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二学期編
失策 →side Y
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「わりィ、コニシがぶっちゃけたから、俺もぶっちゃけちまった」
あんまり悪びれた様子もなく、東流は眠たそうな顔で委員会から帰ってきたオレに報告した。
教室の中が妙な空気でざわついているのと、オレへの好奇心を含んだ視線の意味が、そのせいなのかと納得する。
小西に煽られて、オレと東流が付き合ってることをクラス全員にカムアウトしたらしい。
「オレはその方が嬉しいって言ったし、トールは全然悪くないよ」
静かな教室に響く声で、オレは東流にそう返す。
狙うやつはまさかいないとは思うのだけど、牽制はしておいた方がいい。
それに、小西さんみたいな女子が増えても面倒だから、ウワサ話でも広まればいいなと思う。
「ずっと、オレがトールに片思いしてたわけだし、それが叶って嬉しいんだからね」
東流に答えるように言いながらも、みんなに聞こえるようにわざと言う。
これなら、東流が無理矢理ってウワサもなくなるはずだ。
「…………おう。オマエが迷惑じゃねーなら、俺は……それでいい」
やはり恥ずかしくなったのか、眠たい振りをして机に突っ伏した東流は可愛いくて仕方がない。
流石に昨日はヤリすぎたし、ただただ体力がないだけのかもしれないな。
「日高、小西さんには気をつけた方がいいかもしれない」
東流とオレの席の間を占拠する東山が俺に声をかける。
クラスメートに聞いたところ、東山が小西さんに手をださないように東流をホールドしてくれていたらしい。
まあ、東流はホールドなんかされなくても、オンナには手はあげないだろうけど。
「そうだね。今回のことは、オレが小西さんに話しちゃったからだからね。騒がせちゃって、ごめんな」
「日高のせいでもないだろ。ちょっと驚いたけど」
「そうだよな。オレも10年越しの片思いだったし。トールが、波砂と別れたからね、チャンスかなって」
サッカー部のキャプテンをしていた東山は、男女共に人望がある男である。
味方にしておいて、損はないな。
「意外に一途な奴なんだな。日高は女の子とっかえ引っ変えって聞いていたけど」
東山はころりと騙され?てくれる。
「まあ、オレも叶わないだろう恋でやさぐれてたんで。東山も、トールを押さえてくれてありがとう。女の子に手はあげないけど、小西さんもかなり煽ったらしいし、もしものことがあったら大変だし」
「いや、長谷川も暴力振るう動きはしなかったし。俺は何もしてないよ。ただ…………ウワサで聞いたんだけど、小西さんの家って、実はヤクザなんだって噂があるんだよ。長谷川なら大丈夫だと思うんだけど、日高は心配だなって。まあ、2人で一緒にいることが多いから大丈夫だとは思うのだけど」
「わかった気を付けるようにするよ。東山、ありがとう」
失策だったな。
プライドが高そうな女だったから、叶わない現実を突きつけたはずだったが、裏目にでた。
「それにしても、日高くらいのイケメンなら、女の子選び放題なのに…………もったいないよな」
そういや、東流も同じようなことを言っていたな。
そんなの目じゃないんだけどな。
「オレの中で、トールは初恋の人でいつでもオレの白馬の王子様だったんだ」
東山は一瞬表情をかたまらせて、今は机の上の眠りの森の姫をマジマジと見下ろす。
「そのセリフ、日高以外が言ったら失笑この上ないけどな。そんなはセリフも似合っちまう、日高の方が王子様に見えるけどな」
東山の言っていることはよくわからなかったが、まあ、オレにとっては、そういうことだった
あんまり悪びれた様子もなく、東流は眠たそうな顔で委員会から帰ってきたオレに報告した。
教室の中が妙な空気でざわついているのと、オレへの好奇心を含んだ視線の意味が、そのせいなのかと納得する。
小西に煽られて、オレと東流が付き合ってることをクラス全員にカムアウトしたらしい。
「オレはその方が嬉しいって言ったし、トールは全然悪くないよ」
静かな教室に響く声で、オレは東流にそう返す。
狙うやつはまさかいないとは思うのだけど、牽制はしておいた方がいい。
それに、小西さんみたいな女子が増えても面倒だから、ウワサ話でも広まればいいなと思う。
「ずっと、オレがトールに片思いしてたわけだし、それが叶って嬉しいんだからね」
東流に答えるように言いながらも、みんなに聞こえるようにわざと言う。
これなら、東流が無理矢理ってウワサもなくなるはずだ。
「…………おう。オマエが迷惑じゃねーなら、俺は……それでいい」
やはり恥ずかしくなったのか、眠たい振りをして机に突っ伏した東流は可愛いくて仕方がない。
流石に昨日はヤリすぎたし、ただただ体力がないだけのかもしれないな。
「日高、小西さんには気をつけた方がいいかもしれない」
東流とオレの席の間を占拠する東山が俺に声をかける。
クラスメートに聞いたところ、東山が小西さんに手をださないように東流をホールドしてくれていたらしい。
まあ、東流はホールドなんかされなくても、オンナには手はあげないだろうけど。
「そうだね。今回のことは、オレが小西さんに話しちゃったからだからね。騒がせちゃって、ごめんな」
「日高のせいでもないだろ。ちょっと驚いたけど」
「そうだよな。オレも10年越しの片思いだったし。トールが、波砂と別れたからね、チャンスかなって」
サッカー部のキャプテンをしていた東山は、男女共に人望がある男である。
味方にしておいて、損はないな。
「意外に一途な奴なんだな。日高は女の子とっかえ引っ変えって聞いていたけど」
東山はころりと騙され?てくれる。
「まあ、オレも叶わないだろう恋でやさぐれてたんで。東山も、トールを押さえてくれてありがとう。女の子に手はあげないけど、小西さんもかなり煽ったらしいし、もしものことがあったら大変だし」
「いや、長谷川も暴力振るう動きはしなかったし。俺は何もしてないよ。ただ…………ウワサで聞いたんだけど、小西さんの家って、実はヤクザなんだって噂があるんだよ。長谷川なら大丈夫だと思うんだけど、日高は心配だなって。まあ、2人で一緒にいることが多いから大丈夫だとは思うのだけど」
「わかった気を付けるようにするよ。東山、ありがとう」
失策だったな。
プライドが高そうな女だったから、叶わない現実を突きつけたはずだったが、裏目にでた。
「それにしても、日高くらいのイケメンなら、女の子選び放題なのに…………もったいないよな」
そういや、東流も同じようなことを言っていたな。
そんなの目じゃないんだけどな。
「オレの中で、トールは初恋の人でいつでもオレの白馬の王子様だったんだ」
東山は一瞬表情をかたまらせて、今は机の上の眠りの森の姫をマジマジと見下ろす。
「そのセリフ、日高以外が言ったら失笑この上ないけどな。そんなはセリフも似合っちまう、日高の方が王子様に見えるけどな」
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