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二学期編
乱闘 →side Y
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すっかりキモチも体も盛り上がって、なんだかやけに身体の中から熱くなっている。
ヘルメットを被って誤魔化したが、顔が火照って仕方がねえ。
夜景とか見に来るとか、ホントにシュチュエーション作るのがうめえなとか、マメだなとか、康史の自分が全く考え付かない行動にいつだってびっくりさせられる。
康史はハンドルに引っ掛けてあるメットに、手をかけて一瞬まぶしそうに目を細めて動きをとめる。
バイクのヘッドライトか…………てか、多いな。
俺も反射的にタンデムシートから飛び降りて、康史の肩に手をかけた。
10台くらいのバイクに囲まれている。
さっきまでまったく気配を感じなかったから、殆どいまきたばかりのようだ。
「なあんだ、カップルじゃねえのか。野郎二人なんて、残念」
ふざけた口調の男がバイクから降りて、俺らの前へと歩み寄ってくる。
丸刈りを赤く染めたグラサンの男だが初めて見る顔で、絡まれる身に覚えは無い。
カップルだけど……とか、わざわざ言い返すのも面倒だなァ。
「この時期、リア充とかでココらへんのキラキラなイルミネーションな夜景見に来るカップル多いんだよねェ。目障りだから、オレらが駆除してンだけど」
「あ、そ。俺ら関係ねえから。通るンに邪魔だからどえいてくんね」
俺らカップルだけど。思いっきりイルミネーションのキラキラした夜景とか見にきたけど、わざわざそんなこと言って喧嘩を買う必要はねえし、何より早く帰ってヤりてえ気分なんだけど。
「イキがってんの?カップルじゃねえのはわかったけど、夜景堪能したンなら、通行料は払って貰いたいんだわ」
俺の胸倉を掴んでくる男の腕を軽く止めるように掴み返す。
握力もさほど強くはない。
こいつがアタマなら、この人数でもなんとかなるかな。
「俺ァ、5円しか持ってねえけど」
「ふざけてるの、お兄ちゃん。病院代はもっと高いよ」
俺の腹部を狙って突き出された拳を、掌で受け止めてその腕を捻るように投げ飛ばす。
「カナシロさん!大丈夫ですか!俺たちスコーピオンだと知って攻撃してるのか、オマエら」
「スコップオン?…………しらね」
倒れた男を救い出そうと、次々にバイクを飛び降りて襲い掛かってくる男達を地面へと沈める。
「後ろは任せろ。気にせず叩け」
いつものように、康史の声が響き、康史の俺の背後を狙うやつらをぼこぼこにしている拳の音が聞こえる。
ああ、そうだ。
ああ、康史を守る、じゃなくていつの間にか、俺は康史に背後を任せていたのだ。
ずっときづいてたのに、忘れていた。
守るだけの存在じゃなくなっている、そんなことに。
つうか、アタマ重いと思ったらメット被ったままんじゃねえか。俺。
メットを外して、目の前の男を蹴り倒して、ナイフ持って突進してくる男にメットを投げつけた。
「…………!!オマエ、北高のハセガワ」
一人が俺の頭を指差して、逃げ出そうと駆け出す背中に回し蹴りを食らわす。
バイクの近くにいた男たちは、くもの子を散らすように、バイクに飛び乗って丘を降りていく。
「……えーと、オマエがアタマ?ええっと、カナシロ君?」
最初に因縁をふっかけてきた男のシャツを掴んで、ぐっと持ち上げる。
「……は…はい……」
俺の顔を見て、どうやらビビッているのか体をふるふると震わせている。
「夜景、綺麗だよな。なあ、コレ、誰のもンだ?」
「……誰のモンでもねえ………です」
カタカタ震えて答える男に俺は満足して、ぽいっと地面に投げ捨てた。
「だよな。通行料とかケチな真似してっと、潰すぜ」
スコーなんとかとかいう族の名前もよく聞いたことはない。
喧嘩吹っかけてくるレベルのやつらでもないってことかな。
「暇だったら、もっと痛めつけてやるンだけど、忙しいから帰るわ。オマエらラッキーだったな」
俺は転がっているメットを拾って、再度被りなおす。
「いつになく、やっさしいね。トール」
笑いながらメットを被ってバイクに跨る康史のタンデムシートに座って腕を腰にまきつけた。
「早く帰りてえだけだ」
「んなに煽んないでよ」
まんざらでもない口調で康史は呟くと、エンジンをかけてスロットルを回して、倒れている男達を避けるようにして、華麗な動きを披露し丘を駆け下りていった。
ヘルメットを被って誤魔化したが、顔が火照って仕方がねえ。
夜景とか見に来るとか、ホントにシュチュエーション作るのがうめえなとか、マメだなとか、康史の自分が全く考え付かない行動にいつだってびっくりさせられる。
康史はハンドルに引っ掛けてあるメットに、手をかけて一瞬まぶしそうに目を細めて動きをとめる。
バイクのヘッドライトか…………てか、多いな。
俺も反射的にタンデムシートから飛び降りて、康史の肩に手をかけた。
10台くらいのバイクに囲まれている。
さっきまでまったく気配を感じなかったから、殆どいまきたばかりのようだ。
「なあんだ、カップルじゃねえのか。野郎二人なんて、残念」
ふざけた口調の男がバイクから降りて、俺らの前へと歩み寄ってくる。
丸刈りを赤く染めたグラサンの男だが初めて見る顔で、絡まれる身に覚えは無い。
カップルだけど……とか、わざわざ言い返すのも面倒だなァ。
「この時期、リア充とかでココらへんのキラキラなイルミネーションな夜景見に来るカップル多いんだよねェ。目障りだから、オレらが駆除してンだけど」
「あ、そ。俺ら関係ねえから。通るンに邪魔だからどえいてくんね」
俺らカップルだけど。思いっきりイルミネーションのキラキラした夜景とか見にきたけど、わざわざそんなこと言って喧嘩を買う必要はねえし、何より早く帰ってヤりてえ気分なんだけど。
「イキがってんの?カップルじゃねえのはわかったけど、夜景堪能したンなら、通行料は払って貰いたいんだわ」
俺の胸倉を掴んでくる男の腕を軽く止めるように掴み返す。
握力もさほど強くはない。
こいつがアタマなら、この人数でもなんとかなるかな。
「俺ァ、5円しか持ってねえけど」
「ふざけてるの、お兄ちゃん。病院代はもっと高いよ」
俺の腹部を狙って突き出された拳を、掌で受け止めてその腕を捻るように投げ飛ばす。
「カナシロさん!大丈夫ですか!俺たちスコーピオンだと知って攻撃してるのか、オマエら」
「スコップオン?…………しらね」
倒れた男を救い出そうと、次々にバイクを飛び降りて襲い掛かってくる男達を地面へと沈める。
「後ろは任せろ。気にせず叩け」
いつものように、康史の声が響き、康史の俺の背後を狙うやつらをぼこぼこにしている拳の音が聞こえる。
ああ、そうだ。
ああ、康史を守る、じゃなくていつの間にか、俺は康史に背後を任せていたのだ。
ずっときづいてたのに、忘れていた。
守るだけの存在じゃなくなっている、そんなことに。
つうか、アタマ重いと思ったらメット被ったままんじゃねえか。俺。
メットを外して、目の前の男を蹴り倒して、ナイフ持って突進してくる男にメットを投げつけた。
「…………!!オマエ、北高のハセガワ」
一人が俺の頭を指差して、逃げ出そうと駆け出す背中に回し蹴りを食らわす。
バイクの近くにいた男たちは、くもの子を散らすように、バイクに飛び乗って丘を降りていく。
「……えーと、オマエがアタマ?ええっと、カナシロ君?」
最初に因縁をふっかけてきた男のシャツを掴んで、ぐっと持ち上げる。
「……は…はい……」
俺の顔を見て、どうやらビビッているのか体をふるふると震わせている。
「夜景、綺麗だよな。なあ、コレ、誰のもンだ?」
「……誰のモンでもねえ………です」
カタカタ震えて答える男に俺は満足して、ぽいっと地面に投げ捨てた。
「だよな。通行料とかケチな真似してっと、潰すぜ」
スコーなんとかとかいう族の名前もよく聞いたことはない。
喧嘩吹っかけてくるレベルのやつらでもないってことかな。
「暇だったら、もっと痛めつけてやるンだけど、忙しいから帰るわ。オマエらラッキーだったな」
俺は転がっているメットを拾って、再度被りなおす。
「いつになく、やっさしいね。トール」
笑いながらメットを被ってバイクに跨る康史のタンデムシートに座って腕を腰にまきつけた。
「早く帰りてえだけだ」
「んなに煽んないでよ」
まんざらでもない口調で康史は呟くと、エンジンをかけてスロットルを回して、倒れている男達を避けるようにして、華麗な動きを披露し丘を駆け下りていった。
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