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番外編
新生活祝い →side T
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「大体100均のハンドグリッパーは一握りで潰れるからなァ、簡単にバキバキって割れちまう」
「…………そんなもん割るなよ」
旅行ぶりに会った誠士と東山と話しながら、マンションについて中に入る。
部屋は暖かくて、早速美味そうな匂いがする。
康史が作ってくれたんだなと思うと、ひどく幸せな気分でいっぱいになる。
毎日帰れば康史に会える生活は、本当に嬉しい。
「いつ来ても、男ふたりの部屋に思えないよな」
「まあ、ほら、康史の部屋だし」
「ヤスはオシャレだからな。そして、片付け上手だ」
俺は2人に少し自慢するように返す。
「東流は、散らかす専門だしな。大体、昔から東流が歩いた後ろを、雑巾もって康史が拭いてるのがデフォ」
誠士はけらけら笑いながら、リビングのソファーに座る。
誠士の座る位置は大体同じ場所で、ほぼほぼ定位置である。
この部屋の合鍵をもっているし、まあ、いわゆる俺らの家族みたいなもんになっちまっている。
「お前ら手伝えよ。冷蔵庫にサラダとか入ってる」
康史は、ため息をついて指示するが、なんだか嬉しそうにみえる。
3日後には、入学式って言っていたたからな。
誠士たちもきっと同じなんだろう。
別の学校になるし俺は社会人だし、こうやって集まるのもあんまりできなくなりそうだな。
冷蔵庫からサラダの入ったボールを出して、テーブルに置く。
レストランのように並べられた食べものに、俺は喉を鳴らした。
「で、東流は、どうなの?仕事」
「あー、まあまあだ。同期もなんだかイイヤツだし」
「お、そりゃ良かった。東流は抜けてるから一人にして大丈夫か心配してた」
誠士はぽんと背中をたたく。
抜けてるってなぁ、どういうことだ?
「先輩は、ちと、たまにムカってすっけど。まあ、大体そーいうもんだろうしな」
「殴ったらダメだぞ」
「分かってンよ」
東山の言葉に、大丈夫と返す。
確かに阪口さんとかは、ちまちまうるせえことを言う。
それでもなんか社長の言葉とか、俺が東高を潰した話とかを聞いてから、なんだか少し態度が違った。
北高は阪口さんにとっては、軟弱なイメージだったらしい。
よくわからねえけど、ブランド思考ってやつなのかもしれん。
「俺も部活に参加したけど、やっぱり大学級ってのはすげえよな。オリンピックとかマジ目指してるし」
「セージは目指さないのか」
「俺は、そこまでじゃねえもん」
笑いながら自分の腕を眺めて、ふうっと息をつく。
「世の中にはすげー奴がたくさんいるんだよ。それをいくと、東山はスゲーよな。だってU19だぞ、世界が相手だもんな」
「俺は中学も高校もサッカー一筋だったからね。さすがに公立の壁は超えられなかったから、これからがスタートだ」
スポーツマンらしく爽やかな笑顔を向けられて、やっぱりみんなすげえなと思う。
喧嘩ばっかしてても、世界一とかそういうのになれねーし。
まあ、別に後悔とかはしてねえけど。
「準備完了、じゃあ始めるか」
康史は嬉しそうに、唐揚げの皿をどんと置いてグラスにコーラを注いだ。
「…………そんなもん割るなよ」
旅行ぶりに会った誠士と東山と話しながら、マンションについて中に入る。
部屋は暖かくて、早速美味そうな匂いがする。
康史が作ってくれたんだなと思うと、ひどく幸せな気分でいっぱいになる。
毎日帰れば康史に会える生活は、本当に嬉しい。
「いつ来ても、男ふたりの部屋に思えないよな」
「まあ、ほら、康史の部屋だし」
「ヤスはオシャレだからな。そして、片付け上手だ」
俺は2人に少し自慢するように返す。
「東流は、散らかす専門だしな。大体、昔から東流が歩いた後ろを、雑巾もって康史が拭いてるのがデフォ」
誠士はけらけら笑いながら、リビングのソファーに座る。
誠士の座る位置は大体同じ場所で、ほぼほぼ定位置である。
この部屋の合鍵をもっているし、まあ、いわゆる俺らの家族みたいなもんになっちまっている。
「お前ら手伝えよ。冷蔵庫にサラダとか入ってる」
康史は、ため息をついて指示するが、なんだか嬉しそうにみえる。
3日後には、入学式って言っていたたからな。
誠士たちもきっと同じなんだろう。
別の学校になるし俺は社会人だし、こうやって集まるのもあんまりできなくなりそうだな。
冷蔵庫からサラダの入ったボールを出して、テーブルに置く。
レストランのように並べられた食べものに、俺は喉を鳴らした。
「で、東流は、どうなの?仕事」
「あー、まあまあだ。同期もなんだかイイヤツだし」
「お、そりゃ良かった。東流は抜けてるから一人にして大丈夫か心配してた」
誠士はぽんと背中をたたく。
抜けてるってなぁ、どういうことだ?
「先輩は、ちと、たまにムカってすっけど。まあ、大体そーいうもんだろうしな」
「殴ったらダメだぞ」
「分かってンよ」
東山の言葉に、大丈夫と返す。
確かに阪口さんとかは、ちまちまうるせえことを言う。
それでもなんか社長の言葉とか、俺が東高を潰した話とかを聞いてから、なんだか少し態度が違った。
北高は阪口さんにとっては、軟弱なイメージだったらしい。
よくわからねえけど、ブランド思考ってやつなのかもしれん。
「俺も部活に参加したけど、やっぱり大学級ってのはすげえよな。オリンピックとかマジ目指してるし」
「セージは目指さないのか」
「俺は、そこまでじゃねえもん」
笑いながら自分の腕を眺めて、ふうっと息をつく。
「世の中にはすげー奴がたくさんいるんだよ。それをいくと、東山はスゲーよな。だってU19だぞ、世界が相手だもんな」
「俺は中学も高校もサッカー一筋だったからね。さすがに公立の壁は超えられなかったから、これからがスタートだ」
スポーツマンらしく爽やかな笑顔を向けられて、やっぱりみんなすげえなと思う。
喧嘩ばっかしてても、世界一とかそういうのになれねーし。
まあ、別に後悔とかはしてねえけど。
「準備完了、じゃあ始めるか」
康史は嬉しそうに、唐揚げの皿をどんと置いてグラスにコーラを注いだ。
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