俺たちの××

怜悧(サトシ)

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社会人編 season2

第6話→sideT

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「あ、あのっ、ちょっとあのっ、どこゆくのっ」
一望の手を引いて歩いてるとか細い声で、戸惑いながら必死に俺に何かを言おうとしている。 

すげー、康史のガキの時にそっくりだ。
まるで分身みてえだな。
俺もあの頃に戻ったみたく、なんだかウキウキしてきた。

「おー、なんだ、どうしたー?」

「どこへ、いくの?…………それと、あなたは、だれ……なの」
唇が少し震えて、俺を怖がって不審がるように見上げている。
「あー、なんだ、ん、そうだったな。俺は東流、オマエのとーちゃんと一緒に暮らしてる。あんなとこいても、話もわかんねえし、つまんねーだろ?だからよ、アッチの公園いこうぜ」
少し前屈みになって、ボールを叩きながらニッと笑ってみせ視線を合わせる。
俺の顔はこわいらしいから、笑っておくのがいいだろう。
「ぼ、僕、は、だいじょうぶですから。ちゃんと、おとなしくできます」
首を左右に振って、必死で俺を警戒するのに、そうだよなと思い直す。
昔は康史もよく狙われたから、しらない大人には気をつけるようにしてた。
「ん?ガキはガキらしくしてろっての。名前、カズミだっけ?な、遊びに行こうぜ」
「大丈夫だから…………僕、ちゃんと施設にいく覚悟してるんで。何を聞いても平気です。母からも、おとうさんは、とても若すぎたからというのは聞いてましたし。だから、部屋戻ります」
しっかりした口調で俺に告げる一望は、なんだかガキらしくなくて達観しているようだった。
施設か。
なんでそんな話になるんだろう。
康史は、コイツを面倒見る気はねーのかな。
さっき弁護士が11歳って言ってたっけ。この歳からそんな覚悟とかしちゃってるあたり、精神年齢も高いんだろうな。
「俺はよくわかんねーけど、まあ、ヤスも今はオトナだからよ、まあ任せておけよ。とりあえず、公園いこーぜ」
一望は迷うような顔をするが、俺の勢いにまけたのか素直についてくる。
公園に着くと、バスケットゴールのある金網の中に入る。
「1on1、知ってるか?」
バムバムと床でボールを弾ませると、一望は首を横に振った。
俺は少しドリブルをして、軽くジャンプするとダンクシュートを決めてみせる。
「こーやって、ゴールするのをお互いに邪魔したり、入れたりするタイマン勝負だ」
「…………とおるさん、スゴイですね。もしかしてバスケットの選手ですか?」
「いや、昔1週間だけ部活入ってただけ。カズミは中学になったら何の部活やるんだ?」
ボールをぽいと手渡すと、戸惑いながら地面に軽くつく。
「サッカーしようと、思ってます」
「へえ、サッカーかあ、かっけえな。じゃあバスケットやったことねーなら、ゴール入れっこしようぜ。こっから、ゴールに入れてよ」
シュートをラインを指して促すと、一望は少し安心したように一息ついて、ボールを頭上に振りかぶってゴールに投げた。
施設とか考えたことはねえけど、しらねえやつと上手くやるのは大変だろうし、やっぱり血が繋がったやつと一緒にいたいだろうな。
康史の考えはわからなかったが、俺は折角生まれた康史の一部を継いだこの子を守ってやりてえと考えていた。
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