73 / 353
二学期編
余韻なき獣 →side 東山
しおりを挟む日高は時間になるまで、長谷川が気を失っているのにもかかわらず、長谷川の体を貪り尽くすように犯し続けていた。
抜かず5回とか、前に長谷川は言っていたけど本当だったんだな。
聞いてはいても、半信半疑だった。
日高の見た目は見ているだけなら、まるで性行為などしなさそうなくらいの現実味がない美形なのだから。
予備校の時間に間に合わなくなったのか、漸く長谷川を解放して、シャワーを浴びると後はよろしくねと言い置いて慌てて出ていった。
…………てか、置いてったよ。
その状況に俺はびっくりしたまま、体を汚したまま、ぐったりとベットに沈んでいる長谷川を眺めた。
こんなヤリ捨てみたいなことをされて、それでもいいのだろうか。
気持ちよさそうに日高の上で咽び啼いていた長谷川は、本当に淫乱でセクシーではあった。
「……う……っ…………ッン……」
しばらくたつと、瞼を重そうに開いてぼんやりとした表情をして、長谷川は俺を見あげた。
「…………大丈夫か?」
声をどうかけるか迷ったが、普段通りかけてみる。
相変わらず長谷川は、惜しげも無く裸体を俺に晒している。
「……あ、あァ……。………ヤスは、ヨビコー行ったの……か?」
眩しそうに額を押さえて視覚に影をつくり、かすれきった声で問われた。
俺はなんと言っていいのかわからず、ためらいながら頷いた。
そりゃあ、セックス終えて、すぐに先に帰られたらショックだと思うし。
「そっか、結構時間たっちまったみてえな」
予想に反してまったく寂しそうな顔すらせず、長谷川はパサパサの髪を掻きつつ、のろのろとらした所作でむっくりと起き上がる。
何を考えているのかまったく読めない。
俺に見られたことを恥ずかしがっている様子はもうまったくない。
そして気まずさもない。
「長谷川、水飲む?」
冷蔵庫からミネラルウォーターを出して手渡すと、一瞬驚いた表情を浮かべたが、長谷川は腕を伸ばしてアリガトウと受け取った。
喉を鳴らしてペットボトルを一気に流し込み、ふうっと息をついてから長谷川は俺を見返した。
長谷川は俺の反応を見るような表情を浮かべ、手の中のボトルを弄ぶ。
「ヒガシ、びっくりしたろ……?まるきし、SMだしなぁー、まあ、ヤスの趣味だけどさ」
いたずらっ子のような無邪気な笑顔。普段の人を睨むような顔しかしらないのであっけにとられる。
「長谷川もそういう趣味なのか?」
思わず長谷川に聞き返してしまう。日高はサディストなのはわかっていて、長谷川を調教中とはいっていたが。
「俺ェ?……ンなふうに見えるか?……まあ、俺もヤスがやりてーこた、全部一緒にしてえしな」
おかしそうな表情で噴出しながら言って、俺の反応を伺うような視線をなげる。
いつもよりくだけた感じではあるが、さっきまであんなによがりくるっていた男とはとうてい思えない。
分かっていても、この鋭い目でにらまれたら身が竦むだろう。
「幼馴染だっけ」
「ああ、幼稚園時からずっと一緒だな。アイツが俺と一緒にいなかった時期はねえな」
「長谷川は抵抗ないのか?あの、その、さ…………突っ込まれることに。逆でもいいんじゃないかと思うんだけど」
ずっと思っていた疑問をなげかける。
長谷川は、ちょっと考え込みつつ、やっぱそこだよなーと呟く。
「まあ、ヤスをヤッたほうがセクシーだろうけどさ。俺のでけーし、俺のが丈夫だし。」
なんてことのないような調子で言う長谷川は、多分普通のやつらとは配線がずれまくっている。
ずれすぎているから、周りの人間と相容れないのかもしれない。
「それにさ、ヤスは結構、俺の意図を汲んでくれる。今日だって、実際にヤりたかったのは俺だしなァ」
「え……そうなの?」
嫌がっている長谷川を、日高が無理矢理連れてきたって感じにみえていたが、長谷川にとっては違うようだった。
長谷川はふっと笑って、自分の体を見下ろす。
「あいつは時間ねえのに、無理してくれたんだ。見て分かったと思うけど、俺はすげえ淫乱なんだよ。一ヶ月もしてなくて、かなり我慢の限界だった。ヒガシもつきあわせて悪かったな」
だから、日高が今いなくてもまったく平気で、まったく落胆もしていないのだろう。
「俺は、興味あったから……」
「こんな強面の俺がどんな顔してヤられてるのかって?」
くっくっと肩を揺らしておかしそうに笑う長谷川に、凶悪といわれているヤンキーの面影はない。
「まあね。長谷川はセクシーだったよ。日高が夢中になるのも分かるな」
思わずほめ言葉にならないであろう言葉を告げると、長谷川はにやっと笑った。
「ぶっ、ヒガシ。俺ンこた東流でイイぜ。さあって、べたべたするし。体洗って帰るかな」
長谷川は腰をあげて、綺麗な筋肉をつけた汚れたからだを惜しげもなく俺に見せつけながら、浴室へと消えた。
0
お気に入りに追加
360
あなたにおすすめの小説
性的イジメ
ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。
作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。
全二話 毎週日曜日正午にUPされます。
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
松本先生のハードスパンキング パート5
バンビーノ
BL
「お尻、大丈夫?」
休み時間、きれいなノートをとっていた子が微笑みながら言いました。僕のお仕置きの噂は、休み時間に他のクラスにも伝わり、みんなに知れ渡りました。姉は、何をやっているのと呆れていました。姉も松本先生の教え子でしたが、叱られた記憶はないと言います。教室では素振り用の卓球ラケット、理科室では一メートル定規がお仕置きの定番グッズになりました。
でもいちばん強烈な思い出は、理科室の隣の準備室での平手打ちです。実験中、先生の注意をろくに聞いていなかった僕は、薬品でカーテンを焦がすちょっとしたぼや騒ぎを起こしてしまったのです。放課後、理科室の隣の小部屋に僕は呼びつけられました。そして金縛りにあっているような僕を、力ずくで先生は自分の膝の上に乗せました。体操着の短パンのお尻を上にして。ピシャッ、ピシャッ……。
「先生、ごめんなさい」
さすがに今度ばかりは謝るしかないと思いました。先生は無言でお尻の平手打ちを続けました。だんだんお尻が熱くしびれていきます。松本先生は僕にとって、もうかけがえのない存在でした。最も身近で、最高に容赦がなくて、僕のことを誰よりも気にかけてくれている。その先生の目の前に僕のお尻が。痛いけど、もう僕はお仕置きに酔っていました。
「先生はカーテンが焦げて怒ってるんじゃない。お前の体に燃え移ってたかもしれないんだぞ」
その夜は床に就いても松本先生の言葉が甦り、僕は自分のお尻に両手を当ててつぶやきました。
「先生の手のひらの跡、お尻にまだついてるかな。紅葉みたいに」
6月の修学旅行のとき、僕は足をくじいてその場にうずくまりました。その時近づいてきたのが松本先生でした。体格のいい松本先生は、軽々と僕をおぶって笑いながら言いました。
「お前はほんとに軽いなあ。ちゃんと食わないとダメだぞ」
つい先日さんざん平手打ちされた松本先生の大きな手のひらが、僕のお尻を包み込んでくれている。厚くて、ゴツゴツして、これが大人の男の人の手のひらなんだな。子供はこうやって大人に守られているんだな。宿について、僕はあのお仕置きをされたときにはいていた紺の体操着の短パンにはきかえました。あの時の白衣を着た松本先生が夢の中に出てくる気がしました。
松本先生のハードスパンキング パート1
バンビーノ
BL
中学3年になると、新しい学年主任に松本先生が決まりました。ベテランの男の先生でした。校内でも信頼が厚かったので、受験を控えた大事な時期を松本先生が見ることになったようです。松本先生は理科を教えていました。恰幅のすごくいいどっしりした感じの先生でした。僕は当初、何も気に留めていませんでした。特に生徒に怖がられているわけでもなく、むしろ慕われているくらいで、特別厳しいという噂もありません。ただ生活指導には厳しく、本気で怒ると相当怖いとは誰かが言っていましたが。
初めての理科の授業も、何の波乱もなく終わりました。授業の最後に松本先生は言いました。
「次の授業では理科室で実験をする。必ず待ち針をひとり5本ずつ持ってこい。忘れるなよ」
僕はもともと忘れ物はしない方でした。ただだんだん中学の生活に慣れてきたせいか、だらけてきていたところはあったと思います。僕が忘れ物に気がついたのは二度目の理科の始業ベルが鳴った直後で、ほどなく松本先生が理科室に入ってきました。僕は、あ、いけないとは思いましたが、気楽に考えていました。どうせ忘れたのは大勢いるだろう。確かにその通りで、これでは実験ができないと、松本先生はとても不機嫌そうでした。忘れた生徒はその場に立つように言われ、先生は一人ずつえんま帳にメモしながら、生徒の席の間を歩いて回り始めました。そして僕の前に立った途端、松本先生は急に険しい表情になり、僕を怒鳴りつけました。
「なんだ、その態度は! 早くポケットから手を出せ!」
気が緩んでいたのか、それは僕の癖でもあったのですが、僕は何気なくズボンのポケットに両手を突っ込んでいたのでした。さらにまずいことに、僕は先生に怒鳴られてもポケットからすぐには手を出そうとしませんでした。忘れ物くらいでなぜこんなに怒られなきゃいけないんだろう。それは反抗心というのではなく、目の前の現実が他人事みたいな感じで、先生が何か言ったのも上の空で聞き過ごしてしまいました。すると松本先生はいよいよ怒ったように振り向いて、教卓の方に向かい歩き始めました。ますますまずい。先生はきっと僕がふてくされていると思ったに違いない。松本先生は何か思いついたように、教卓の上に載せてあった理科室の定規を手に取りました。それは実験のときに使う定規で、普通の定規よりずっと厚みがあり、幅も広いがっしりした木製の一メートル定規です。松本先生はその定規で軽く素振りをしてから、半ば独り言のようにつぶやいたのでした。「いまからこれでケツひっぱたくか……」。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる