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二学期編
尾鰭と端鰭 →side T
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「ちょっと、トウル。話があるんだけど」
「…………ァア?」
いつものように、机の上で突っ伏して寝ていると頭の上を鞄で叩かれる。
不機嫌に相手を睨み上げると、俺の元カノの金森波砂が綺麗な顔を曇らせてポニーテールを揺らして立っていた。
波砂とは3年くらい付き合っていた。
つい半年くらい前に別れたのだが、別に嫌いになったわけではないので、たまに普通に話はする。
波砂は、康史の親戚で性別以外の容姿は、本当に康史にそっくりだった。
康史に似ているから付き合ったのか、もともと好みがそうだったのか、今ではどっちなのかよくわからない。
「なんだ、ナズか…………話ィ?すぐ終わるなら、ココで話せよ」
ものすごい強い視線を感じて、前のほうの席を見やると康史が、こっちをすごい目で見ていた。
新学期が始まってからというもの、周りは受験勉強ムードで休み時間も静かなので、声が響いて目立つ。
「んー、ここじゃ少し…………話しにくいわ?ちょっとだけだから、人のいないとこいかない?」
何事にも動じない、オンナにしては度胸の座った波砂の性格は、気が楽ですごく気に入っていた。
喧嘩沙汰ばかり起こす俺にはついていけないと、別れてしまったのだが、別にお互い嫌いになったわけではなかった。
俺は、頷いて仕方なく腰をあげた。
波砂は、早く来てねと言いながら教室を出ていくので、寝ぼけ眼を擦りつつ波砂を追いかけた。
屋上に階段をあがっていくと、雨が降りそうな曇り空で、なんだか俺の心も重くどんよりとしてくる。
こういうオンナからの呼び出しっていうのは、あまり慣れない。
ケンカの呼び出しは日常茶飯事なのだが、女の子の呼び出しは本当にどうしていいのかわからなくなる。
屋上へ出ると、波砂の立っているフェンス脇まで歩いていき、手持ち無沙汰にポケットに隠し持っていたタバコを銜えてフェンスによりかかった。
「で……?……何ョ、話って」
なんだかいつもの波砂らしくない様子だ。
躊躇いがちで話を切り出さない様子に、ライターでタバコに火をつけながら、焦れて俺は先に聞き出す。
「トウル。あのね、ねえ、噂でヤッちゃんと付き合ってるって聞いたんだけど……」
いきなり目の前に爆弾が飛んできたような衝撃に、俺はものの見事にタバコを噎せて咳き込んだ。
って、ナニ……。
そのウワサって。
「……ッ…ゲホゲホっ、ちょっ、待てや……ナズ…、ソレ、ドコで聞いたンだ?」
多分、図星をつかれて俺はいま正常な判断ができていない。
流すにしても、シラを切るのにしても、この反応はダメだろ。
誤魔化しきれずに、視線をさまよわせて挙動不審を露呈する。
「だって、小西弓華が、ヤッちゃんに告って、トウルと付き合ってるからって断られたって泣いてたって広まってて……。しかも、トウルがヤッちゃんを無理矢理襲ったって。ヤッちゃんがトオルが怖いから別れられないって、皆そういってて。私はトウルがそんなことする性格じゃないのわかるけど……、女の子たちの中には征伐隊を組織するとか言ってる子もいて……」
俺は、あまりの動揺にぽろっと唇から火のついたタバコを落としてしまった。
襲ったってなあ、逆逆。
逆なんだが……。まあ、逆と言ったところで、俺が信用されるわけがない。
最近なんだか女子の視線が痛いなと思ってはいたが、元々嫌われ者のヤンキーなのでそんなに変化を感じてはいなかった。
原因はそこだったのである。
「本当なの?」
波砂の問いかけに俺は完全にどう答えていいかわからず、迷いながら思わず頷いてしまった。
「…………ァア?」
いつものように、机の上で突っ伏して寝ていると頭の上を鞄で叩かれる。
不機嫌に相手を睨み上げると、俺の元カノの金森波砂が綺麗な顔を曇らせてポニーテールを揺らして立っていた。
波砂とは3年くらい付き合っていた。
つい半年くらい前に別れたのだが、別に嫌いになったわけではないので、たまに普通に話はする。
波砂は、康史の親戚で性別以外の容姿は、本当に康史にそっくりだった。
康史に似ているから付き合ったのか、もともと好みがそうだったのか、今ではどっちなのかよくわからない。
「なんだ、ナズか…………話ィ?すぐ終わるなら、ココで話せよ」
ものすごい強い視線を感じて、前のほうの席を見やると康史が、こっちをすごい目で見ていた。
新学期が始まってからというもの、周りは受験勉強ムードで休み時間も静かなので、声が響いて目立つ。
「んー、ここじゃ少し…………話しにくいわ?ちょっとだけだから、人のいないとこいかない?」
何事にも動じない、オンナにしては度胸の座った波砂の性格は、気が楽ですごく気に入っていた。
喧嘩沙汰ばかり起こす俺にはついていけないと、別れてしまったのだが、別にお互い嫌いになったわけではなかった。
俺は、頷いて仕方なく腰をあげた。
波砂は、早く来てねと言いながら教室を出ていくので、寝ぼけ眼を擦りつつ波砂を追いかけた。
屋上に階段をあがっていくと、雨が降りそうな曇り空で、なんだか俺の心も重くどんよりとしてくる。
こういうオンナからの呼び出しっていうのは、あまり慣れない。
ケンカの呼び出しは日常茶飯事なのだが、女の子の呼び出しは本当にどうしていいのかわからなくなる。
屋上へ出ると、波砂の立っているフェンス脇まで歩いていき、手持ち無沙汰にポケットに隠し持っていたタバコを銜えてフェンスによりかかった。
「で……?……何ョ、話って」
なんだかいつもの波砂らしくない様子だ。
躊躇いがちで話を切り出さない様子に、ライターでタバコに火をつけながら、焦れて俺は先に聞き出す。
「トウル。あのね、ねえ、噂でヤッちゃんと付き合ってるって聞いたんだけど……」
いきなり目の前に爆弾が飛んできたような衝撃に、俺はものの見事にタバコを噎せて咳き込んだ。
って、ナニ……。
そのウワサって。
「……ッ…ゲホゲホっ、ちょっ、待てや……ナズ…、ソレ、ドコで聞いたンだ?」
多分、図星をつかれて俺はいま正常な判断ができていない。
流すにしても、シラを切るのにしても、この反応はダメだろ。
誤魔化しきれずに、視線をさまよわせて挙動不審を露呈する。
「だって、小西弓華が、ヤッちゃんに告って、トウルと付き合ってるからって断られたって泣いてたって広まってて……。しかも、トウルがヤッちゃんを無理矢理襲ったって。ヤッちゃんがトオルが怖いから別れられないって、皆そういってて。私はトウルがそんなことする性格じゃないのわかるけど……、女の子たちの中には征伐隊を組織するとか言ってる子もいて……」
俺は、あまりの動揺にぽろっと唇から火のついたタバコを落としてしまった。
襲ったってなあ、逆逆。
逆なんだが……。まあ、逆と言ったところで、俺が信用されるわけがない。
最近なんだか女子の視線が痛いなと思ってはいたが、元々嫌われ者のヤンキーなのでそんなに変化を感じてはいなかった。
原因はそこだったのである。
「本当なの?」
波砂の問いかけに俺は完全にどう答えていいかわからず、迷いながら思わず頷いてしまった。
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