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告白
しおりを挟む「コハク。ありがとう。コハクからのキスは治療だろ? ごめん。俺、勘違いした。
コハクも俺のこと好きなのかと」
「え?」
「ごめん」
「……す、好き、です」
「ん? 俺の聞き間違い?」
「ギンロウ様のこと好きです」
「本当!?」
ギンロウ様は治癒が終わったばかりだというのに、勢いよく起き上がった。
そして私をジッと熱い眼差しで見つめて、そして戸惑う私を抱きしめた。
「ギンロウ様、ごめんなさい」
「どうした?」
「御守り……」
「仕方ないさ、千切れたのはショックだけど、俺の命を優先してくれたんだろ?」
「違うんです。加護が薄れてきていることに気付いてて、神気を補充しなきゃいけないことは分かってたんです。でも、触れたいって言ったら怒られると思うとなかなか言えなくて。
だから、、だから、私が勇気を出せないせいでギンロウ様がこんな大怪我して……」
「ん? 加護が薄れてるって何で分かる?」
「その御守り、私が作ったものだから……」
「本当か!?」
「はい」
「そうか。そうだったのか。あの時ゴロツキに絡まれてたのはコハクだったのか。似ているとは思っていたんだ」
「え? 覚えてるんですか?」
「覚えてる。コハクはあの頃から可愛かったからな。下駄箱に手紙と御守り置いてくれたのも、あの時の子だってことは知ってた。探したけど、見つけられなかった」
「あ……絡まれてからずっと怖くて認識阻害をかけて過ごしてたから」
「そうだったのか。俺の初恋だ。
確かにあの御守りは不思議で、俺のことを守ってくれている感じがしてたんだが、それ以上にあの子がくれたものだと思うと手放せなくて未練たらしくずっと持ってたんだ。気持ち悪いか?」
「嬉しいです。私の初恋もギンロウ様です」
「コハク、抱きたい」
「え? あ、で、でも、まだギンロウ様は怪我が……」
「何? 嫌なの? それと、その『様』ってのやめて。ギンロウでいい」
「うぅ、嫌、じゃな、い、ギ、ギンロウ、、」
「何なの? 何でそんなに可愛いの?
もうずっと我慢してたんだからな。たまに勝手に額や頬にはキスしたけど」
寝惚けて誰かと間違えてたわけではなかったのか。
「キス、してほしい、、です」
「いいぞ。俺もキスしたかった。キスだけで止めてやることはできねぇけどな」
「私、その、、経験がなくて」
「そうか。ゆっくり慣らすから大丈夫だ」
そう言うとギンロウ様は横抱きにして触れるだけのキスを何度もしながら寝室へ向かった。
「じ、浄化、使っていいですか? 汚いから……」
「いいが。あぁ、汚いって俺のことか。確かに血まみれで汚いな。じゃあ一緒に風呂入るぞ」
「あ、えっと……」
どうしていいか分からずに呆然としていると、ギンロウ様は私の着衣を剥ぎ取り、自分の切り刻まれた着衣もポイっと捨てて私を抱き上げて風呂に入った。
いつ帰ってきてもいいように湯を溜めてたけど、まさか一緒に入るなんて。
「ダメだ、やっぱり別々で入ったほうが良かったかもしれん」
「あ、すみません。私の体がみっともなくて見ていられませんよね……」
ギンロウ様みたいに綺麗に腹筋が割れているわけでも、胸板が厚いわけでもない。太ってはいないが筋肉質でもない。
逞しく美しいギンロウ様の体に比べてかなり貧相で落ち込む……
「違う。可愛くて今すぐに抱きたくなるからだ」
「抱き……」
やっぱりちょっと怖いかも……。
嬉しいけど怖い。
「コハク、可愛い。なんで目がうるうるなんだ? 顔も紅潮しているし」
「な、何でもないです」
私は全身をしっかり洗って、浄化もかけて、ギンロウ様を置いてサッと風呂を出た。
展開早すぎるよ。
死にそうになって帰ってきたと思ったら、初恋とか……。私もギンロウ様のこと好きだが、ずっと昔から、あの頃から好きだが……
抱くってそういうことだよな?
不安だ。
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