俺たちの××

怜悧(サトシ)

文字の大きさ
上 下
248 / 353
三学期編

報告 →side Y

しおりを挟む
遊園地で楽しんだあと一泊して翌日帰ってきたものの、昨日は2人ともグロッキーで、そのままダラダラいちゃいちゃして寝てしまった。
今日は東流は朝から教習所で、卒免試験とか言ってた。
もうすぐ誕生日の2月28日には、免許とりにいくらしいし。


あと3日しかないし、プレゼントとか探さないと。

こないだ用意したのは、誕プレというか、まあオレの趣味だ。
誰得っていったら俺得でしかない。
相手に喜んでもらえるもん探さないと。

どうしようかな。

とりあえず、これから出掛けるのにボディガードになるかわからないが、誠士を呼ぶことにする。
喧嘩はしないが、一応全国級の空手の選手だし、見かけは強そうだしな。
スマホを手にして、誠士にコールをする。

『もしー、康史?めずらしいね、もしかして、女紹介してくれんの?』

相変わらずの誠士の言葉に、オレはちょっとぶはっと吹き出す。
「ずっとヒッキーだったし。今は人と関わってねえよ。ごめん。あのさ、買い物行きたいんだけど……そろそろさあ」
『あー、いいよ、どうせ暇だし。そういや、あんときバタバタしてたけど、〇▽大合格したんだってな、おめでと』
オレの言いたいことを直ぐに理解したのか、買い物への付き合いを承諾してくれた。
誠士が理解が早いのは、本当に助かる。
「まあ、そういやあ誠士はもう推薦で決まってたしな」
何気なくそう返すと、しばらく誠士は押し黙り、
『…………あ、康史、記憶戻ったのか』
ちょっと驚いた声が聞こえて、そういやこれも報告してなかったなと思い出す。
「あ、うん。戻った。こないだ、討ち入りの後くらいに…………。心配してくれたのに言うのが遅くなった。ごめん」
遊園地にいったりして、ついつい話してなかったな。
誠士もすごく心配してくれたのにな。4日もたっちまった。
『お、やっぱり記憶戻ったのか、良かった。康史は気にしいだな。かんけーないって、俺らはダチなんだし』
携帯の声には、なんの裏もなく安心する。
自分から報告の電話くらいしとけば良かったなとは思う。
「ん、ありがとうな。もうすぐ、トールの誕生日だし、プレゼント買いにいきたくてさ」
『だよな。そんなことだろうとは思ってた。今から行くからうまーい昼メシ食わせてね』
誠士がじゃあねと電話を切ったので、ふっと息をついてスマホをテーブルに置いた。

あれだな、恋愛にはまるとダチ関係の付き合い悪くなるとかホントにダメすぎるな。

反省しないとな。

反省ついでに、希望にこたえて誠士にうまーいメシ作ってやるか。

オレは、キッチンに向かい、冷蔵庫を開けた。




「今日の昼メシ凝ってたな。あれ、なによ」

誠士のバイクのタンデムに乗せてもらい、オレ達は隣の市までやってきた。
自分らの市よりも駅前に大きなショッピングモールがあってひらけている。
「フツーのキャベツのぺペロンチーノと、玉ねぎと鳥のスープだけど?」
たまには昼飯をとあさった冷蔵庫には大したものがなかった。せめて、味付けにはこだわったが大した料理もできなかった。
まあは、誠士だけに作るとかあんまなかったから、今回は味付けも誠士向きに変えたくらいか。

「味つけが、いつもと違った」

それを見抜くとは、かなり鋭い。

誠士は、東流と違いほんとに鋭いヤツだ。
「いつもは、ほら、トールの好みの味付けにしてるから。今日は誠士が好きそうな味にしてみた」
「まー、いつも思うけど、ホントに康史は女の子だったら、ホントに最高なんだよな。こころから残念だけどよ」
いやいや、オレの場合は、女の子だったらとか言われ慣れすぎていて嬉しくはない。
普通ならば、かなりムカつくだけなんだが、誠士に言われてもそんなに腹はたたない。
「えー?オレが女ならね。そうか?好きなヤツ犯すやつだけど、どうなの?スゲえやべえ女の子じゃね」
「やべえけど、美女に迫られるのは嬉しいだろ。まあ、康史は顔良くなかったらタダの犯罪者だし。病み系の変態サディストだろ」
誠士の言葉に吹き出して、それもそっかとつぶやく。
まあ、自覚がないわけではない。

「で、プレゼント決まってんの?」

「いや、決まってねえけど。トールの感覚かなりズレてるし、何が喜ぶかわかんないからな」
オレとはかなりセンスが違うのはわかる。
よく服を選んで買って着せたりしてるが、喜んで着てるかどうかは謎だ。
好きな人が自分の気に入った服を着てくれるとか、まじで嬉しいとか思うが、貰った方が嬉しいかどうかはよくわからない。

「ん。でもさ、康史は東流から貰ったもん全部とっておいてるだろ?机の上にかざったりさ」
誠士はよく部屋の中のもん見てるなとおもいながらゆっくり歩き近くのショップの前に立つ。
「まあ、トールから貰ったもんは、全部宝物で大事だ」
「そーいうこと。好きな奴から貰ったら、全部嬉しいだろ」
まともなことを言い出す誠士にオレはそうだなと笑う。
そうだな、でも東流も社会人になるんだし、必要そうなものを贈ろう。
東流が持っていないような、社会人ぽいもの。
全部か?

「一式探すから、手伝ってくれ」

トラック運転手って、何が必要かな。まずは、そこから考えなくちゃだ。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性的イジメ

ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。 作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。 全二話 毎週日曜日正午にUPされます。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

双葉病院小児病棟

moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。 病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。 この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。 すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。 メンタル面のケアも大事になってくる。 当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。 親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。 【集中して治療をして早く治す】 それがこの病院のモットーです。 ※この物語はフィクションです。 実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。

ずっと女の子になりたかった 男の娘の私

ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。 ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。 そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。

松本先生のハードスパンキング パート5

バンビーノ
BL
「お尻、大丈夫?」  休み時間、きれいなノートをとっていた子が微笑みながら言いました。僕のお仕置きの噂は、休み時間に他のクラスにも伝わり、みんなに知れ渡りました。姉は、何をやっているのと呆れていました。姉も松本先生の教え子でしたが、叱られた記憶はないと言います。教室では素振り用の卓球ラケット、理科室では一メートル定規がお仕置きの定番グッズになりました。  でもいちばん強烈な思い出は、理科室の隣の準備室での平手打ちです。実験中、先生の注意をろくに聞いていなかった僕は、薬品でカーテンを焦がすちょっとしたぼや騒ぎを起こしてしまったのです。放課後、理科室の隣の小部屋に僕は呼びつけられました。そして金縛りにあっているような僕を、力ずくで先生は自分の膝の上に乗せました。体操着の短パンのお尻を上にして。ピシャッ、ピシャッ……。 「先生、ごめんなさい」  さすがに今度ばかりは謝るしかないと思いました。先生は無言でお尻の平手打ちを続けました。だんだんお尻が熱くしびれていきます。松本先生は僕にとって、もうかけがえのない存在でした。最も身近で、最高に容赦がなくて、僕のことを誰よりも気にかけてくれている。その先生の目の前に僕のお尻が。痛いけど、もう僕はお仕置きに酔っていました。 「先生はカーテンが焦げて怒ってるんじゃない。お前の体に燃え移ってたかもしれないんだぞ」  その夜は床に就いても松本先生の言葉が甦り、僕は自分のお尻に両手を当ててつぶやきました。 「先生の手のひらの跡、お尻にまだついてるかな。紅葉みたいに」  6月の修学旅行のとき、僕は足をくじいてその場にうずくまりました。その時近づいてきたのが松本先生でした。体格のいい松本先生は、軽々と僕をおぶって笑いながら言いました。 「お前はほんとに軽いなあ。ちゃんと食わないとダメだぞ」  つい先日さんざん平手打ちされた松本先生の大きな手のひらが、僕のお尻を包み込んでくれている。厚くて、ゴツゴツして、これが大人の男の人の手のひらなんだな。子供はこうやって大人に守られているんだな。宿について、僕はあのお仕置きをされたときにはいていた紺の体操着の短パンにはきかえました。あの時の白衣を着た松本先生が夢の中に出てくる気がしました。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

部室強制監獄

裕光
BL
 夜8時に毎日更新します!  高校2年生サッカー部所属の祐介。  先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。  ある日の夜。  剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう  気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた  現れたのは蓮ともう1人。  1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。  そして大野は裕介に向かって言った。  大野「お前も肉便器に改造してやる」  大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…  

支配された捜査員達はステージの上で恥辱ショーの開始を告げる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...