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二学期編
守りたいモノ →side T
しおりを挟む「やっぱり、痛みに感じちまう変態なのか」
工藤は俺の襟首を掴み、力が入らずブラブラしている俺の体を眺め、勃起している股間を掴む。
アタマはクラクラしてるし、そんなとこを握られたら力が入らない。
「……ッ、はな、っせ……ッさわ、んな」
擦れ声を出すが、力が抜けてしまって媚びるように鼻を鳴らしてしまう。
「エッロイ顔だな、どっかに売り飛ばしてやろうか?ほんで、アンコ人形にしてやろうか」
笑いながら、工藤は俺の頭を塀に叩きつける。
意識が真っ暗になりバシャリとシャットダウンする。
康史、ごめん。しんだら……ごめん。やくそく、まもれねーかも。
「トール!!大丈夫か!!てっめええ、トールを離せェ!!!」
朦朧としてくっらくらの頭の中に、聞き覚えのある声が響く。
もう、そうとう夜も更けて真っ暗で、壁に凭れたままの俺の体は重くてうまくうごかない。
ああ…………そうだ、俺、殴られてたんだっけ。
どんくらい意識飛ばしてたのかわからないが、この声はヤスの声だ。
「へえ、アイドルみたいな綺麗な顔してるねェ、へえ、コイツのオトモダチ?」
腹がいてえ……結構殴られたな……。
全身がみしみしと軋むような音をたてる。
骨がどっかイッちまってるかもしれない。
康史が俺を視界に入れて、心配そうに顔をゆがませる。
「トールを離せ」
「威勢がイイね。坊主。その綺麗な顔がぐちゃぐちゃになってもいいのかな」
工藤は俺を放り捨てるように離して、ヤスの肩を掴んで殴りかかる。
康史は工藤の拳を軽く避けて、工藤の首に腕を回してクラッチをかける。
工藤は体をひねって外すと、腕をぐっとひいて康史の顔に向けて拳を振り上げた。
俺の殆どぼろくずのようになっていた体は反射的に動き、工藤の腕を掴んで強くひねり上げた。
「てめェ……ヤスの顔に手ェだすな」
そいつは、オマエの汚い手で触っていいものじゃない。
「このガキィ……復活したのか、死んだと思ったよ」
康史は呆れたような顔でボロボロの俺を見やりってにっと笑う
「オマエ…… ほんとにオレの顔好きだよな。トール」
そんなの昔から、オマエの顔がすきなんだよ、俺は。
「……めちゃくちゃ好きだ」
俺は、ニヤッと笑いひねりあげた腕に力を篭めて、ばきばきばきと音をたてて工藤の腕を捻り潰す。
「ぐああああああああああっーーーー」
工藤の腕は複雑骨折したらしく、ひいひいいいながら地面に転がっている。
「つか、ずいぶんボロボロだな。大丈夫か。ヒガシが呼びにきたよ」
工藤を放り投げてふらつく俺を、康史は支えるように腰に腕を回して、惨状に立ちすくんでいる東山を指差す。
俺はぎっしぎっしの体をヤスに預けて、康史は工藤の顔をしみじみと見つめて首を傾げる。
「で。こいつ、誰?ちんぴら?」
「いや、組の人。くずみくみとかいってた。オマエのせいだぜ。コニシの幼馴染らしい」
「マジか。悪いな」
組の人と聞いて、げええと呟いていたが、康史は少し考え込んで、
「小西さんはオレがなんとかしておくよ。それにしても……結構やられたな。組の人はやっぱ強い?」
ぼっろぼろな俺を引きずるように支えながら問いかける。
勉強の邪魔しちまったけど、でも、コニシのことは元はといえばヤスのせいだから……。
「はらへってたからな」
満タンだったら、苦戦はしたけどこんなに殴られていない。
「………そか」
「…………ヤスんちいく……うまいものくわせて」
体に力が入らないが、気を失ったら康史一人では運べないだろう。
意識だけは、保たないとな。
「オレんちきたら、家に帰さないよ」
「ずっといるからいい」
「ずっとじこめるぞ」
「イーヨ」
軽い口調で甘えるように康史の肩にもたれかかる。
ぐったりとしてきた俺に見かねて、東山が近寄ってきて片側から体を支える。
ずっと一緒にいるって、約束したから。
大事な、大事なずっと昔にした約束。
俺と、康史と遠い昔にした永遠の約束。
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