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夏休み編
戻ってきた日常 →side Y
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「で、仲直りしたのね。メシ買ってここに来るまでの間の俺の不安感を返せ」
コンビニで、しこたまおにぎりやパンや弁当を誠士は買ってくると、仲良くベッドで転がっているオレたちを見て、憤りを口にしつつも、ほっとしたように文句を言った。
確かに、誠士には文句を言う権利はある。あんな修羅場を見せられて、何の報告もせず、メシを買ってこいとオツカイを一言で済ませられたのである。
「あ?仲直り?…………俺、ヤスと喧嘩してねえしなあ。仲直りも何もねえだろ」
不思議そうに誠士を見返す東流の表情にぶちあたり、誠士はどの口がいうのかとばかりに呆れた顔で目を見開く。
昨日のは、確かに喧嘩ではないのだが、別れの手前の修羅場で、喧嘩よりめたタチが悪いやつだ。
不安な誠士が来てみれば、オレは骨折で動けないし、東流は熱を出しているので、ベッドから動こうとしなかった。
しかし、よっぽど腹が減っていたのか、東流は誠士がもってきた袋の中身を漁り、ベッドの上でパンを両手に持って同時に食べ始めている。
「あのなあ。喧嘩じゃねえって、別れるとか別れないとかさあ、マジの修羅場だったじゃんか」
「んー。ありゃ別れるって決めたことだったから、別に言い合うキモチもなかった。アレはただの俺の弱気が出した話で、喧嘩じゃねえよ」
両手のパンをもぐもぐ食べて飲み込み、東流は誠士に首を横に振ってふっと口元を緩める。
「…………まあ、その話はヤスは器がでけえから、別れないにした」
いろいろすっとばしすぎた東流はの説明に、なんでか誠士を納得したように頷く。
「器がでかいねえ?どんなふうにだ」
誠士もどことなく嬉しそうだ。
「………………えーとなあ、別れるなら殺してくれとか。なんか、そういうとこ?」
「ちょ……東流、東流……それ、こわいだろ。康史のソレは病みすぎだろ?こわくねえのか」
「俺はヤスを、殺せねえし。別にそんなのは怖くねえぞ」
「…………康史…………オマエは、マジでいかれてるだろ…………」
オレを責めるような目で見るが、正直なにが東流に響くかオレでさえ皆目わからない。
「病むとかよくわからんが、俺がいうサヨナラは、康史にとって、俺が康史を殺すのと同じくらいの衝撃だってことだろ……」
「まあ、間違いじゃねえな」
「俺の最優先事項はさ、ヤスを傷つけたくないってことだからさ」
誠士は、わかったと頷く。
こいつとは中学からつきあっているが、あまり裏表がなく、オレらのことも理解してくれて付き合いやすい。
コミュニケーション能力は高くて、人付き合いがうまいのに、どうしてオレらとつきあってるのかは謎である。
なんというか、東流のオカンみたいな感じだ。
「なら、ヨカッタったな。ってことは、結局独り身は俺一人かよー。このリア充たちめ」
悔しそうに拳を握る様子に、東流はぷっと吹き出す。
「ヤス、セージに女、紹介しろ」
もぐもぐと今度はおにぎりをほおばりつつ、オレに命じてくる。
本人はその気がまったくなくても、東流は命令に慣れた口調なのである。
まあ、夜はオレが命令すれば、問題はない話だよね。
「ハイハイ。それじゃあ、足治ったら合コンでもセッティングしようか」
「マジか、うれしいぜ」
誠士はへらっと笑い、機嫌よく東流にメシを食わせる。
さて、明日になったらピアス届くかな。
この調子なら、東流の体もすぐ良くなりそうだ。
オレは別の期待を胸に、誠士のもってきた弁当を食べ始めた。
コンビニで、しこたまおにぎりやパンや弁当を誠士は買ってくると、仲良くベッドで転がっているオレたちを見て、憤りを口にしつつも、ほっとしたように文句を言った。
確かに、誠士には文句を言う権利はある。あんな修羅場を見せられて、何の報告もせず、メシを買ってこいとオツカイを一言で済ませられたのである。
「あ?仲直り?…………俺、ヤスと喧嘩してねえしなあ。仲直りも何もねえだろ」
不思議そうに誠士を見返す東流の表情にぶちあたり、誠士はどの口がいうのかとばかりに呆れた顔で目を見開く。
昨日のは、確かに喧嘩ではないのだが、別れの手前の修羅場で、喧嘩よりめたタチが悪いやつだ。
不安な誠士が来てみれば、オレは骨折で動けないし、東流は熱を出しているので、ベッドから動こうとしなかった。
しかし、よっぽど腹が減っていたのか、東流は誠士がもってきた袋の中身を漁り、ベッドの上でパンを両手に持って同時に食べ始めている。
「あのなあ。喧嘩じゃねえって、別れるとか別れないとかさあ、マジの修羅場だったじゃんか」
「んー。ありゃ別れるって決めたことだったから、別に言い合うキモチもなかった。アレはただの俺の弱気が出した話で、喧嘩じゃねえよ」
両手のパンをもぐもぐ食べて飲み込み、東流は誠士に首を横に振ってふっと口元を緩める。
「…………まあ、その話はヤスは器がでけえから、別れないにした」
いろいろすっとばしすぎた東流はの説明に、なんでか誠士を納得したように頷く。
「器がでかいねえ?どんなふうにだ」
誠士もどことなく嬉しそうだ。
「………………えーとなあ、別れるなら殺してくれとか。なんか、そういうとこ?」
「ちょ……東流、東流……それ、こわいだろ。康史のソレは病みすぎだろ?こわくねえのか」
「俺はヤスを、殺せねえし。別にそんなのは怖くねえぞ」
「…………康史…………オマエは、マジでいかれてるだろ…………」
オレを責めるような目で見るが、正直なにが東流に響くかオレでさえ皆目わからない。
「病むとかよくわからんが、俺がいうサヨナラは、康史にとって、俺が康史を殺すのと同じくらいの衝撃だってことだろ……」
「まあ、間違いじゃねえな」
「俺の最優先事項はさ、ヤスを傷つけたくないってことだからさ」
誠士は、わかったと頷く。
こいつとは中学からつきあっているが、あまり裏表がなく、オレらのことも理解してくれて付き合いやすい。
コミュニケーション能力は高くて、人付き合いがうまいのに、どうしてオレらとつきあってるのかは謎である。
なんというか、東流のオカンみたいな感じだ。
「なら、ヨカッタったな。ってことは、結局独り身は俺一人かよー。このリア充たちめ」
悔しそうに拳を握る様子に、東流はぷっと吹き出す。
「ヤス、セージに女、紹介しろ」
もぐもぐと今度はおにぎりをほおばりつつ、オレに命じてくる。
本人はその気がまったくなくても、東流は命令に慣れた口調なのである。
まあ、夜はオレが命令すれば、問題はない話だよね。
「ハイハイ。それじゃあ、足治ったら合コンでもセッティングしようか」
「マジか、うれしいぜ」
誠士はへらっと笑い、機嫌よく東流にメシを食わせる。
さて、明日になったらピアス届くかな。
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オレは別の期待を胸に、誠士のもってきた弁当を食べ始めた。
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