224 / 353
三学期編
護衛中 →side T
しおりを挟む
士龍の仲間たちはバイクに乗っては来なかったらしい。
念のため護衛しろと言われたので、駅前店にバイクを置いて二人を送って帰ることにした。
護衛とは、まあ言い過ぎかもしれねえけど、追っ手がいないかどうか確認しながら歩いている。
二人はぎこちない歩き方で、俺の少し後ろを小さくなって歩いている。
ビビッてる感じではないが、振り返って不審そうに視線を向けると、察したように士龍の懐刀だろう短髪のら男が口を開いた。
「うちの高校の奴らに見られたら、トールさんに拉致られるてるとこかと誤解されそうなんで」
俺の右後ろから苦笑浮かべて、言い訳するように告げた。
「……なんでだ?」
言っていることが分からず首を傾げるとおかしそうに、ソイツは笑う。
「わかんないすか?…………うーん、拉致ってシロウさんとかを呼び出すとか。普通は考えちゃうかと思うんすけど」
「……………わかんねえな。別に拉致る必要ないだろ。潰したいならそこで潰せばいい……」
意味がわからないので、ダラダラ歩きながら首を捻っておく。
「木崎、その人の強さなら、そんな小細工は理解不能だべ。うちの精鋭10人とタケちゃんでも、カスリキズも与えられなかったレベル」
右に歩いているやつの名前は木崎というらしい。
幸い記憶力はいいので、次に会っても大丈夫だ。
左の方は、タケちゃんとやらに襲われた時に確か周りに指示だしてたやつだな。
ミヤとか呼ばれていた。
まあ、俺に返してくれとお迎えに来たくらいだし、赤毛のタケちゃんが攫われたら、ヤクザでも助けにいくよなあ。
恋人とは意外すぎたけど。
「…………別に、こっちから潰したいとかはねえな。俺がいねえときに、ヤスに手を出されたのは本気でアタマきたけど…………」
「トールさんは、あんまりケンカ好きじゃない?シロウさんと同じように仕方なくやってる感じですか」
木崎は、興味深そうな顔をして俺に聞いてくる。
「東流でいい。そうだなあ、別に好きでしてはいないな。俺は絡まれたり、ヤスに手を出されなきゃ、自分で喧嘩してえわけじゃない。疲れるし、面倒だし、どうせ俺が勝つだけだから」
「そ、そうなんすね。じゃあ噂どうりじゃないんっすね。やっぱり一つ上なんで、東流さんって呼ぶっす。俺は木崎直哉っていいます」
律儀そうな顔つきの木崎は、意外そうな顔をして俺を見やる。
「ナオヤな……」
「あ、俺も聞きたかったんすけど、士龍さんの苗字、タチバナだったんすか?」
ミヤと呼ばれていた男は、探るかのようなちょっと深刻そうに聞いてくる。
「小学校ときは、橘士龍だったぜ。駅前のでっけえ橘病院の息子。その頃は、綺麗な金髪と緑の目で、ドイツの血が入ってるからか、ちっさいし髪の毛キラキラしてたし、可愛くて天使のようだった」
思い出すと、オレが康史以外に可愛いと思えたのは、士龍くらいだった。
それでも、康史が1番可愛かったのだけど。
「タチバナ…………やっぱり、ホントだったんだな」
何やら考えこむように呟く。
「シロウさんは、ちょっと抜けてるけど、まあ嘘はつかねえよ」
2人で何やら分かりあっているが、その話は俺には関係がないようだ。
「天使のように可愛らしいシロウさんとか、想像できないですけど」
「アダ名はウイーン少年だったかなあ。俺は天使とか、シロって呼んでたけどな」
俺は、とりあえずナオヤの家の近くまでいくと、ポケットから携帯を取り出して、差し出す。
「な、なんすか?」
「番号、控えておけ。もしもヤクザに襲われたら、呼べ」
自分で電話番号を表示できないので、なんとかしろと言外に言って渡す。
「は、はい。いいんすか?」
「登録したら、ワン切りしとけ」
俺は士龍の手下たちと、電話番号を交換し合う。
とりあえずしっかりしたヤツらだったので、安心した。
念のため護衛しろと言われたので、駅前店にバイクを置いて二人を送って帰ることにした。
護衛とは、まあ言い過ぎかもしれねえけど、追っ手がいないかどうか確認しながら歩いている。
二人はぎこちない歩き方で、俺の少し後ろを小さくなって歩いている。
ビビッてる感じではないが、振り返って不審そうに視線を向けると、察したように士龍の懐刀だろう短髪のら男が口を開いた。
「うちの高校の奴らに見られたら、トールさんに拉致られるてるとこかと誤解されそうなんで」
俺の右後ろから苦笑浮かべて、言い訳するように告げた。
「……なんでだ?」
言っていることが分からず首を傾げるとおかしそうに、ソイツは笑う。
「わかんないすか?…………うーん、拉致ってシロウさんとかを呼び出すとか。普通は考えちゃうかと思うんすけど」
「……………わかんねえな。別に拉致る必要ないだろ。潰したいならそこで潰せばいい……」
意味がわからないので、ダラダラ歩きながら首を捻っておく。
「木崎、その人の強さなら、そんな小細工は理解不能だべ。うちの精鋭10人とタケちゃんでも、カスリキズも与えられなかったレベル」
右に歩いているやつの名前は木崎というらしい。
幸い記憶力はいいので、次に会っても大丈夫だ。
左の方は、タケちゃんとやらに襲われた時に確か周りに指示だしてたやつだな。
ミヤとか呼ばれていた。
まあ、俺に返してくれとお迎えに来たくらいだし、赤毛のタケちゃんが攫われたら、ヤクザでも助けにいくよなあ。
恋人とは意外すぎたけど。
「…………別に、こっちから潰したいとかはねえな。俺がいねえときに、ヤスに手を出されたのは本気でアタマきたけど…………」
「トールさんは、あんまりケンカ好きじゃない?シロウさんと同じように仕方なくやってる感じですか」
木崎は、興味深そうな顔をして俺に聞いてくる。
「東流でいい。そうだなあ、別に好きでしてはいないな。俺は絡まれたり、ヤスに手を出されなきゃ、自分で喧嘩してえわけじゃない。疲れるし、面倒だし、どうせ俺が勝つだけだから」
「そ、そうなんすね。じゃあ噂どうりじゃないんっすね。やっぱり一つ上なんで、東流さんって呼ぶっす。俺は木崎直哉っていいます」
律儀そうな顔つきの木崎は、意外そうな顔をして俺を見やる。
「ナオヤな……」
「あ、俺も聞きたかったんすけど、士龍さんの苗字、タチバナだったんすか?」
ミヤと呼ばれていた男は、探るかのようなちょっと深刻そうに聞いてくる。
「小学校ときは、橘士龍だったぜ。駅前のでっけえ橘病院の息子。その頃は、綺麗な金髪と緑の目で、ドイツの血が入ってるからか、ちっさいし髪の毛キラキラしてたし、可愛くて天使のようだった」
思い出すと、オレが康史以外に可愛いと思えたのは、士龍くらいだった。
それでも、康史が1番可愛かったのだけど。
「タチバナ…………やっぱり、ホントだったんだな」
何やら考えこむように呟く。
「シロウさんは、ちょっと抜けてるけど、まあ嘘はつかねえよ」
2人で何やら分かりあっているが、その話は俺には関係がないようだ。
「天使のように可愛らしいシロウさんとか、想像できないですけど」
「アダ名はウイーン少年だったかなあ。俺は天使とか、シロって呼んでたけどな」
俺は、とりあえずナオヤの家の近くまでいくと、ポケットから携帯を取り出して、差し出す。
「な、なんすか?」
「番号、控えておけ。もしもヤクザに襲われたら、呼べ」
自分で電話番号を表示できないので、なんとかしろと言外に言って渡す。
「は、はい。いいんすか?」
「登録したら、ワン切りしとけ」
俺は士龍の手下たちと、電話番号を交換し合う。
とりあえずしっかりしたヤツらだったので、安心した。
0
お気に入りに追加
360
あなたにおすすめの小説
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
松本先生のハードスパンキング パート5
バンビーノ
BL
「お尻、大丈夫?」
休み時間、きれいなノートをとっていた子が微笑みながら言いました。僕のお仕置きの噂は、休み時間に他のクラスにも伝わり、みんなに知れ渡りました。姉は、何をやっているのと呆れていました。姉も松本先生の教え子でしたが、叱られた記憶はないと言います。教室では素振り用の卓球ラケット、理科室では一メートル定規がお仕置きの定番グッズになりました。
でもいちばん強烈な思い出は、理科室の隣の準備室での平手打ちです。実験中、先生の注意をろくに聞いていなかった僕は、薬品でカーテンを焦がすちょっとしたぼや騒ぎを起こしてしまったのです。放課後、理科室の隣の小部屋に僕は呼びつけられました。そして金縛りにあっているような僕を、力ずくで先生は自分の膝の上に乗せました。体操着の短パンのお尻を上にして。ピシャッ、ピシャッ……。
「先生、ごめんなさい」
さすがに今度ばかりは謝るしかないと思いました。先生は無言でお尻の平手打ちを続けました。だんだんお尻が熱くしびれていきます。松本先生は僕にとって、もうかけがえのない存在でした。最も身近で、最高に容赦がなくて、僕のことを誰よりも気にかけてくれている。その先生の目の前に僕のお尻が。痛いけど、もう僕はお仕置きに酔っていました。
「先生はカーテンが焦げて怒ってるんじゃない。お前の体に燃え移ってたかもしれないんだぞ」
その夜は床に就いても松本先生の言葉が甦り、僕は自分のお尻に両手を当ててつぶやきました。
「先生の手のひらの跡、お尻にまだついてるかな。紅葉みたいに」
6月の修学旅行のとき、僕は足をくじいてその場にうずくまりました。その時近づいてきたのが松本先生でした。体格のいい松本先生は、軽々と僕をおぶって笑いながら言いました。
「お前はほんとに軽いなあ。ちゃんと食わないとダメだぞ」
つい先日さんざん平手打ちされた松本先生の大きな手のひらが、僕のお尻を包み込んでくれている。厚くて、ゴツゴツして、これが大人の男の人の手のひらなんだな。子供はこうやって大人に守られているんだな。宿について、僕はあのお仕置きをされたときにはいていた紺の体操着の短パンにはきかえました。あの時の白衣を着た松本先生が夢の中に出てくる気がしました。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる