪くはないのかもって好奇心もむくむくと湧き上がる。
「ッ……ふざけんなよッ。後悔させてやる」
「あ、後悔はイヤだな。優しくて気持ちイイヤツ希望。あ、痛かったら殴るけど、自信あるならイイよ」
ふざけるなと呟いたが、富田君は条件を変えるつもりがないのか俺のシャツに包帯の巻かれた指をひっかける。
このままココでする気なのだろうか。流石に床でいたしたら身体が痛い気がする。
「床でヤッたら流石に痛そうだし、なら、ベッドいこうか」
よいこらせっと掛け声をかけて起きあがると、富田君の体を一気に抱き上げた。
仲間を巻き込む争いが避けられるのなら、きっとその方がいい。
「……脅迫して、富田君は俺に何をして欲しいの?」
重いなあと思って、とりあえず富田君の下からごそごそと抜け出した。
昔イジメにあっていた時に、感情的になったほうが負けるということは学んできた。
感情的になればなるほど、自分の方が追い込まれていくということは知っている。
どんな時でも笑ったりしてるヤツの方が、最終的には勝てるってもんだ。
「ッくそ……なんで、アンタそんなに平気そうなんだよ。アンタはオレのために出した秘密をネタに脅されてるんだぜ。それでも余裕そうなとこが気にいらねえ」
「平気そうかな?」
感情を出したら負けだから出さないようにはしているけれど、それが余裕なのかは分からない。
首を捻って体を起こそうとしたのを、富田君は腕を伸ばしてグッと俺の肩を床に押し付ける。
「アンタのそういう態度が、オレをイラつかせンだよ。脅迫なんか大したことねえとか、タカくくってんだろ」
良く分からないが、総合すると富田君は俺の態度が気にいらないらしい。
確かに俺とは性格は合わなそうだ。焦ったり、俺が感情的になることを予想していたのだろう。
「富田君と争う気もトップとる気もない。俺には、オマエに得に働くような交換材料はないと思うよ」
俺の面倒そうな態度に、更にイラッときたのか、ギリギリ歯軋りをしているのが分かる。負の感情が丸出しで、今はまったく本当に隠す気もなさそうだ。
交換材料が気にいらない時は、殴って潰せばいいかな。
「………犯らせろ」
一瞬俺は面食らって、訳が分からないと首を傾げて富田君を二回ほど見返した。
「え?ナニを?」
「ナニって、ナニだろ、セックスだよ」
「え、俺、男の子だよ」
「ッ、ンなの、わかってるッ」
客観的に俺は自分を見てもそりゃないわって思う。
結構顔の造作はいいと自分でも思うけど、身体は大きいし、悪食過ぎるんじゃないのかな。
じいちゃんも蓼食う虫も好き過ぎ(?)とかよく言ってたけどさ。
だからと言って、ハイどうぞって犯らせるわけにはいきたくないよな。男同士はケツ使うらしいし、痛いの嫌いだし。
「ソレ、痛そうだからイヤだ」
あ、でも、トール君は気持ちイイとか言ってたっけな。
人それぞれだけど、痛そうな気しかしないのでお断りしてみると、富田君は俺を床に押さえる力を強める。
「じゃあ、バラしてもいいんだな?」
面倒だから富田君をここで潰そうかと脳裏をよぎったが、怪我してる相手に酷くするとか、俺の性分とは違う。
「困るな……」
「ホントに腹立つ。困ってるなら困ってるような顔しろよ」
精一杯困った顔をしようと思うのだが、あんまりうまくいかない。
富田君は赤い髪だがすっきりした顔立ちで、悪い顔はしていない。どっちかっていうと女性にモテる部類の顔だ。
「富田君、別にオンナノコに困ってないでしょ?いないなら紹介するよ」
将兵に頼めば何人か連れてきてくれるし、女の子を紹介すれば少しは落ち着くかもしれない。
「勘違いするな。下半身に困ってるから言ってンじゃねえよ、アンタを屈服させたいって言ってんの」
そんなに眉を寄せて、怖い顔で青筋たてることもねえじゃねえかなと思う。
「セックスで屈服ね……。喧嘩で勝てないから、そっちにシフトするの?そんなにヤりたいなら、別にいいけど」
ちょっと挑発するように笑って、俺の肩を押さえ込む富田君の腕をぐっと引いて、怖い顔を覗き込む。
トール君は気持ちがイイって言ってたし、案外悪くはないのかもって好奇心もむくむくと湧き上がる。
「ッ……ふざけんなよッ。後悔させてやる」
「あ、後悔はイヤだな。優しくて気持ちイイヤツ希望。あ、痛かったら殴るけど、自信あるならイイよ」
ふざけるなと呟いたが、富田君は条件を変えるつもりがないのか俺のシャツに包帯の巻かれた指をひっかける。
このままココでする気なのだろうか。流石に床でいたしたら身体が痛い気がする。
「床でヤッたら流石に痛そうだし、なら、ベッドいこうか」
よいこらせっと掛け声をかけて起きあがると、富田君の体を一気に抱き上げた。
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