俺たちの××

怜悧(サトシ)

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三学期編

護衛中 →side T

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士龍の仲間たちはバイクに乗っては来なかったらしい。
念のため護衛しろと言われたので、駅前店にバイクを置いて二人を送って帰ることにした。
護衛とは、まあ言い過ぎかもしれねえけど、追っ手がいないかどうか確認しながら歩いている。
二人はぎこちない歩き方で、俺の少し後ろを小さくなって歩いている。
ビビッてる感じではないが、振り返って不審そうに視線を向けると、察したように士龍の懐刀だろう短髪のら男が口を開いた。

「うちの高校の奴らに見られたら、トールさんに拉致られるてるとこかと誤解されそうなんで」
俺の右後ろから苦笑浮かべて、言い訳するように告げた。
「……なんでだ?」
言っていることが分からず首を傾げるとおかしそうに、ソイツは笑う。
「わかんないすか?…………うーん、拉致ってシロウさんとかを呼び出すとか。普通は考えちゃうかと思うんすけど」
「……………わかんねえな。別に拉致る必要ないだろ。潰したいならそこで潰せばいい……」
意味がわからないので、ダラダラ歩きながら首を捻っておく。
「木崎、その人の強さなら、そんな小細工は理解不能だべ。うちの精鋭10人とタケちゃんでも、カスリキズも与えられなかったレベル」
右に歩いているやつの名前は木崎というらしい。
幸い記憶力はいいので、次に会っても大丈夫だ。
左の方は、タケちゃんとやらに襲われた時に確か周りに指示だしてたやつだな。
ミヤとか呼ばれていた。
まあ、俺に返してくれとお迎えに来たくらいだし、赤毛のタケちゃんが攫われたら、ヤクザでも助けにいくよなあ。
恋人とは意外すぎたけど。

「…………別に、こっちから潰したいとかはねえな。俺がいねえときに、ヤスに手を出されたのは本気でアタマきたけど…………」
「トールさんは、あんまりケンカ好きじゃない?シロウさんと同じように仕方なくやってる感じですか」
木崎は、興味深そうな顔をして俺に聞いてくる。
「東流でいい。そうだなあ、別に好きでしてはいないな。俺は絡まれたり、ヤスに手を出されなきゃ、自分で喧嘩してえわけじゃない。疲れるし、面倒だし、どうせ俺が勝つだけだから」 
「そ、そうなんすね。じゃあ噂どうりじゃないんっすね。やっぱり一つ上なんで、東流さんって呼ぶっす。俺は木崎直哉っていいます」
律儀そうな顔つきの木崎は、意外そうな顔をして俺を見やる。
「ナオヤな……」
「あ、俺も聞きたかったんすけど、士龍さんの苗字、タチバナだったんすか?」
ミヤと呼ばれていた男は、探るかのようなちょっと深刻そうに聞いてくる。

「小学校ときは、橘士龍だったぜ。駅前のでっけえ橘病院の息子。その頃は、綺麗な金髪と緑の目で、ドイツの血が入ってるからか、ちっさいし髪の毛キラキラしてたし、可愛くて天使のようだった」
思い出すと、オレが康史以外に可愛いと思えたのは、士龍くらいだった。
それでも、康史が1番可愛かったのだけど。
「タチバナ…………やっぱり、ホントだったんだな」
何やら考えこむように呟く。
「シロウさんは、ちょっと抜けてるけど、まあ嘘はつかねえよ」
2人で何やら分かりあっているが、その話は俺には関係がないようだ。

「天使のように可愛らしいシロウさんとか、想像できないですけど」
「アダ名はウイーン少年だったかなあ。俺は天使とか、シロって呼んでたけどな」

俺は、とりあえずナオヤの家の近くまでいくと、ポケットから携帯を取り出して、差し出す。
「な、なんすか?」
「番号、控えておけ。もしもヤクザに襲われたら、呼べ」
自分で電話番号を表示できないので、なんとかしろと言外に言って渡す。

「は、はい。いいんすか?」

「登録したら、ワン切りしとけ」

俺は士龍の手下たちと、電話番号を交換し合う。

とりあえずしっかりしたヤツらだったので、安心した。

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