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冬休み編
初詣 →side Y
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東流が面倒そうな不機嫌な顔をするのが、明らかに目に見えて分かった。
誠士を見ると、ふうっと息を吐き出して深呼吸をし、周りを見回し隙を突いて逃げられるように逃走経路を探している。
誠士のこういうところは、ホントに潔く抜け目がない。
東流は周りを見回して、肩をごきごきと鳴らしている。
「遊ぶのにはここは人が多いねェ、俺ァ、かなり引っ込み思案だから、ちょっと裏がいいかなァって思うンだけど、どう思う?」
ダルそうに他のやつらより一歩前に出ている、いつもの糸目のリーゼント男にトールは歩み寄って、首を傾げながら鋭い目で睨みあげてにっと口角をあげて、人の悪い笑みを浮かべる。
「キャハハ、ハセガワ君は、そんな殊勝な性格だったっけェ?」
「結構、俺は控えめな性格のつもりだけどなァ。かなりのシャイボーイだって街では有名よ」
東流は、気にした様子もなく顎先で神社の裏をくいっと指して、裏回るように勝手に歩き出す。
取り囲んでいた男達も気にせず東流の後ろについてずんずんと歩いていく。
男達の動きを気にしながら、俺も東流の後についていき、神社の裏の林の中へと足を向ける。
誠士は、その隙にささっと逃げ出したようだ。
まあ、アイツはうまく立ち回れるし万が一捕まっても空手家だから弱くないし、逃げるわけじゃないから大丈夫だろう。
「正月早々、毎年ヒマだなァ、あんたら」
「去年のは先輩たちで、俺らじゃないだろうけど。オマエらも毎年同じ神社に初詣きてンじゃねえか」
ガサガサとすっかり枯れた落ち葉を踏みしめながら林の奥へとたどり着く。
「もうそろそろ、落ち着いてもいいんじゃねえかって話」
「そうね、ハセガワ君、最近丸くなったってウワサだけど、ソレってヒダカ君とデキちゃったからってもっぱら有名よ?」
まあ、学校でも外でも隠してないし、夏にあんなこともあったしな、と思いながらちらっと東流を見やると、案の定まったく気にしたような様子もなく、不思議そうにやつらを眺めている。
「まあな。俺らは、喧嘩より愛にめざめちったのよ。おめえらと遊んでてもツマンネェなって話」
肯定ととれる返事をして、本気でつまらなそうに欠伸をして、東流はゆっくりと足を引いてどこからも隙のない体勢を作る。
因縁はどーでもいいことばかりだ。
東高は、オレらが中学の頃に潰してから明らかに目の敵にしている。
世代も変わってしまっているのに、そんな昔の話は水に流してくれねえかなとも思うが、そうはいかないらしい。
「だったら、早くその最強の称号を俺らに譲ってくれネエかなって、ホモ野郎にはいらねェだろ」
「最強ねェ、そーいうのはあんまり興味はねーんだけどさ、負けるのはイヤなんだよねェ」
拳をぐっと握り締めて、ぽんぽんと叩いてすっかり相手と応戦する気満々である。
仕方ねえな、逃げるつもりはなかったが、こうなったらとことん応戦するしかない。
「ま、アイドルばりにこんな綺麗な顔が近くにあったら、変な気持ちにならねえでもないかもしれねえけどな」
「ふん、そこいらのアイドルなんかと同じにすンなよ」
東流は向かってきた男の頭に拳を繰り出しで殴り飛ばす。背後から東流を狙う男に俺は足を引っ掛けて蹴り倒した。
「あぶねェ」
「ヤスのが100倍カワイイんだからな」
ノロケられるのは嬉しかったが、微妙な言い回しに思わずズッコケたくなる。
って、何考えてンだろうな。
そんなことを言い出す東流の方が100倍カワイイなんて考えてしまいながら、背後からの攻撃を防ごうと背中を向けて応戦する。
息があがる。
東流も体力はそんなに残ってねえだろうしな……早目にきりあげるぞ………。
「ノロケごっちそうさんって言っていいのか……くそ……」
頭格の男が見回すと、下のやつらは全部転がって伸びている。
糸目の男は、必死で頭角の奴のフォローに入ろうとするが、東流には死角はない。
東流は軽く肩がゆれてはいるが、まったく消耗した様子はない。
「運動にもなんねえな…………俺たちが強くなりすぎちまったんかねえ」
腕をぐいっと伸ばして、長髪の男の肩をつかんでにっと笑みを刻む。
一発がつんと腹部へとつきいれて、放り捨てるように体を投げ出す。
丸くなんかは、全くなってない気がする。
オレは東流の肩をぽんと叩いて、視線を合わせる。
「いくか………?」
「おー、あっけなかったなァ。思ったより」
少し拍子抜けしたような東流の表情を見やって俺は軽く頷いた。
それが、事件の引き金になるとはまったく思っていなかった。
誠士を見ると、ふうっと息を吐き出して深呼吸をし、周りを見回し隙を突いて逃げられるように逃走経路を探している。
誠士のこういうところは、ホントに潔く抜け目がない。
東流は周りを見回して、肩をごきごきと鳴らしている。
「遊ぶのにはここは人が多いねェ、俺ァ、かなり引っ込み思案だから、ちょっと裏がいいかなァって思うンだけど、どう思う?」
ダルそうに他のやつらより一歩前に出ている、いつもの糸目のリーゼント男にトールは歩み寄って、首を傾げながら鋭い目で睨みあげてにっと口角をあげて、人の悪い笑みを浮かべる。
「キャハハ、ハセガワ君は、そんな殊勝な性格だったっけェ?」
「結構、俺は控えめな性格のつもりだけどなァ。かなりのシャイボーイだって街では有名よ」
東流は、気にした様子もなく顎先で神社の裏をくいっと指して、裏回るように勝手に歩き出す。
取り囲んでいた男達も気にせず東流の後ろについてずんずんと歩いていく。
男達の動きを気にしながら、俺も東流の後についていき、神社の裏の林の中へと足を向ける。
誠士は、その隙にささっと逃げ出したようだ。
まあ、アイツはうまく立ち回れるし万が一捕まっても空手家だから弱くないし、逃げるわけじゃないから大丈夫だろう。
「正月早々、毎年ヒマだなァ、あんたら」
「去年のは先輩たちで、俺らじゃないだろうけど。オマエらも毎年同じ神社に初詣きてンじゃねえか」
ガサガサとすっかり枯れた落ち葉を踏みしめながら林の奥へとたどり着く。
「もうそろそろ、落ち着いてもいいんじゃねえかって話」
「そうね、ハセガワ君、最近丸くなったってウワサだけど、ソレってヒダカ君とデキちゃったからってもっぱら有名よ?」
まあ、学校でも外でも隠してないし、夏にあんなこともあったしな、と思いながらちらっと東流を見やると、案の定まったく気にしたような様子もなく、不思議そうにやつらを眺めている。
「まあな。俺らは、喧嘩より愛にめざめちったのよ。おめえらと遊んでてもツマンネェなって話」
肯定ととれる返事をして、本気でつまらなそうに欠伸をして、東流はゆっくりと足を引いてどこからも隙のない体勢を作る。
因縁はどーでもいいことばかりだ。
東高は、オレらが中学の頃に潰してから明らかに目の敵にしている。
世代も変わってしまっているのに、そんな昔の話は水に流してくれねえかなとも思うが、そうはいかないらしい。
「だったら、早くその最強の称号を俺らに譲ってくれネエかなって、ホモ野郎にはいらねェだろ」
「最強ねェ、そーいうのはあんまり興味はねーんだけどさ、負けるのはイヤなんだよねェ」
拳をぐっと握り締めて、ぽんぽんと叩いてすっかり相手と応戦する気満々である。
仕方ねえな、逃げるつもりはなかったが、こうなったらとことん応戦するしかない。
「ま、アイドルばりにこんな綺麗な顔が近くにあったら、変な気持ちにならねえでもないかもしれねえけどな」
「ふん、そこいらのアイドルなんかと同じにすンなよ」
東流は向かってきた男の頭に拳を繰り出しで殴り飛ばす。背後から東流を狙う男に俺は足を引っ掛けて蹴り倒した。
「あぶねェ」
「ヤスのが100倍カワイイんだからな」
ノロケられるのは嬉しかったが、微妙な言い回しに思わずズッコケたくなる。
って、何考えてンだろうな。
そんなことを言い出す東流の方が100倍カワイイなんて考えてしまいながら、背後からの攻撃を防ごうと背中を向けて応戦する。
息があがる。
東流も体力はそんなに残ってねえだろうしな……早目にきりあげるぞ………。
「ノロケごっちそうさんって言っていいのか……くそ……」
頭格の男が見回すと、下のやつらは全部転がって伸びている。
糸目の男は、必死で頭角の奴のフォローに入ろうとするが、東流には死角はない。
東流は軽く肩がゆれてはいるが、まったく消耗した様子はない。
「運動にもなんねえな…………俺たちが強くなりすぎちまったんかねえ」
腕をぐいっと伸ばして、長髪の男の肩をつかんでにっと笑みを刻む。
一発がつんと腹部へとつきいれて、放り捨てるように体を投げ出す。
丸くなんかは、全くなってない気がする。
オレは東流の肩をぽんと叩いて、視線を合わせる。
「いくか………?」
「おー、あっけなかったなァ。思ったより」
少し拍子抜けしたような東流の表情を見やって俺は軽く頷いた。
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