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三学期編
ハッピーバースデー →side T
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免許センターで、免許証を受け取ってからバイクで隣の市の駅前に向かう。地元じゃなくて、隣の市でデートらしい。
試験はちょっとだけ記憶するのに頭を使ったので、疲労感は半端ない。
誕生日祝いか。なんだかんだ、康史はこれまでちょこちょこそういうことしてくれたよな。
俺は康史にしたことがなかったけど。今年の康史の誕生日はちゃんとお祝いしてやんなきゃな。
免許センターは、隣の隣の市にあるので駅前までかかっちまったな。
早くいかねーと、康史を少しでも1人にしちまうのはなんだか怖い。
せいた気持ちのままで、駐車場にバイクを止めてメットをしまって、待ちあわせ場所に急ぐ。
待ちあわせた、ネコの像の前に立っている康史はそれだけで絵になるから、すぐ分かる。
幸いにも近くに誠士がいるからか誰にも絡まれてはいないようだ。
1人でいたら、勧誘とかナンパとか喧嘩とかいろんな目にあうからな。
「ヤス、待たせた」
小走りに駆け寄ると、康史は俺を見上げて嬉しそうに手を振る。
「免許の方は、勿論ゲットできたんだよな」
「おー。慣れない頭使ったから疲れた」
ぐったりという表情を浮かべると、軽く胸をどんとたたかれる。
誠士はお役ごめんとばかりに俺の肩をたたいておめでとうと告げて、手を振ってさっさと立ち去る。
「.....おめでと。じゃあ今日は両方の祝いだね」
康史は嬉しそうに、俺のジャケットのポケに手を入れる。
ポケの中で手を繋ごうという合図だ。
俺もポケに手をいれて、康史の手を掴んで握りしめる。
「渡したいモノがあるから、店にいこうか。取り置きしてるんだ」
康史は俺の手を繋いだまま、グイグイと引いてショッピングモールへと歩き始めた。
ショッピングモールにもあまり入ったことがないが、入ったことがないような店にいく。
店員もシャレた感じの人が多くて、なんだか浮いてるなとは思う。革ジャンと、いつものチノパンにシマウマの迷彩のシャツとかできたが、失敗したかな。
店員に連れられ、フィッティングで渡された服に着替える。
渡されたのは、黒いスキニーと灰色の厚手のニットと、少し薄手のモカカラーのシンプルなスプリングコート。
俺じゃ選ばない風合いの服に袖を通すと鏡に映る自分は、少しだけいつもより大人っぽくみえる。
いつもらガキくさい服を着ているわけではないが、康史が選ぶとこうも差がでるもんか。
フィッティングを出ると、すぐさま店員が駆け寄ってきて俺を見上げて笑みをみせてくる。
「お客様、身長が高いからかなりお似合いですね。どこかのモデルさんかと思いましたよ」
鏡をみやり、笑みをはりつける店員を見下ろすと、ビクッと身体を震わせる。
ビビッてんのかな。
「ん、やっぱりトールが着るとカッコイイね。着心地はどう?きつくない?」
康史は、店員の裏から顔をだして嬉しそうに眺めてくる。
「ああ、ピッタリだ。だけど、こんな、イイのかよ?」
ゆるくもきつくもなく、ニットの生地はあったかいし丁度いい。
「誕プレだからね。それに、こんなカッコイイトールを連れて歩けるのは、俺得でもある。支払いしてくるから待ってて」
康史の後ろ姿を見送って、着ていた服を手提げで渡される。荷物はロッカーにいれとくかな。
ふと夏休みに服をプレゼントされたことを思いだす。
男が服をプレゼントする理由なんとか、言ってたっけ。
まあ、それもまた俺には新たなプレゼントかもしれねーか。
戻ってきた康史に耳元でありがとうと囁くと、首筋を赤くして照れる。
ほーんとに、コイツは可愛いな。
ポケットからクリスマスに貰ったネックレスを出して引っかける。
俺の持ち物が全部康史のものに埋め尽くされる感覚。
こーいう店に入っても、この格好なら違和感ねえよな。
「あのよ、ヤス。オマエの誕生日、おぼえとけよ。倍返ししてやる」
「ぶは、トールにすごんで言われると。なんか別のことに聞こえちまう。摩訶不思議」
下から見上げて満面の笑みを浮かべる康史に、俺はゴクリと喉を鳴らす。ここで人目がなけりゃ、抱きしめたいとこなんだが、一応自重しとく。
「んー、トールの顔がエロい。もー、そんな顔されると我慢できなくなるんだけど」
俺の心を読んだのか、それともまったく読み切れてねーのか、康史はそんなことを言うと俺の腕を引く。
「何言ってンだよ。あーと、夕飯どーすんだ?」
「勿論予約してるに決まってんだろ」
テンプレ通りの言葉に、思わず俺は吹き出す。
ったく、コイツには抜かりはねえな。
この分ならホテルも予約してるとか言い出すな。コイツは。
「メシ食ったら、速攻帰るぞ。いま、明日立てねえくらいにオマエが欲しいわ。俺」
試験はちょっとだけ記憶するのに頭を使ったので、疲労感は半端ない。
誕生日祝いか。なんだかんだ、康史はこれまでちょこちょこそういうことしてくれたよな。
俺は康史にしたことがなかったけど。今年の康史の誕生日はちゃんとお祝いしてやんなきゃな。
免許センターは、隣の隣の市にあるので駅前までかかっちまったな。
早くいかねーと、康史を少しでも1人にしちまうのはなんだか怖い。
せいた気持ちのままで、駐車場にバイクを止めてメットをしまって、待ちあわせ場所に急ぐ。
待ちあわせた、ネコの像の前に立っている康史はそれだけで絵になるから、すぐ分かる。
幸いにも近くに誠士がいるからか誰にも絡まれてはいないようだ。
1人でいたら、勧誘とかナンパとか喧嘩とかいろんな目にあうからな。
「ヤス、待たせた」
小走りに駆け寄ると、康史は俺を見上げて嬉しそうに手を振る。
「免許の方は、勿論ゲットできたんだよな」
「おー。慣れない頭使ったから疲れた」
ぐったりという表情を浮かべると、軽く胸をどんとたたかれる。
誠士はお役ごめんとばかりに俺の肩をたたいておめでとうと告げて、手を振ってさっさと立ち去る。
「.....おめでと。じゃあ今日は両方の祝いだね」
康史は嬉しそうに、俺のジャケットのポケに手を入れる。
ポケの中で手を繋ごうという合図だ。
俺もポケに手をいれて、康史の手を掴んで握りしめる。
「渡したいモノがあるから、店にいこうか。取り置きしてるんだ」
康史は俺の手を繋いだまま、グイグイと引いてショッピングモールへと歩き始めた。
ショッピングモールにもあまり入ったことがないが、入ったことがないような店にいく。
店員もシャレた感じの人が多くて、なんだか浮いてるなとは思う。革ジャンと、いつものチノパンにシマウマの迷彩のシャツとかできたが、失敗したかな。
店員に連れられ、フィッティングで渡された服に着替える。
渡されたのは、黒いスキニーと灰色の厚手のニットと、少し薄手のモカカラーのシンプルなスプリングコート。
俺じゃ選ばない風合いの服に袖を通すと鏡に映る自分は、少しだけいつもより大人っぽくみえる。
いつもらガキくさい服を着ているわけではないが、康史が選ぶとこうも差がでるもんか。
フィッティングを出ると、すぐさま店員が駆け寄ってきて俺を見上げて笑みをみせてくる。
「お客様、身長が高いからかなりお似合いですね。どこかのモデルさんかと思いましたよ」
鏡をみやり、笑みをはりつける店員を見下ろすと、ビクッと身体を震わせる。
ビビッてんのかな。
「ん、やっぱりトールが着るとカッコイイね。着心地はどう?きつくない?」
康史は、店員の裏から顔をだして嬉しそうに眺めてくる。
「ああ、ピッタリだ。だけど、こんな、イイのかよ?」
ゆるくもきつくもなく、ニットの生地はあったかいし丁度いい。
「誕プレだからね。それに、こんなカッコイイトールを連れて歩けるのは、俺得でもある。支払いしてくるから待ってて」
康史の後ろ姿を見送って、着ていた服を手提げで渡される。荷物はロッカーにいれとくかな。
ふと夏休みに服をプレゼントされたことを思いだす。
男が服をプレゼントする理由なんとか、言ってたっけ。
まあ、それもまた俺には新たなプレゼントかもしれねーか。
戻ってきた康史に耳元でありがとうと囁くと、首筋を赤くして照れる。
ほーんとに、コイツは可愛いな。
ポケットからクリスマスに貰ったネックレスを出して引っかける。
俺の持ち物が全部康史のものに埋め尽くされる感覚。
こーいう店に入っても、この格好なら違和感ねえよな。
「あのよ、ヤス。オマエの誕生日、おぼえとけよ。倍返ししてやる」
「ぶは、トールにすごんで言われると。なんか別のことに聞こえちまう。摩訶不思議」
下から見上げて満面の笑みを浮かべる康史に、俺はゴクリと喉を鳴らす。ここで人目がなけりゃ、抱きしめたいとこなんだが、一応自重しとく。
「んー、トールの顔がエロい。もー、そんな顔されると我慢できなくなるんだけど」
俺の心を読んだのか、それともまったく読み切れてねーのか、康史はそんなことを言うと俺の腕を引く。
「何言ってンだよ。あーと、夕飯どーすんだ?」
「勿論予約してるに決まってんだろ」
テンプレ通りの言葉に、思わず俺は吹き出す。
ったく、コイツには抜かりはねえな。
この分ならホテルも予約してるとか言い出すな。コイツは。
「メシ食ったら、速攻帰るぞ。いま、明日立てねえくらいにオマエが欲しいわ。俺」
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