俺たちの××

怜悧(サトシ)

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二学期編

カムアウト→side T

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康史が一緒に暮らそうと言ってくれた。
俺はそれが嬉しくて、直ぐに家へ荷物を取りに帰った。

「あー、アニキ。今日はヤッちゃんちじゃねえの?」
部屋に入ると机に向かって勉強している弟の西覇せいはにあからさまに邪魔といった表情で睨みつけられた。
「ああ。荷物取りにきただけだ。喜べ、俺はそれっきりヤスと暮らすから、もうココには帰らない」
「そりゃあ静かになって、すげえ喜ばしいことだけど。オヤジに何ていうんだ」
西覇は俺がサンドバッグを叩いていると勉強に集中できねえとよく文句を言っていた。
勉強なんて楽しいもんかねえ。
不安そうな顔をしているが、まあ、家を出るわけだし、親父にも一応挨拶すべきだよな。
「ヤスと結婚するから、世話になったと言う」
西覇は、ギョッとしたように目を見開いて、俺にそれだけは言うなと首を振る。
それを言わないで、なんの話しができるのだろう。
親に、正直に話さないで家を出るのは筋違いだと思う。
「いや、アニキ。やめとけ!絶対、あの親父には通じないって」
俺はそんなにない荷物をボストンバッグに詰め始める。
まあ、取り急ぎ必要なものだけ運べばいいかな。
後から必要なものは、買えばいいし。
バッグを担いで部屋を出て、階段を降りるとリビングへと向かう。
親父は居ない時は何処に行っているか分からないが、大抵リビングでテレビを見ながら寝ていることが多い。
風来坊なのか、ニートなのか、仕事をしているようには見えないが、お袋がそれでいいっていうなら仕方がない。
「おい、オヤジ。俺ァ、家出るぜ」
声をかけると、俺と変わらないくらいの巨体をむくりと起こして眠たそうな顔で瞼を擦る。
「おお。東流か。何言ったんだ?」
「だから、家を出るっつったんだよ」
「ほお。でぇ何処にいくんだ?」
首を傾げて、どうするんだと鋭い目を細めて聞いてくるので、俺はしっかりとその目を見返す。
威圧力のある男だが、ここで気合い負けするわけにはいかない。
「ヤスんちにいく。ヤスと結婚することにしたから、一緒に住む」
そう告げた途端に、カッと親父は目を見開いて立ち上がった。
やはり、男が男をというのは許されないものなのだろう。
親不孝かもしれないが、しっかり告げなくてはいけない。
「貴様!!ヤスシに手ぇ出すとは!!どんな了見だ!!」
グイッと首根っこを捕まれて、思いっきりぶん殴られ、ビーンと頭の中が振動する。
「あれだけ綺麗だってなあ、男なんだぞ!テメェはそれを!!」
反撃することもかなわず、俺は激しくぶん殴られつづけた。
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