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2.戸惑い ナギ視点
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タイキくんは教室ではいつも通りで、周りの取り巻きも相変わらずベタベタとタイキくんの腕とか背中に触れたりしてる。
あの人たちのことも抱いたのかな?
きっと僕みたいに空き教室で無理矢理って感じじゃなくて、ベッドとかで優しく抱いたんだろう。あんなに綺麗な子とか格好いい子たちに囲まれてるのに、選り取り見取りなのに、何で僕に無理矢理したのか分からない。
よっぽど僕のことが嫌いで、痛めつけたいくらいムカついたのかと思ったけど、じゃあ毎日のように繰り返されるハグとキスは何なんだろう?
「やめろ、キモい。」
タイキくんの声が聞こえてチラッと横目で見ると、胸が大きい女の子がタイキくんにキスしようとして凄い怖い顔で睨まれてた。
「何よ。キスくらいいいじゃん。」
女の子は怒って教室を出て行った。
人前が嫌なのか、それともあの子が嫌だったのかは分からないけど、『キモい』は傷つくんじゃないかな?
それでも、タイキくんが僕が見てるところで誰かとキスしなくて、ホッとした。
え?ホッと?なんで?タイキくんが誰とキスしても関係ないじゃん。
たぶん僕へのキスは揶揄ってるだけだと思う。
またいつものように昼に空き教室に呼び出されて抱きしめられてキスをすると、今日はちょっと違った。
「じゃあな。帰りは迎えに行けねぇから。1人で帰れるか?」
「え?あ、うん。大丈夫。」
「そうか。」
「うん。」
久々に帰りは1人だった。いつも1人だったし別に平気。
今日は母親から頼まれている、卵と牛乳を買って帰る。
だいたい食材は母親が仕事帰りに買ってくるんだけど、タイムセールがあったりすると僕が代わりに買って帰ることもある。
僕は急いでスーパーに向かうと、卵と牛乳だけ買って、袋に入れてスーパーを出た。
あれ?タイキくんだ。
タイキくんの後ろ姿が見えた。あの後ろ髪を少し跳ね上げた感じは間違いない。
そして隣には年上の綺麗な女の人がいて、タイキくんに腕を絡めている。
凄い。あんな大人の人と恋人なんてタイキくん大人なんだな。
僕なんかは子供っぽくて、大人の女の人から見たら子供って感じで恋愛対象になんかならないから、素直に凄いと思った。
角を曲がった時に、タイキくんがこっちをチラッと見て目が合った気がした。
目を見開いて、女のひとの腕を振り解いてこっちに走ってくる。
何?もしかして見ちゃダメだった?内緒の恋ってやつ?
怖い。なんか怒ってる感じだし。
僕は恐ろしくなって、逃げた。
必死に走ったけど、僕の足の長さじゃタイキくんの長い足で走る速さには敵わなくて、腕を掴まれた。
「何で逃げんだよ!」
「ご、ごめんなさい。誰にも言わないから。」
「はぁ?」
「あの綺麗な女の人が恋人だって誰にも言わないから。安心して。それに僕、友達とかいないし誰にも言う人なんていないし。」
「勘違いすんなよ!もういい!」
「あ・・・。」
なぜか分からないけど怒られてタイキくんはそのまま去っていった。
何で怒ったの?誰にも言わないって言ったのに。何が気に入らなかったのか、全然分からなかった。
仕方なく、僕は息を整えながらトボトボと歩いて帰った。
走ったけど卵、割れてなくてよかった。
夜、寝る頃になると、タイキくんからメッセージが届いた。
『ごめん』
??何に対して謝ってるのか全然分からない。
何て返しても怒られそうな気がして、僕は何も返せず、そのまましばらくスマホの画面を眺めて、そしてそのまま寝落ちした。
朝起きて家を出ると、いつも通りタイキくんが待ってた。
「よお。」
「おはようタイキくん。」
「なんで何の反応もないんだよ。」
「え?」
「昨日の夜のメッセ。」
「あ、ごめん。何て返せばいいのか分からなくて、そのまま寝ちゃった。」
「そうか。怒ってるのかと思った。」
「え?なんで?」
僕がタイキくんに怒ることなんてある?
特に無いけど。腕を掴んだ時ちょっと痛かったからそれかな?
「いや、いい。嫌われてないならいい。」
「??嫌う?なんで?」
「昨日のあいつ、従姉妹だから。別に何もねーから。」
「あ、うん。そうなんだ。」
そっか。彼女ではないんだ。別に僕に説明してくれなくてもいいんだけど。やっぱり僕が誰かに言うと思ってるのかな?
「だから、その、心配いらないから。」
「あ、うん。」
心配?何の?分からない。
僕にとってタイキくんは教室の中にいるキラキラアイドルみたいで、僕はその他大勢の中の1人だし、特に関わりはなかったと思うんだけど、呼び出して犯された時から、なぜか距離が近くなった。
僕を取り巻きの中に入れたいってわけでもなさそうなのに、なぜ?
僕の顔面偏差値であのキラキラな取り巻きの中に入るなんて無理だけど。
校門まで一緒に行くと、じゃあなって言って1人で歩いていく。
朝迎えに来てくれるのもよく分からないな。
あれかな、犯したせいで2日も学校休んだから悪いと思ってるのかも。
「なぁ、」
「え?僕?」
突然誰かに声をかけられて、驚いて振り向くと、タイキくんの取り巻きのうちの1人のイケメンが立ってた。
「お前、さっきタイキと一緒にいなかった?」
「あ、うん。」
「何で?」
「えっと、何でって言われても分からない。たぶんタイキくんの気まぐれかな?」
昨日従姉妹と一緒にいるところを見ちゃったから、それを説明するためなんだと思うけど、何となく言わない方がいい気がした。
「まぁ、そうだろうな。お前だもんな。取り巻きにすら加われねぇ奴に手なんか出すわけねぇか。」
「うん。そうだよ。僕があのキラキラな人たちの中に入るなんて恐れ多いです。」
「だよな。一度話したくらいで調子に乗んなよ?」
「調子に乗るなんてそんな、無いです、無いです。僕はいつも通り教室の隅で大人しくしてます。」
「それでいい。」
僕はブンブンと頭と手を振って全力で否定したけど、大丈夫だよね?分かってくれるよね?
怖い。タイキくんも怖いけど、周りの人も怖かった・・・。僕は教室の隅で大人しくしてるから、もうホント関わらないで。虐められたくないし。他の人にも無理矢理犯されるとか本当に嫌だし。
あの人たちのことも抱いたのかな?
きっと僕みたいに空き教室で無理矢理って感じじゃなくて、ベッドとかで優しく抱いたんだろう。あんなに綺麗な子とか格好いい子たちに囲まれてるのに、選り取り見取りなのに、何で僕に無理矢理したのか分からない。
よっぽど僕のことが嫌いで、痛めつけたいくらいムカついたのかと思ったけど、じゃあ毎日のように繰り返されるハグとキスは何なんだろう?
「やめろ、キモい。」
タイキくんの声が聞こえてチラッと横目で見ると、胸が大きい女の子がタイキくんにキスしようとして凄い怖い顔で睨まれてた。
「何よ。キスくらいいいじゃん。」
女の子は怒って教室を出て行った。
人前が嫌なのか、それともあの子が嫌だったのかは分からないけど、『キモい』は傷つくんじゃないかな?
それでも、タイキくんが僕が見てるところで誰かとキスしなくて、ホッとした。
え?ホッと?なんで?タイキくんが誰とキスしても関係ないじゃん。
たぶん僕へのキスは揶揄ってるだけだと思う。
またいつものように昼に空き教室に呼び出されて抱きしめられてキスをすると、今日はちょっと違った。
「じゃあな。帰りは迎えに行けねぇから。1人で帰れるか?」
「え?あ、うん。大丈夫。」
「そうか。」
「うん。」
久々に帰りは1人だった。いつも1人だったし別に平気。
今日は母親から頼まれている、卵と牛乳を買って帰る。
だいたい食材は母親が仕事帰りに買ってくるんだけど、タイムセールがあったりすると僕が代わりに買って帰ることもある。
僕は急いでスーパーに向かうと、卵と牛乳だけ買って、袋に入れてスーパーを出た。
あれ?タイキくんだ。
タイキくんの後ろ姿が見えた。あの後ろ髪を少し跳ね上げた感じは間違いない。
そして隣には年上の綺麗な女の人がいて、タイキくんに腕を絡めている。
凄い。あんな大人の人と恋人なんてタイキくん大人なんだな。
僕なんかは子供っぽくて、大人の女の人から見たら子供って感じで恋愛対象になんかならないから、素直に凄いと思った。
角を曲がった時に、タイキくんがこっちをチラッと見て目が合った気がした。
目を見開いて、女のひとの腕を振り解いてこっちに走ってくる。
何?もしかして見ちゃダメだった?内緒の恋ってやつ?
怖い。なんか怒ってる感じだし。
僕は恐ろしくなって、逃げた。
必死に走ったけど、僕の足の長さじゃタイキくんの長い足で走る速さには敵わなくて、腕を掴まれた。
「何で逃げんだよ!」
「ご、ごめんなさい。誰にも言わないから。」
「はぁ?」
「あの綺麗な女の人が恋人だって誰にも言わないから。安心して。それに僕、友達とかいないし誰にも言う人なんていないし。」
「勘違いすんなよ!もういい!」
「あ・・・。」
なぜか分からないけど怒られてタイキくんはそのまま去っていった。
何で怒ったの?誰にも言わないって言ったのに。何が気に入らなかったのか、全然分からなかった。
仕方なく、僕は息を整えながらトボトボと歩いて帰った。
走ったけど卵、割れてなくてよかった。
夜、寝る頃になると、タイキくんからメッセージが届いた。
『ごめん』
??何に対して謝ってるのか全然分からない。
何て返しても怒られそうな気がして、僕は何も返せず、そのまましばらくスマホの画面を眺めて、そしてそのまま寝落ちした。
朝起きて家を出ると、いつも通りタイキくんが待ってた。
「よお。」
「おはようタイキくん。」
「なんで何の反応もないんだよ。」
「え?」
「昨日の夜のメッセ。」
「あ、ごめん。何て返せばいいのか分からなくて、そのまま寝ちゃった。」
「そうか。怒ってるのかと思った。」
「え?なんで?」
僕がタイキくんに怒ることなんてある?
特に無いけど。腕を掴んだ時ちょっと痛かったからそれかな?
「いや、いい。嫌われてないならいい。」
「??嫌う?なんで?」
「昨日のあいつ、従姉妹だから。別に何もねーから。」
「あ、うん。そうなんだ。」
そっか。彼女ではないんだ。別に僕に説明してくれなくてもいいんだけど。やっぱり僕が誰かに言うと思ってるのかな?
「だから、その、心配いらないから。」
「あ、うん。」
心配?何の?分からない。
僕にとってタイキくんは教室の中にいるキラキラアイドルみたいで、僕はその他大勢の中の1人だし、特に関わりはなかったと思うんだけど、呼び出して犯された時から、なぜか距離が近くなった。
僕を取り巻きの中に入れたいってわけでもなさそうなのに、なぜ?
僕の顔面偏差値であのキラキラな取り巻きの中に入るなんて無理だけど。
校門まで一緒に行くと、じゃあなって言って1人で歩いていく。
朝迎えに来てくれるのもよく分からないな。
あれかな、犯したせいで2日も学校休んだから悪いと思ってるのかも。
「なぁ、」
「え?僕?」
突然誰かに声をかけられて、驚いて振り向くと、タイキくんの取り巻きのうちの1人のイケメンが立ってた。
「お前、さっきタイキと一緒にいなかった?」
「あ、うん。」
「何で?」
「えっと、何でって言われても分からない。たぶんタイキくんの気まぐれかな?」
昨日従姉妹と一緒にいるところを見ちゃったから、それを説明するためなんだと思うけど、何となく言わない方がいい気がした。
「まぁ、そうだろうな。お前だもんな。取り巻きにすら加われねぇ奴に手なんか出すわけねぇか。」
「うん。そうだよ。僕があのキラキラな人たちの中に入るなんて恐れ多いです。」
「だよな。一度話したくらいで調子に乗んなよ?」
「調子に乗るなんてそんな、無いです、無いです。僕はいつも通り教室の隅で大人しくしてます。」
「それでいい。」
僕はブンブンと頭と手を振って全力で否定したけど、大丈夫だよね?分かってくれるよね?
怖い。タイキくんも怖いけど、周りの人も怖かった・・・。僕は教室の隅で大人しくしてるから、もうホント関わらないで。虐められたくないし。他の人にも無理矢理犯されるとか本当に嫌だし。
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