33 / 353
夏休み編
上書きの証 →side Y
しおりを挟む
「ッ――グッ……っ……ウ、、グウウウ」
必死に悲鳴を出さないよう堪えて唸る低い声と、じりじりと皮膚を焦がす音と、独特の焦げ臭いにおいが部屋の中に微かに広がっていった。
腕で押さえつけた東流の体は強張り、奥歯を噛み締めて声を必死に耐えているのかベッドのスプリングに頭を埋め、シーツを握った手足を痙攣させている。
根性焼きよりも広い範囲、そして皮の柔らかい臀部への刺激に、痛みに我慢強い東流でさえも、流石に苦痛なのか背筋に脂汗が滲み出す。
「もう…………ちょっとだからな」
文字が刻まれていた膚はケロイド状に焦げて、痛々しく赤く腫れ上がっていく。
何度か熱しなおしたナイフを当てるたびに、海老のように背筋がびくんびくんとしなって、筋肉質な太腿が震えを刻んで全身を真っ赤に染めていく。
「っ――ッ…………ぐ…………ウウウ……ン……」
オレは漸くゆっくりとナイフを外すと、赤黒く焦げた膚に消毒液を塗りたくった。
「―――ッ……ウウ……ッ……ウウ」
傷口にしみるのか声のトーンが少しだけ高めになっていくのに、最中の声を思い出して唾を呑み込んだ。
こんな状況なのに、流石に不謹慎だが東流の表情にどうしても性癖を煽られてしまう。
むれないように大き目の絆創膏を何枚か患部に貼って、火傷のケロイドを隠す。
やっぱり痕にはなってしまうから、病院にいかせないといけないなと考えながら、荒い息を繰り返しながら横たわる東流を、いたわるように見下ろした。
しっとりと濡れた体は情事の後のように艶かしく、筋肉が浮き上がって上下する様子が、ひどく官能的に映った。
それだけで欲情が募るが、相手は熱もあるしかなり疲弊している。
「……ンっう…っ………ハァ……ハァ……」
力の抜けた体をそっと撫でてやり、仰向けに返すと濡れた目元が不安そうな様子でオレの顔を伺うように覗き込んでくる。
心細そうな視線は、今までの東流にはありえなかったもので、オレは初めて見るそれに、逆に興奮していた。
「……やべえな……。不謹慎だけどさ、トールのうめき声聴いたら勃っちまった」
「ぶっ………ホント……ヤスは変態だよなァ。そうだな……イイぜ、ヤろうぜ」
冗談ぽく呟いたオレの言葉に、東流はやっとどこか安堵したように目に光を取り戻し、口元にもいつもの笑みを見せて、オレを誘った。
どこか頼りなげだったのも、いままでにはない反応である。
そうは言っても、こんな状態の東流をどうこうしたら、流石に非人道的だ。
「おい……いくらオレでも、怪我人に手はださないぞ。それにオレもまだ怪我人だしうまく動けないよ」
東流の言葉に誘惑されたい気持ちを振り切り、驚きに目を見開いて、ぶんぶんと首を横に振る。
勃起してしまったのは本当だったが、性的暴行を受けたばかりで、疲れきっている相手に、自分の欲を遂げるのはあまりにも自分勝手すぎる。
もちろん、ヤリたい気持ちは十二分にはあった。
自分のモノだと、焼きごてだけでなくその身体の奥にマーキングしたい。
だがオレの足も折れているので、いつものように動くことも難しいというのもある。
据え膳食わぬは男の恥ではあるが、少しでも相手を思いやりたいと、思っていた。
必死に悲鳴を出さないよう堪えて唸る低い声と、じりじりと皮膚を焦がす音と、独特の焦げ臭いにおいが部屋の中に微かに広がっていった。
腕で押さえつけた東流の体は強張り、奥歯を噛み締めて声を必死に耐えているのかベッドのスプリングに頭を埋め、シーツを握った手足を痙攣させている。
根性焼きよりも広い範囲、そして皮の柔らかい臀部への刺激に、痛みに我慢強い東流でさえも、流石に苦痛なのか背筋に脂汗が滲み出す。
「もう…………ちょっとだからな」
文字が刻まれていた膚はケロイド状に焦げて、痛々しく赤く腫れ上がっていく。
何度か熱しなおしたナイフを当てるたびに、海老のように背筋がびくんびくんとしなって、筋肉質な太腿が震えを刻んで全身を真っ赤に染めていく。
「っ――ッ…………ぐ…………ウウウ……ン……」
オレは漸くゆっくりとナイフを外すと、赤黒く焦げた膚に消毒液を塗りたくった。
「―――ッ……ウウ……ッ……ウウ」
傷口にしみるのか声のトーンが少しだけ高めになっていくのに、最中の声を思い出して唾を呑み込んだ。
こんな状況なのに、流石に不謹慎だが東流の表情にどうしても性癖を煽られてしまう。
むれないように大き目の絆創膏を何枚か患部に貼って、火傷のケロイドを隠す。
やっぱり痕にはなってしまうから、病院にいかせないといけないなと考えながら、荒い息を繰り返しながら横たわる東流を、いたわるように見下ろした。
しっとりと濡れた体は情事の後のように艶かしく、筋肉が浮き上がって上下する様子が、ひどく官能的に映った。
それだけで欲情が募るが、相手は熱もあるしかなり疲弊している。
「……ンっう…っ………ハァ……ハァ……」
力の抜けた体をそっと撫でてやり、仰向けに返すと濡れた目元が不安そうな様子でオレの顔を伺うように覗き込んでくる。
心細そうな視線は、今までの東流にはありえなかったもので、オレは初めて見るそれに、逆に興奮していた。
「……やべえな……。不謹慎だけどさ、トールのうめき声聴いたら勃っちまった」
「ぶっ………ホント……ヤスは変態だよなァ。そうだな……イイぜ、ヤろうぜ」
冗談ぽく呟いたオレの言葉に、東流はやっとどこか安堵したように目に光を取り戻し、口元にもいつもの笑みを見せて、オレを誘った。
どこか頼りなげだったのも、いままでにはない反応である。
そうは言っても、こんな状態の東流をどうこうしたら、流石に非人道的だ。
「おい……いくらオレでも、怪我人に手はださないぞ。それにオレもまだ怪我人だしうまく動けないよ」
東流の言葉に誘惑されたい気持ちを振り切り、驚きに目を見開いて、ぶんぶんと首を横に振る。
勃起してしまったのは本当だったが、性的暴行を受けたばかりで、疲れきっている相手に、自分の欲を遂げるのはあまりにも自分勝手すぎる。
もちろん、ヤリたい気持ちは十二分にはあった。
自分のモノだと、焼きごてだけでなくその身体の奥にマーキングしたい。
だがオレの足も折れているので、いつものように動くことも難しいというのもある。
据え膳食わぬは男の恥ではあるが、少しでも相手を思いやりたいと、思っていた。
0
お気に入りに追加
360
あなたにおすすめの小説

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる