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第二話 イザリス砦に棲む獣

プロローグ 無情な数え歌★

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 一つ二つ
 三つ四つ
 五つ、六つ七つ
 八つ九つ、そして十

 初めて、指折り数えたのはいつの頃からだったろうか。
 両の手の指、足の指では大きく足りず、数字を用いて記す記録。
 十は、百、至り千から万の先へ。
 うらやみ、願い、努力しても届かぬ差は、じわりじわりと割れ目を増す。

 数え初めて幾星霜
 多大を得、少なきに失する
 だが、その心未だ満たされず
 かの欲は底なしの沼のようである

 決して満たされなどしない
 欲しているのはギフト、所謂一つの才能というものだからだ
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