俺たちの××

怜悧(サトシ)

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番外編

卒業旅行 →sideT

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飛行機に乗ってから約3時間で那覇空港に着くと、荷物を受け取ってめんそーれの看板を通って出る。
何気に飛行機の中から見る景色も雲ばかりだったけど面白かったしな。
スプリングコートは機内で脱いだが、長袖だと暑い感じがする。

「ヤス、すぐホテルいくんだっけ?」

俺はゴロゴロとカートを引っ張りながら隣を歩く康史に、周りを見回しながら声をかける。
「荷物だけフロントに預けようか。国際通りとかで飯くったりしたいだろ?」
「ハブとマングースの戦いが見たい」
俺がいうと、康史は観光マップを開いて首をかしげる。
「それは、わかんないから、明日までにさがしとくから。とりあえず、うまい飯にありつこうぜ」
「あ、康史、一応昼メシどころは目処つけてるから」
そういうことは、リサーチャーな誠士に任せておけば、まあ、安心だ。
海にも行きたいし、あと、どこにいくかな。
旅行とか、家族できたこともないから、俺は普段になくワクワクしている。
「旅行とか、マジいつぶりだろ!」
「夏に海いったじゃん」
「ありゃ、日帰りだろ?」
康史の言葉に応戦すると、それを聞いていた士龍も、同じくと返して、
「かーちゃんも仕事ばっかだし、俺も旅行とか久々だなー」
「士龍は、オヤジと行かなかったのか。毎年俺は連れてかれたけど…………」
「あ、いかなかったけど、とーちゃんはソッチ優先だし、仕方ねーじゃない?」
からからと笑いながら、士龍は弟の言葉に軽く返事をしたが。
ちょっとテンションさがったのがわかる。
「…………来年からは、毎年士龍を旅行にオレが連れてくから」
弟が士龍に声を潜めて告げて、なんだか俺まで嬉しくなる。
にこっと笑う士龍のテンションがただあがりになるのがわかる。
いい彼氏をもったなあと、まるで父親のような気分に俺もなっていた。

「じゃ、ホテルに荷物を置きにいくぞ。明日はレンタカー借りたけど、今日はモノレールで移動な!」
誠士がわちゃわちゃ話をしている俺達をぶったぎって、仕切りはじめる。
さっすが、空手部部長なだけあって、頼もしいぜ。
「ヤス、ホテルの部屋はみんな一緒か?」
「2人づつに決まってんだろ。折角旅行なんだしさ……」
続く言葉が予想できて、俺は慌てて康史の口を掌で塞ぐ。
「それ以上言うな」
言われたら困る。
最近はホントに俺の体が節度をなくしているのだから、先に期待させないでほしい。
「ふうん。…………なんか想像した?」
手を離すとニヤニヤしながら、意地悪に囁く康史を睨みつける。
「うるせえよ」
「せんせー、トールがエッチなこと考えて勃ってまーす」
「先生いねーし。……バカ」
俺は手加減はしたが、強く康史の背中をどついて、カートを担いで早足でそこから逃げ出した。
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