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社会人編 season2
第2話→sideT
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康史はコレクションだかファッションショーだかなんかで1ヶ月ほどイタリアに行っていた。
康史は、なんだか帰ってくなり不機嫌な様子でトランクや荷物を玄関にほおり出して、俺が迎えに出る間もなくリビングへとズカズカと入ってきた。
康史は、主に海外でファッションモデルをしているので、このマンションにちゃんと帰ってくるのは、そんなにはない。
最近は慣れたが、ざらに3ヶ月会わないこともあった。
高3の時に付き合って、それからずっと同棲をしているが、最近は長い期間一緒にいるってことが少なくなっている。
オフになれば、それなりに期間家にいるが1、2週間ってところだし、日本での仕事もあるようだ。
俺も運送業なので、近距離であればその日のうちに帰れるし、まあ、明け帰りだと連休にはなるので、遠距離じゃなければ長い時間一緒にいれる。
康史も日本の仕事が多くなると、どうしてもメディア露出しなくてはならないから、色々なマスコミからの干渉があるのが鬱陶しいらしく、海外の仕事をわざと受けて避けているようだ。
まあ、あまり露出しすぎると痛くもない腹をさぐられるとはいっていた。
「おォ、オカエリィ。ヤス。あー、メシどーする?疲れてんべ、これからどっか食いにいくか?」
今日は1日休みをとったので、なんだか不機嫌すぎる顔をどうにか和ませるようと立ち上がって、そのまま抱きしめようと近づく。
俺の意図にすぐに気がついたのか、康史は上着を脱ぎながら片手をあげて俺の動きを静止する。
「トール、ちょっと待って。今日は七海さんと、一緒にきたから。今、駐車場に車を停めてからくる」
待てと言われて、俺は手持ち無沙汰になり冷蔵庫にいくと中を覗きこんで物色する。
康史が、俺にわかるくらい不機嫌とかいうのは珍しい。
付き合って一緒に暮らし始めてから8年近いが、そんな事は滅多にない。
たまにあるのは、俺の長距離と康史のオフがバッティングした時くらいか。
「珍しいな、貫田さんか。…………茶とか出すか?」
冷蔵庫をバタバタ開け閉めしてると、康史が横からあんまりあけっぱにするなといいながら、コンロにお湯をかけはじめる。
「いいよ。トールは座ってろよ。俺がコーヒー淹れるから」
疲れてるかと思い俺なりに気を使ったのだが、いらぬ世話だったようだ。
仕方がないので、俺は冷蔵庫からチーズを取り出して口に入れて、テーブルの固定席に座る。
なんだ、何かあったか?
ほどなくして、康史の敏腕マネージャーである貫田七海がリビングに入ってくる。
貫田さんは身長が高くショートカットの似合う美人な女性である。
「お、貫田サン、久しぶりだなァ」
マンションに勝手知ったる様子で入ってくると、慣れた風情で俺の目の前の椅子に座る、貫田さんを眺める。
女性にしては、さばけた性格なのでかなり話はしやすい。波砂に似ているかもしれない。
「東流君、久しぶりね。ん、相変わらずストリート系のモデルに誘いたくなるくらいの筋肉質な体と、無駄なイケメンぶりだわね」
「あー、それはお断りだって。俺ァ、ヤスと違って、モデルは柄じゃねーからな。今日はどうしたンだよ?ココにくるとか珍しいなぁ」
康史が人数分出してくれたコーヒーに、俺は口をつけながら飲み込む。
モデルは芸能人とはちょっと違うらしく、基本的にメディア露出があまりしていなければ、マネージャーが私生活まで介入することはない。
康史は俺とのことを、事務所に入る前にカムアウトしているので、事務所の公認である。
だから、入籍していることも認められている。
「ねえ、東流君は子供の頃からずっと康史と一緒にいるのよね。中学の頃って、康史は、もう君と付き合ってたの?」
いきなり矛先を俺にむけられて、驚いて俺は康史の顔を見やる。
「ちょっと、七海さん。来ていきなりはやめて。トールにはちゃんと俺から順序だてては話すし…………。それにかトールは関係ないから。さっき巻き込まないでって言っただろ」
珍しく酷い剣幕で、康史はピシャリと貫田さんの言葉を遮った。
いままでにない、康史の口調に俺は思わず腰をあげた。
帰ってきてからの、不機嫌は多分これが原因なのだろうな。
「関係あるわよ!あんたたち2人は入籍してるんでしょ?ぜんっぜん関係なくなんかないわよ」
俺ではなく、貫田さんが負けじと言い返して、ふたりはギッと睨みあった。
康史は、なんだか帰ってくなり不機嫌な様子でトランクや荷物を玄関にほおり出して、俺が迎えに出る間もなくリビングへとズカズカと入ってきた。
康史は、主に海外でファッションモデルをしているので、このマンションにちゃんと帰ってくるのは、そんなにはない。
最近は慣れたが、ざらに3ヶ月会わないこともあった。
高3の時に付き合って、それからずっと同棲をしているが、最近は長い期間一緒にいるってことが少なくなっている。
オフになれば、それなりに期間家にいるが1、2週間ってところだし、日本での仕事もあるようだ。
俺も運送業なので、近距離であればその日のうちに帰れるし、まあ、明け帰りだと連休にはなるので、遠距離じゃなければ長い時間一緒にいれる。
康史も日本の仕事が多くなると、どうしてもメディア露出しなくてはならないから、色々なマスコミからの干渉があるのが鬱陶しいらしく、海外の仕事をわざと受けて避けているようだ。
まあ、あまり露出しすぎると痛くもない腹をさぐられるとはいっていた。
「おォ、オカエリィ。ヤス。あー、メシどーする?疲れてんべ、これからどっか食いにいくか?」
今日は1日休みをとったので、なんだか不機嫌すぎる顔をどうにか和ませるようと立ち上がって、そのまま抱きしめようと近づく。
俺の意図にすぐに気がついたのか、康史は上着を脱ぎながら片手をあげて俺の動きを静止する。
「トール、ちょっと待って。今日は七海さんと、一緒にきたから。今、駐車場に車を停めてからくる」
待てと言われて、俺は手持ち無沙汰になり冷蔵庫にいくと中を覗きこんで物色する。
康史が、俺にわかるくらい不機嫌とかいうのは珍しい。
付き合って一緒に暮らし始めてから8年近いが、そんな事は滅多にない。
たまにあるのは、俺の長距離と康史のオフがバッティングした時くらいか。
「珍しいな、貫田さんか。…………茶とか出すか?」
冷蔵庫をバタバタ開け閉めしてると、康史が横からあんまりあけっぱにするなといいながら、コンロにお湯をかけはじめる。
「いいよ。トールは座ってろよ。俺がコーヒー淹れるから」
疲れてるかと思い俺なりに気を使ったのだが、いらぬ世話だったようだ。
仕方がないので、俺は冷蔵庫からチーズを取り出して口に入れて、テーブルの固定席に座る。
なんだ、何かあったか?
ほどなくして、康史の敏腕マネージャーである貫田七海がリビングに入ってくる。
貫田さんは身長が高くショートカットの似合う美人な女性である。
「お、貫田サン、久しぶりだなァ」
マンションに勝手知ったる様子で入ってくると、慣れた風情で俺の目の前の椅子に座る、貫田さんを眺める。
女性にしては、さばけた性格なのでかなり話はしやすい。波砂に似ているかもしれない。
「東流君、久しぶりね。ん、相変わらずストリート系のモデルに誘いたくなるくらいの筋肉質な体と、無駄なイケメンぶりだわね」
「あー、それはお断りだって。俺ァ、ヤスと違って、モデルは柄じゃねーからな。今日はどうしたンだよ?ココにくるとか珍しいなぁ」
康史が人数分出してくれたコーヒーに、俺は口をつけながら飲み込む。
モデルは芸能人とはちょっと違うらしく、基本的にメディア露出があまりしていなければ、マネージャーが私生活まで介入することはない。
康史は俺とのことを、事務所に入る前にカムアウトしているので、事務所の公認である。
だから、入籍していることも認められている。
「ねえ、東流君は子供の頃からずっと康史と一緒にいるのよね。中学の頃って、康史は、もう君と付き合ってたの?」
いきなり矛先を俺にむけられて、驚いて俺は康史の顔を見やる。
「ちょっと、七海さん。来ていきなりはやめて。トールにはちゃんと俺から順序だてては話すし…………。それにかトールは関係ないから。さっき巻き込まないでって言っただろ」
珍しく酷い剣幕で、康史はピシャリと貫田さんの言葉を遮った。
いままでにない、康史の口調に俺は思わず腰をあげた。
帰ってきてからの、不機嫌は多分これが原因なのだろうな。
「関係あるわよ!あんたたち2人は入籍してるんでしょ?ぜんっぜん関係なくなんかないわよ」
俺ではなく、貫田さんが負けじと言い返して、ふたりはギッと睨みあった。
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