344 / 353
社会人編 season2
第6話→sideT
しおりを挟む
「あ、あのっ、ちょっとあのっ、どこゆくのっ」
一望の手を引いて歩いてるとか細い声で、戸惑いながら必死に俺に何かを言おうとしている。
すげー、康史のガキの時にそっくりだ。
まるで分身みてえだな。
俺もあの頃に戻ったみたく、なんだかウキウキしてきた。
「おー、なんだ、どうしたー?」
「どこへ、いくの?…………それと、あなたは、だれ……なの」
唇が少し震えて、俺を怖がって不審がるように見上げている。
「あー、なんだ、ん、そうだったな。俺は東流、オマエのとーちゃんと一緒に暮らしてる。あんなとこいても、話もわかんねえし、つまんねーだろ?だからよ、アッチの公園いこうぜ」
少し前屈みになって、ボールを叩きながらニッと笑ってみせ視線を合わせる。
俺の顔はこわいらしいから、笑っておくのがいいだろう。
「ぼ、僕、は、だいじょうぶですから。ちゃんと、おとなしくできます」
首を左右に振って、必死で俺を警戒するのに、そうだよなと思い直す。
昔は康史もよく狙われたから、しらない大人には気をつけるようにしてた。
「ん?ガキはガキらしくしてろっての。名前、カズミだっけ?な、遊びに行こうぜ」
「大丈夫だから…………僕、ちゃんと施設にいく覚悟してるんで。何を聞いても平気です。母からも、おとうさんは、とても若すぎたからというのは聞いてましたし。だから、部屋戻ります」
しっかりした口調で俺に告げる一望は、なんだかガキらしくなくて達観しているようだった。
施設か。
なんでそんな話になるんだろう。
康史は、コイツを面倒見る気はねーのかな。
さっき弁護士が11歳って言ってたっけ。この歳からそんな覚悟とかしちゃってるあたり、精神年齢も高いんだろうな。
「俺はよくわかんねーけど、まあ、ヤスも今はオトナだからよ、まあ任せておけよ。とりあえず、公園いこーぜ」
一望は迷うような顔をするが、俺の勢いにまけたのか素直についてくる。
公園に着くと、バスケットゴールのある金網の中に入る。
「1on1、知ってるか?」
バムバムと床でボールを弾ませると、一望は首を横に振った。
俺は少しドリブルをして、軽くジャンプするとダンクシュートを決めてみせる。
「こーやって、ゴールするのをお互いに邪魔したり、入れたりするタイマン勝負だ」
「…………とおるさん、スゴイですね。もしかしてバスケットの選手ですか?」
「いや、昔1週間だけ部活入ってただけ。カズミは中学になったら何の部活やるんだ?」
ボールをぽいと手渡すと、戸惑いながら地面に軽くつく。
「サッカーしようと、思ってます」
「へえ、サッカーかあ、かっけえな。じゃあバスケットやったことねーなら、ゴール入れっこしようぜ。こっから、ゴールに入れてよ」
シュートをラインを指して促すと、一望は少し安心したように一息ついて、ボールを頭上に振りかぶってゴールに投げた。
施設とか考えたことはねえけど、しらねえやつと上手くやるのは大変だろうし、やっぱり血が繋がったやつと一緒にいたいだろうな。
康史の考えはわからなかったが、俺は折角生まれた康史の一部を継いだこの子を守ってやりてえと考えていた。
一望の手を引いて歩いてるとか細い声で、戸惑いながら必死に俺に何かを言おうとしている。
すげー、康史のガキの時にそっくりだ。
まるで分身みてえだな。
俺もあの頃に戻ったみたく、なんだかウキウキしてきた。
「おー、なんだ、どうしたー?」
「どこへ、いくの?…………それと、あなたは、だれ……なの」
唇が少し震えて、俺を怖がって不審がるように見上げている。
「あー、なんだ、ん、そうだったな。俺は東流、オマエのとーちゃんと一緒に暮らしてる。あんなとこいても、話もわかんねえし、つまんねーだろ?だからよ、アッチの公園いこうぜ」
少し前屈みになって、ボールを叩きながらニッと笑ってみせ視線を合わせる。
俺の顔はこわいらしいから、笑っておくのがいいだろう。
「ぼ、僕、は、だいじょうぶですから。ちゃんと、おとなしくできます」
首を左右に振って、必死で俺を警戒するのに、そうだよなと思い直す。
昔は康史もよく狙われたから、しらない大人には気をつけるようにしてた。
「ん?ガキはガキらしくしてろっての。名前、カズミだっけ?な、遊びに行こうぜ」
「大丈夫だから…………僕、ちゃんと施設にいく覚悟してるんで。何を聞いても平気です。母からも、おとうさんは、とても若すぎたからというのは聞いてましたし。だから、部屋戻ります」
しっかりした口調で俺に告げる一望は、なんだかガキらしくなくて達観しているようだった。
施設か。
なんでそんな話になるんだろう。
康史は、コイツを面倒見る気はねーのかな。
さっき弁護士が11歳って言ってたっけ。この歳からそんな覚悟とかしちゃってるあたり、精神年齢も高いんだろうな。
「俺はよくわかんねーけど、まあ、ヤスも今はオトナだからよ、まあ任せておけよ。とりあえず、公園いこーぜ」
一望は迷うような顔をするが、俺の勢いにまけたのか素直についてくる。
公園に着くと、バスケットゴールのある金網の中に入る。
「1on1、知ってるか?」
バムバムと床でボールを弾ませると、一望は首を横に振った。
俺は少しドリブルをして、軽くジャンプするとダンクシュートを決めてみせる。
「こーやって、ゴールするのをお互いに邪魔したり、入れたりするタイマン勝負だ」
「…………とおるさん、スゴイですね。もしかしてバスケットの選手ですか?」
「いや、昔1週間だけ部活入ってただけ。カズミは中学になったら何の部活やるんだ?」
ボールをぽいと手渡すと、戸惑いながら地面に軽くつく。
「サッカーしようと、思ってます」
「へえ、サッカーかあ、かっけえな。じゃあバスケットやったことねーなら、ゴール入れっこしようぜ。こっから、ゴールに入れてよ」
シュートをラインを指して促すと、一望は少し安心したように一息ついて、ボールを頭上に振りかぶってゴールに投げた。
施設とか考えたことはねえけど、しらねえやつと上手くやるのは大変だろうし、やっぱり血が繋がったやつと一緒にいたいだろうな。
康史の考えはわからなかったが、俺は折角生まれた康史の一部を継いだこの子を守ってやりてえと考えていた。
0
お気に入りに追加
360
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
メカクレショタ灰世くんの人生終了排泄ショー
掌
BL
大人しく地味なメカクレ少年、灰世くんが担任の教師に目をつけられ、身体をドスケベ開発される中で元々持っていた破滅願望をさらけ出され人生終了なショーを開催するお話。
かなり強めの大スカ描写が含まれますのでご注意ください!
コミッションにて執筆させていただいた作品です。ありがとうございました!
・web拍手
http://bit.ly/38kXFb0
・X垢
https://twitter.com/show1write
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
首輪 〜性奴隷 律の調教〜
M
BL
※エロ、グロ、スカトロ、ショタ、モロ語、暴力的なセックス、たまに嘔吐など、かなりフェティッシュな内容です。
R18です。
ほとんどの話に男性同士の過激な性表現・暴力表現が含まれますのでご注意下さい。
孤児だった律は飯塚という資産家に拾われた。
幼い子供にしか興味を示さない飯塚は、律が美しい青年に成長するにつれて愛情を失い、性奴隷として調教し客に奉仕させて金儲けの道具として使い続ける。
それでも飯塚への一途な想いを捨てられずにいた律だったが、とうとう新しい飼い主に売り渡す日を告げられてしまう。
新しい飼い主として律の前に現れたのは、桐山という男だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる