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二学期編
友人として →side 東山
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長谷川が促した通りに逃げたは良かったが、振り返って長谷川へと集まっていた男はいかにもスジの人だった。
気絶するほどのセックスの後で体力を消耗しているだろうし、流石に喧嘩慣れした東流とはいっても多勢に無勢すぎるだろう。
いつも一緒に喧嘩してるってウワサだったし、日高がいれば加勢してもらえるかもしれない。
そう思って日高の通っている予備校に駆け込んで呼び出した。
「東山。それで、何人くらい?」
呼び出した日高はそれほど焦ってもいない様子で俺に問いかけた。
「10人はいたかな」
「ふうん、たった10人か。でも、東山を逃がしたってことは、アイツ自信なかったんだな。さすがに疲れてるだろうしな……わかった。道案内して」
ちょっと目を細めて、簡単にやられるはずはないけどと言いながら走り出す。
俺の脚力についてこられるあたり、このイケメンはかなり運動神経がいい。
しかも、学力も大体トップをとっていて、悪くても3位以内らしい。
それでも部活もせず、東流と喧嘩三昧だったって聞くから、学校の先生もそっちの意味でもヤツを煙たがっていたようだ。
「あのさ、そのスジみたいな人に見えた」
「マジかよ。ち、っそれを早く言え!」
日高のスピードが更に加速する。
俺でも追いつけない速さである。
「東山、案内さんきゅ。でも、そこから動くな。巻き込まれたら、トールが逃がした意味がなくなるからな」
キッと綺麗な顔で睨みつけられ、俺はぞくりと身を竦ませて、足を止めた。
遠目で、うちの制服姿の男がいかにもな服装をした屈強な男に壁際で追い詰められ殴られているのが目に入る。
周囲にはスジの人が呻きながら倒れているのが見える。
ふと、日高を見ると日高のひとまわりでかい男に、迷いもせず吠えながら突っ込んでいくのを見て、俺は目を瞠った。
洗練された動きで、喧嘩慣れしているのが遠目でもわかる。
相棒としてずっと乱闘ばかり繰り返しているというのはうわさだけではなかったのだ。
しばらく見ていると、日高はぐったりとした東流を必死の形相でひきずってくるのが見えて、慌てて俺は近づいて東流の体を支えた。
傷だらけの顔にはほんの少し笑みが浮かんでいる。
「……ヒガシ……さんきゅ」
ガラガラの声、だらりとさがった拳は血にまみれている。
「おう。ハンバーガーおごるって言ったし……」
「あ、いいなー。ヒガシ、オレもオレも、おごってえ」
隣で日高が割って入ってくる。呼び方もヒガシに変わっている。
「いいよ。2人におごるよ、それにしても……よくここまで一人で倒せたな」
「……体力マックスなら、全部倒せた」
ちょっと悔しそうに唇を尖らせて言う東流が、少し可愛らしく見える。
そんな東流をほんとうに愛しそうに、日高は見つめてゆっくりと歩く。
どうしてとかなんでとか初めて話を聞いたとき思ったが、理由は今のこの二人をみていてすべてわかった。
友人として、本当にこの二人には幸せになってほしい。
が、しかしだ、ハンバーガー1人で20個づつは流石に食いすぎだと思う。
気絶するほどのセックスの後で体力を消耗しているだろうし、流石に喧嘩慣れした東流とはいっても多勢に無勢すぎるだろう。
いつも一緒に喧嘩してるってウワサだったし、日高がいれば加勢してもらえるかもしれない。
そう思って日高の通っている予備校に駆け込んで呼び出した。
「東山。それで、何人くらい?」
呼び出した日高はそれほど焦ってもいない様子で俺に問いかけた。
「10人はいたかな」
「ふうん、たった10人か。でも、東山を逃がしたってことは、アイツ自信なかったんだな。さすがに疲れてるだろうしな……わかった。道案内して」
ちょっと目を細めて、簡単にやられるはずはないけどと言いながら走り出す。
俺の脚力についてこられるあたり、このイケメンはかなり運動神経がいい。
しかも、学力も大体トップをとっていて、悪くても3位以内らしい。
それでも部活もせず、東流と喧嘩三昧だったって聞くから、学校の先生もそっちの意味でもヤツを煙たがっていたようだ。
「あのさ、そのスジみたいな人に見えた」
「マジかよ。ち、っそれを早く言え!」
日高のスピードが更に加速する。
俺でも追いつけない速さである。
「東山、案内さんきゅ。でも、そこから動くな。巻き込まれたら、トールが逃がした意味がなくなるからな」
キッと綺麗な顔で睨みつけられ、俺はぞくりと身を竦ませて、足を止めた。
遠目で、うちの制服姿の男がいかにもな服装をした屈強な男に壁際で追い詰められ殴られているのが目に入る。
周囲にはスジの人が呻きながら倒れているのが見える。
ふと、日高を見ると日高のひとまわりでかい男に、迷いもせず吠えながら突っ込んでいくのを見て、俺は目を瞠った。
洗練された動きで、喧嘩慣れしているのが遠目でもわかる。
相棒としてずっと乱闘ばかり繰り返しているというのはうわさだけではなかったのだ。
しばらく見ていると、日高はぐったりとした東流を必死の形相でひきずってくるのが見えて、慌てて俺は近づいて東流の体を支えた。
傷だらけの顔にはほんの少し笑みが浮かんでいる。
「……ヒガシ……さんきゅ」
ガラガラの声、だらりとさがった拳は血にまみれている。
「おう。ハンバーガーおごるって言ったし……」
「あ、いいなー。ヒガシ、オレもオレも、おごってえ」
隣で日高が割って入ってくる。呼び方もヒガシに変わっている。
「いいよ。2人におごるよ、それにしても……よくここまで一人で倒せたな」
「……体力マックスなら、全部倒せた」
ちょっと悔しそうに唇を尖らせて言う東流が、少し可愛らしく見える。
そんな東流をほんとうに愛しそうに、日高は見つめてゆっくりと歩く。
どうしてとかなんでとか初めて話を聞いたとき思ったが、理由は今のこの二人をみていてすべてわかった。
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