278 / 353
番外編
おくりもの →side T
しおりを挟む
「誕生日には、渡そうと思ってたんだけどね。でも、良く考えたらオレ得でしかないかなって渡さなかったんだ」
入社式まであと3週間。高校も卒業したし、特にやることもないので、格闘ゲームをやっていた。
おもむろに康史は革でできたソレを、俺の懐にぽいっと置いてくる。
あー。
そういや、忘れてたけど、変な店でバレンタインデーに採寸したっけ。
革でできた、ちんこのオモチャつきの貞操帯とやらだ。
確かに、プレゼントされても康史にしか得はないな。
「んー?ナニ?いま、コレをつけて欲しいのか?」
とりあえず敵をKOさせて、コントローラを机に置いた。
渡されたそれを手にとってしみじみと眺める。
サンプルとやらでも、結構きつかったよなあ。
「いや、それは後でいいよ。あのさ…………トール、お願いがあるんだけどさ……」
珍しく殊勝な態度で、俺の横に座りながら肩をもたれかけてくる。
「んだよ…………?」
康史の少し癖のある髪を、ゆっくりとすくようにして撫でる。
「オレの誕生日のプレゼント…………。すごく欲しいものがあってさ…………」
上目遣いでオネダリする様が、キュンとするほど可愛いらしい。
康史の誕生日は、6月である。
「なんだよ…………?あー、そんなに欲しいなら、何でもやるから、遠慮なく言え。給料も貰うだろうから。そんなに高いのか?」
どことなく言いずらそうな表情に、俺は首を傾げる。
そこまで欲しいもんってなんだろうな。
「金の問題じゃないんだ。…………これを作りに行った店で月1でイベントがあるんだけどさ、一緒に6月に行ってくれないか?」
一緒にいくだけで、そんなに言いづらいのか?
俺はそれだけじゃないだろうなと、悟った。
「どんなイベント?お前が俺にオネダリするくらいだから、普通じゃあねえんだろ?」
「ん。自分のパートナーを連れていくイベントなんだけどさ…………」
言いにくそうな様子に俺はどんな内容なのか、なんとなくだが想像で分かった。
「イーヨ。分かった。コレつけて、首輪着けてそこに一緒に行って欲しいんだろ?これ着けたら、したくてしょうがなくなるけど、そのイベント、乱交なのか?」
それはイヤだなと呟くと、康史は肩を軽く抱き寄せてくる。
「ありがと。ホントにいいのか?乱交不可の首輪をしていくから、大丈夫。そうしたら誕生日、愉しみにしてていい?」
甘く艶やかな声で囁かれて、俺は仕方ないなとちょっと笑って頷く。
「じゃ、コレも、あとで慣らそうね。そうだ、トール、3日くらいさ、トールを好きにしていい?」
康史は、ひどく嬉しそうな顔で俺を覗きこんだ。
好きにしてってな。
何の意味で聞かれているのか、漠然だが、鈍感な俺でもなんとなく分かってしまう。
あんまり内容聞きたくねえ感じだが。
「3日間のあと、俺は何日寝込む予定だ?」
まあ、外に出てもどうせ乱闘やなんかに巻き込まれそうだし、別に部屋にいるだけなんだろう。
予定は無いし、それは構わないんだけどな。
そればっかも、飽きるし。
「あ、なんか、予想してる?」
「まあな」
「じゃあ、寝込むの入れて1週間で。来週は誠士が卒業旅行一緒に行く予定組んでくれたから」
3日後4日寝込むとか、かなりハードな予定なんだな、と思う。
まあ、この春休みを逃すと、俺も長い休みはほとんど皆無になっちまう。
「………………わかった。旅行ひかえてんなら、あんまり無茶すんなよ。鍛えてはいるけど、そーいうのは、鍛えられねーし」
「へへ、トール、好き」
へらりと笑うと、テーブルの上に置いたままの食器とかを上機嫌で片付け始める。
まあ、進路違うのは俺が選んだせいだし、これから、生活が変わって我慢させちまうことを思うと、いろいろしてやりてえなって思う。
「それにしても旅行って、どこいくんだ?」
相変わらず何の相談もないが。
まあ、それもデフォルトだな。
「えっと、沖縄」
「は?パスポートとか持ってねーよ」
飛行機乗るのは初めてだ。
そういう準備が必要なことは、早めに報告がほしい。
「沖縄にはパスポートいらないよ」
「飛行機乗るのにか?!」
「国内はいらないよ。パスポートは、外国の入国に必要なの。あ、ヒガシも一緒にいくって」
いきなり東山の名前が出て少しびっくりする。
「マジか。そりゃ愉しみ。って、セージとヒガシ繋がりあったんか?」
「部活の主将同士だしね。そういうからみで話すことあったみたい」
「シロたちも一緒にいかないかなー」
確か士龍は1年留年しているので、卒業ではないはずだけど。
やっぱり、再会したことだし、小学校のころ付き合いがあったしなあ。
「……誘ってみる?でも……現地の人と喧嘩しちゃダメだよ」
入社式まであと3週間。高校も卒業したし、特にやることもないので、格闘ゲームをやっていた。
おもむろに康史は革でできたソレを、俺の懐にぽいっと置いてくる。
あー。
そういや、忘れてたけど、変な店でバレンタインデーに採寸したっけ。
革でできた、ちんこのオモチャつきの貞操帯とやらだ。
確かに、プレゼントされても康史にしか得はないな。
「んー?ナニ?いま、コレをつけて欲しいのか?」
とりあえず敵をKOさせて、コントローラを机に置いた。
渡されたそれを手にとってしみじみと眺める。
サンプルとやらでも、結構きつかったよなあ。
「いや、それは後でいいよ。あのさ…………トール、お願いがあるんだけどさ……」
珍しく殊勝な態度で、俺の横に座りながら肩をもたれかけてくる。
「んだよ…………?」
康史の少し癖のある髪を、ゆっくりとすくようにして撫でる。
「オレの誕生日のプレゼント…………。すごく欲しいものがあってさ…………」
上目遣いでオネダリする様が、キュンとするほど可愛いらしい。
康史の誕生日は、6月である。
「なんだよ…………?あー、そんなに欲しいなら、何でもやるから、遠慮なく言え。給料も貰うだろうから。そんなに高いのか?」
どことなく言いずらそうな表情に、俺は首を傾げる。
そこまで欲しいもんってなんだろうな。
「金の問題じゃないんだ。…………これを作りに行った店で月1でイベントがあるんだけどさ、一緒に6月に行ってくれないか?」
一緒にいくだけで、そんなに言いづらいのか?
俺はそれだけじゃないだろうなと、悟った。
「どんなイベント?お前が俺にオネダリするくらいだから、普通じゃあねえんだろ?」
「ん。自分のパートナーを連れていくイベントなんだけどさ…………」
言いにくそうな様子に俺はどんな内容なのか、なんとなくだが想像で分かった。
「イーヨ。分かった。コレつけて、首輪着けてそこに一緒に行って欲しいんだろ?これ着けたら、したくてしょうがなくなるけど、そのイベント、乱交なのか?」
それはイヤだなと呟くと、康史は肩を軽く抱き寄せてくる。
「ありがと。ホントにいいのか?乱交不可の首輪をしていくから、大丈夫。そうしたら誕生日、愉しみにしてていい?」
甘く艶やかな声で囁かれて、俺は仕方ないなとちょっと笑って頷く。
「じゃ、コレも、あとで慣らそうね。そうだ、トール、3日くらいさ、トールを好きにしていい?」
康史は、ひどく嬉しそうな顔で俺を覗きこんだ。
好きにしてってな。
何の意味で聞かれているのか、漠然だが、鈍感な俺でもなんとなく分かってしまう。
あんまり内容聞きたくねえ感じだが。
「3日間のあと、俺は何日寝込む予定だ?」
まあ、外に出てもどうせ乱闘やなんかに巻き込まれそうだし、別に部屋にいるだけなんだろう。
予定は無いし、それは構わないんだけどな。
そればっかも、飽きるし。
「あ、なんか、予想してる?」
「まあな」
「じゃあ、寝込むの入れて1週間で。来週は誠士が卒業旅行一緒に行く予定組んでくれたから」
3日後4日寝込むとか、かなりハードな予定なんだな、と思う。
まあ、この春休みを逃すと、俺も長い休みはほとんど皆無になっちまう。
「………………わかった。旅行ひかえてんなら、あんまり無茶すんなよ。鍛えてはいるけど、そーいうのは、鍛えられねーし」
「へへ、トール、好き」
へらりと笑うと、テーブルの上に置いたままの食器とかを上機嫌で片付け始める。
まあ、進路違うのは俺が選んだせいだし、これから、生活が変わって我慢させちまうことを思うと、いろいろしてやりてえなって思う。
「それにしても旅行って、どこいくんだ?」
相変わらず何の相談もないが。
まあ、それもデフォルトだな。
「えっと、沖縄」
「は?パスポートとか持ってねーよ」
飛行機乗るのは初めてだ。
そういう準備が必要なことは、早めに報告がほしい。
「沖縄にはパスポートいらないよ」
「飛行機乗るのにか?!」
「国内はいらないよ。パスポートは、外国の入国に必要なの。あ、ヒガシも一緒にいくって」
いきなり東山の名前が出て少しびっくりする。
「マジか。そりゃ愉しみ。って、セージとヒガシ繋がりあったんか?」
「部活の主将同士だしね。そういうからみで話すことあったみたい」
「シロたちも一緒にいかないかなー」
確か士龍は1年留年しているので、卒業ではないはずだけど。
やっぱり、再会したことだし、小学校のころ付き合いがあったしなあ。
「……誘ってみる?でも……現地の人と喧嘩しちゃダメだよ」
0
お気に入りに追加
360
あなたにおすすめの小説
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
松本先生のハードスパンキング パート5
バンビーノ
BL
「お尻、大丈夫?」
休み時間、きれいなノートをとっていた子が微笑みながら言いました。僕のお仕置きの噂は、休み時間に他のクラスにも伝わり、みんなに知れ渡りました。姉は、何をやっているのと呆れていました。姉も松本先生の教え子でしたが、叱られた記憶はないと言います。教室では素振り用の卓球ラケット、理科室では一メートル定規がお仕置きの定番グッズになりました。
でもいちばん強烈な思い出は、理科室の隣の準備室での平手打ちです。実験中、先生の注意をろくに聞いていなかった僕は、薬品でカーテンを焦がすちょっとしたぼや騒ぎを起こしてしまったのです。放課後、理科室の隣の小部屋に僕は呼びつけられました。そして金縛りにあっているような僕を、力ずくで先生は自分の膝の上に乗せました。体操着の短パンのお尻を上にして。ピシャッ、ピシャッ……。
「先生、ごめんなさい」
さすがに今度ばかりは謝るしかないと思いました。先生は無言でお尻の平手打ちを続けました。だんだんお尻が熱くしびれていきます。松本先生は僕にとって、もうかけがえのない存在でした。最も身近で、最高に容赦がなくて、僕のことを誰よりも気にかけてくれている。その先生の目の前に僕のお尻が。痛いけど、もう僕はお仕置きに酔っていました。
「先生はカーテンが焦げて怒ってるんじゃない。お前の体に燃え移ってたかもしれないんだぞ」
その夜は床に就いても松本先生の言葉が甦り、僕は自分のお尻に両手を当ててつぶやきました。
「先生の手のひらの跡、お尻にまだついてるかな。紅葉みたいに」
6月の修学旅行のとき、僕は足をくじいてその場にうずくまりました。その時近づいてきたのが松本先生でした。体格のいい松本先生は、軽々と僕をおぶって笑いながら言いました。
「お前はほんとに軽いなあ。ちゃんと食わないとダメだぞ」
つい先日さんざん平手打ちされた松本先生の大きな手のひらが、僕のお尻を包み込んでくれている。厚くて、ゴツゴツして、これが大人の男の人の手のひらなんだな。子供はこうやって大人に守られているんだな。宿について、僕はあのお仕置きをされたときにはいていた紺の体操着の短パンにはきかえました。あの時の白衣を着た松本先生が夢の中に出てくる気がしました。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
松本先生のハードスパンキング パート1
バンビーノ
BL
中学3年になると、新しい学年主任に松本先生が決まりました。ベテランの男の先生でした。校内でも信頼が厚かったので、受験を控えた大事な時期を松本先生が見ることになったようです。松本先生は理科を教えていました。恰幅のすごくいいどっしりした感じの先生でした。僕は当初、何も気に留めていませんでした。特に生徒に怖がられているわけでもなく、むしろ慕われているくらいで、特別厳しいという噂もありません。ただ生活指導には厳しく、本気で怒ると相当怖いとは誰かが言っていましたが。
初めての理科の授業も、何の波乱もなく終わりました。授業の最後に松本先生は言いました。
「次の授業では理科室で実験をする。必ず待ち針をひとり5本ずつ持ってこい。忘れるなよ」
僕はもともと忘れ物はしない方でした。ただだんだん中学の生活に慣れてきたせいか、だらけてきていたところはあったと思います。僕が忘れ物に気がついたのは二度目の理科の始業ベルが鳴った直後で、ほどなく松本先生が理科室に入ってきました。僕は、あ、いけないとは思いましたが、気楽に考えていました。どうせ忘れたのは大勢いるだろう。確かにその通りで、これでは実験ができないと、松本先生はとても不機嫌そうでした。忘れた生徒はその場に立つように言われ、先生は一人ずつえんま帳にメモしながら、生徒の席の間を歩いて回り始めました。そして僕の前に立った途端、松本先生は急に険しい表情になり、僕を怒鳴りつけました。
「なんだ、その態度は! 早くポケットから手を出せ!」
気が緩んでいたのか、それは僕の癖でもあったのですが、僕は何気なくズボンのポケットに両手を突っ込んでいたのでした。さらにまずいことに、僕は先生に怒鳴られてもポケットからすぐには手を出そうとしませんでした。忘れ物くらいでなぜこんなに怒られなきゃいけないんだろう。それは反抗心というのではなく、目の前の現実が他人事みたいな感じで、先生が何か言ったのも上の空で聞き過ごしてしまいました。すると松本先生はいよいよ怒ったように振り向いて、教卓の方に向かい歩き始めました。ますますまずい。先生はきっと僕がふてくされていると思ったに違いない。松本先生は何か思いついたように、教卓の上に載せてあった理科室の定規を手に取りました。それは実験のときに使う定規で、普通の定規よりずっと厚みがあり、幅も広いがっしりした木製の一メートル定規です。松本先生はその定規で軽く素振りをしてから、半ば独り言のようにつぶやいたのでした。「いまからこれでケツひっぱたくか……」。
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる