俺たちの××

怜悧(サトシ)

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番外編

おくりもの →side T

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「誕生日には、渡そうと思ってたんだけどね。でも、良く考えたらオレ得でしかないかなって渡さなかったんだ」

入社式まであと3週間。高校も卒業したし、特にやることもないので、格闘ゲームをやっていた。
おもむろに康史は革でできたソレを、俺の懐にぽいっと置いてくる。

あー。
そういや、忘れてたけど、変な店でバレンタインデーに採寸したっけ。
革でできた、ちんこのオモチャつきの貞操帯とやらだ。
確かに、プレゼントされても康史にしか得はないな。

「んー?ナニ?いま、コレをつけて欲しいのか?」

とりあえず敵をKOさせて、コントローラを机に置いた。
渡されたそれを手にとってしみじみと眺める。
サンプルとやらでも、結構きつかったよなあ。
「いや、それは後でいいよ。あのさ…………トール、お願いがあるんだけどさ……」
珍しく殊勝な態度で、俺の横に座りながら肩をもたれかけてくる。
「んだよ…………?」
康史の少し癖のある髪を、ゆっくりとすくようにして撫でる。
「オレの誕生日のプレゼント…………。すごく欲しいものがあってさ…………」
上目遣いでオネダリする様が、キュンとするほど可愛いらしい。
康史の誕生日は、6月である。

「なんだよ…………?あー、そんなに欲しいなら、何でもやるから、遠慮なく言え。給料も貰うだろうから。そんなに高いのか?」
どことなく言いずらそうな表情に、俺は首を傾げる。
そこまで欲しいもんってなんだろうな。

「金の問題じゃないんだ。…………これを作りに行った店で月1でイベントがあるんだけどさ、一緒に6月に行ってくれないか?」
一緒にいくだけで、そんなに言いづらいのか?
俺はそれだけじゃないだろうなと、悟った。
「どんなイベント?お前が俺にオネダリするくらいだから、普通じゃあねえんだろ?」
「ん。自分のパートナーを連れていくイベントなんだけどさ…………」
言いにくそうな様子に俺はどんな内容なのか、なんとなくだが想像で分かった。

「イーヨ。分かった。コレつけて、首輪着けてそこに一緒に行って欲しいんだろ?これ着けたら、したくてしょうがなくなるけど、そのイベント、乱交なのか?」
それはイヤだなと呟くと、康史は肩を軽く抱き寄せてくる。

「ありがと。ホントにいいのか?乱交不可の首輪をしていくから、大丈夫。そうしたら誕生日、愉しみにしてていい?」 
甘く艶やかな声で囁かれて、俺は仕方ないなとちょっと笑って頷く。

「じゃ、コレも、あとで慣らそうね。そうだ、トール、3日くらいさ、トールを好きにしていい?」

康史は、ひどく嬉しそうな顔で俺を覗きこんだ。

好きにしてってな。
何の意味で聞かれているのか、漠然だが、鈍感な俺でもなんとなく分かってしまう。
あんまり内容聞きたくねえ感じだが。

「3日間のあと、俺は何日寝込む予定だ?」
まあ、外に出てもどうせ乱闘やなんかに巻き込まれそうだし、別に部屋にいるだけなんだろう。
予定は無いし、それは構わないんだけどな。
そればっかも、飽きるし。
「あ、なんか、予想してる?」
「まあな」
「じゃあ、寝込むの入れて1週間で。来週は誠士が卒業旅行一緒に行く予定組んでくれたから」
3日後4日寝込むとか、かなりハードな予定なんだな、と思う。
まあ、この春休みを逃すと、俺も長い休みはほとんど皆無になっちまう。
「………………わかった。旅行ひかえてんなら、あんまり無茶すんなよ。鍛えてはいるけど、そーいうのは、鍛えられねーし」
「へへ、トール、好き」
へらりと笑うと、テーブルの上に置いたままの食器とかを上機嫌で片付け始める。
まあ、進路違うのは俺が選んだせいだし、これから、生活が変わって我慢させちまうことを思うと、いろいろしてやりてえなって思う。
「それにしても旅行って、どこいくんだ?」
相変わらず何の相談もないが。
まあ、それもデフォルトだな。
「えっと、沖縄」
「は?パスポートとか持ってねーよ」
飛行機乗るのは初めてだ。
そういう準備が必要なことは、早めに報告がほしい。
「沖縄にはパスポートいらないよ」
「飛行機乗るのにか?!」
「国内はいらないよ。パスポートは、外国の入国に必要なの。あ、ヒガシも一緒にいくって」
いきなり東山の名前が出て少しびっくりする。
「マジか。そりゃ愉しみ。って、セージとヒガシ繋がりあったんか?」
「部活の主将同士だしね。そういうからみで話すことあったみたい」
「シロたちも一緒にいかないかなー」
確か士龍は1年留年しているので、卒業ではないはずだけど。

やっぱり、再会したことだし、小学校のころ付き合いがあったしなあ。

「……誘ってみる?でも……現地の人と喧嘩しちゃダメだよ」 
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