俺たちの××

怜悧(サトシ)

文字の大きさ
上 下
227 / 353
三学期編

ちいさな違和感 →side Y

しおりを挟む
よりを戻したばかりで、感極まっているふたりを残して、オレと東流は当初の予定通り駅前のホテルへと歩いてきた。
帰りのことも考えると、歩きが1番な気がする。
前から来てみたいと思っていたホテルである。

東流は、漸く到着したそのホテルを見上げて、少し眉を寄せで表情をやや曇らす。
なんだか、いつもと様子が違う。 
このホテルにはとても嫌な思い出がある、そんな顔つきだ。 
どうやらここに来るのは、初めてではなさそうだ。

「トール、此処に来たことあるの?」

まあ、オレのことだし、趣味趣向はそんなに変わりはしない。
記憶はないが、二人で来たんだろう。
表情から見たかんじだと、あんまり良い記憶じゃなさそうだ。
SM趣向のある部屋もあるくらいだから、もしかしたら、東流に色々と無理させたのかもしれない。

「あるよ…………。確かにあんまり、良い思い出じゃねえけど。その時もヤスは女装してたな。なんか、状況が色々デジャヴ」

ちらと向いた表情からは、オレに対してはまったく刺とかはない。
違和感。
やり過ぎたってわけじゃないのか。
オレに対する嫌悪とかではなさそうだ。
「そうか、やめとく?アッチのホテルにするか」
様子に思わずこのまま入るのも気が引けてしまう。
思わず違うホテルを指さすと、東流はオレ腕をぐいと引っ張る。

「これは、オマエへの祝いだ。前から来たかったんだろう。変な遠慮はいらねーよ」

東流は潔い顔をして、オレをホテルの中に引っ張り込んだ。
「なあ。前に何があったかとかは、教えてくれねえの?」
東流の気が変わらないうちに、パネルから木馬や器具が取り揃えられた部屋を選び、カードを受け取る。
エレベーターに乗ると、東流はオレをじっと見やり、
「思い出さないなら、オレとしちゃあオマエには思い出しては欲しくねエコとかな」
そして、東流はオレの体にぐっと身体を押し付けて、壁ドンよろしく腕をついて目を覗きこむ。

「俺の中の悪い思い出は、今度はオマエが上書きしろよ」

命じることに慣れた口調。
東流の本来の目の色に、オレは魅入られて虜になる。

「勿論」

東流は、オレの中の嫌な記憶を上書きしてくれた。
だったら、オレもそうしないと。

それにしても。

「トール、すげえちんこ硬いの当たってるんだけど。もしかしてすげえ期待してる?」

頷く東流の首筋が紅く染まるのに、オレは耐え切れずエレベーターの中だというのに、首筋にかぶりついた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

年越しチン玉蕎麦!!

ミクリ21
BL
チン玉……もちろん、ナニのことです。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...