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二学期編
仲介 →side T
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「ここがウチ」
学校帰りに誠士に連れてこられた家は、純和風の家で大きな門と庭は日本庭園のようになっていて、あまりの豪華さに思わず度肝を抜かした。
「セージの家って初めてだよなァ。すげえでっけえな」
中学からの付き合いだったが、今までまったく来たことはなかった。
まあ、家業のこともあるだろうし、一般人はなかなか連れてはこないよな。
こういった純和風の家とか来ても緊張するだけだし、一人暮らしの康史の家にたむろってる方が楽だしな。
「まあ、先祖代々の家だからね。……まあ、入って」
まあ、そりゃそうだろうけど、うちと比べるとやはりビビるよな。
思わず緊張して、背筋が伸びちまった。
「おう。お邪魔します」
靴をそろえてセージの隣に並べて、光が反射するほどつるっつるに磨かれた廊下を滑らないようにゆっくりと歩く。
異常に長く感じるのは、緊張のせいかもしれない。
こういうのは慣れない。
物事に動じないとかなんとか言われてるけれど、それでもこういう自分に体験がねえようなところでは、ついつい気が張っちまう。
誠士の後ろについて歩き、障子をあけて和室に入ると、いかにもという風情の堅そうな顔をした少し厳つい中年の男がそこに座っていた。
「父さん、これが、こないだ話した友達の長谷川東流」
誠士は座椅子に座って俺を手招きする。
俺はちょっとかちこちな動作になりつつ、誠士のオヤジさんに頭を軽く下げ、誠士に習って座椅子に腰を下ろした。
なんとなく、いたたまれない空気だ。
「初めまして。東流君……、だいたいの話は誠士に聞いたよ。それにしても、ヤクザが堅気の高校生に手を出すとはね。一体君は何をしたのかな」
ええっと、ああ敬語ってどう話しゃあいいんだっけ。
口が乾くし、緊張でどぎまぎしちまう。
「あ、は、はい……、あーと、ちょっと恋愛沙汰で揉めてしまったのです。俺も逃げりゃあヨカッタ………んですが。かなりハラが減ってて、体力もねえから逃げ切れねえかなと思いまして、ついつい相手をしてしまったです」
まあ、逃げても追いかけてくるだろうし
。
それよりも、あの時は東山だけでも逃がしたかった。
「東流は、一緒にいた友達を逃がしたかったんですよ。父さん」
俺の心を読んだのか、誠士は真相をきっちりと告げてくれる。
まあ、東山があの場にいなければ、俺一人なら逃げたのは間違いない。
「1人なら逃げるつもりはあったと。でも友達を逃がすために、ヤクザの相手をしたというんだね」
真実を見透かすような目に、俺はしっかり目を合わせて頷いた。
「相手10人のスジの人だし、普通なら逃げ………ますよ」
敬語は慣れないので何度か噛んだが伝わったらしく、誠士のオヤジさんは大きく頷いた。
「なるほど、君のことはとんでもないワルだと、噂では聞いていたのだけどな。まあ、そんなに悪い奴ならば誠士は付き合わないだろう。それに聞いていたほどら血気盛んなタイプじゃないんだな。こうして話すと」
まあ、売られた喧嘩は定価の倍で買うけども。
自分から売ったことは一度もない。
「自分から喧嘩は売らないですよ。その……いろいろ面倒になるし、好きではないです」
それに厄介だし、康史を守りたいのに種をまくことなどしない。
「それなら良い、充分だ。じゃあ、車を用意してくるから待っていてくれ」
オヤジさんは立ち上がって、部屋を出て行く。
マジで、威圧感にちょっと心臓止まりそうだった。
オヤジとはまた違う威圧力だ。
「うーわ、圧迫面接って感じ」
「流石の東流でも緊張するんだな」
感心したように呟く誠士に、俺は天井を見上げた。
次はヤクザの親分との対面だ。
「俺の心臓もつかなァ。」
「大丈夫だろ、東流の心臓は毛ですら鋼鉄製だからな」
学校帰りに誠士に連れてこられた家は、純和風の家で大きな門と庭は日本庭園のようになっていて、あまりの豪華さに思わず度肝を抜かした。
「セージの家って初めてだよなァ。すげえでっけえな」
中学からの付き合いだったが、今までまったく来たことはなかった。
まあ、家業のこともあるだろうし、一般人はなかなか連れてはこないよな。
こういった純和風の家とか来ても緊張するだけだし、一人暮らしの康史の家にたむろってる方が楽だしな。
「まあ、先祖代々の家だからね。……まあ、入って」
まあ、そりゃそうだろうけど、うちと比べるとやはりビビるよな。
思わず緊張して、背筋が伸びちまった。
「おう。お邪魔します」
靴をそろえてセージの隣に並べて、光が反射するほどつるっつるに磨かれた廊下を滑らないようにゆっくりと歩く。
異常に長く感じるのは、緊張のせいかもしれない。
こういうのは慣れない。
物事に動じないとかなんとか言われてるけれど、それでもこういう自分に体験がねえようなところでは、ついつい気が張っちまう。
誠士の後ろについて歩き、障子をあけて和室に入ると、いかにもという風情の堅そうな顔をした少し厳つい中年の男がそこに座っていた。
「父さん、これが、こないだ話した友達の長谷川東流」
誠士は座椅子に座って俺を手招きする。
俺はちょっとかちこちな動作になりつつ、誠士のオヤジさんに頭を軽く下げ、誠士に習って座椅子に腰を下ろした。
なんとなく、いたたまれない空気だ。
「初めまして。東流君……、だいたいの話は誠士に聞いたよ。それにしても、ヤクザが堅気の高校生に手を出すとはね。一体君は何をしたのかな」
ええっと、ああ敬語ってどう話しゃあいいんだっけ。
口が乾くし、緊張でどぎまぎしちまう。
「あ、は、はい……、あーと、ちょっと恋愛沙汰で揉めてしまったのです。俺も逃げりゃあヨカッタ………んですが。かなりハラが減ってて、体力もねえから逃げ切れねえかなと思いまして、ついつい相手をしてしまったです」
まあ、逃げても追いかけてくるだろうし
。
それよりも、あの時は東山だけでも逃がしたかった。
「東流は、一緒にいた友達を逃がしたかったんですよ。父さん」
俺の心を読んだのか、誠士は真相をきっちりと告げてくれる。
まあ、東山があの場にいなければ、俺一人なら逃げたのは間違いない。
「1人なら逃げるつもりはあったと。でも友達を逃がすために、ヤクザの相手をしたというんだね」
真実を見透かすような目に、俺はしっかり目を合わせて頷いた。
「相手10人のスジの人だし、普通なら逃げ………ますよ」
敬語は慣れないので何度か噛んだが伝わったらしく、誠士のオヤジさんは大きく頷いた。
「なるほど、君のことはとんでもないワルだと、噂では聞いていたのだけどな。まあ、そんなに悪い奴ならば誠士は付き合わないだろう。それに聞いていたほどら血気盛んなタイプじゃないんだな。こうして話すと」
まあ、売られた喧嘩は定価の倍で買うけども。
自分から売ったことは一度もない。
「自分から喧嘩は売らないですよ。その……いろいろ面倒になるし、好きではないです」
それに厄介だし、康史を守りたいのに種をまくことなどしない。
「それなら良い、充分だ。じゃあ、車を用意してくるから待っていてくれ」
オヤジさんは立ち上がって、部屋を出て行く。
マジで、威圧感にちょっと心臓止まりそうだった。
オヤジとはまた違う威圧力だ。
「うーわ、圧迫面接って感じ」
「流石の東流でも緊張するんだな」
感心したように呟く誠士に、俺は天井を見上げた。
次はヤクザの親分との対面だ。
「俺の心臓もつかなァ。」
「大丈夫だろ、東流の心臓は毛ですら鋼鉄製だからな」
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