【完結】家も家族もなくし婚約者にも捨てられた僕だけど、隣国の宰相を助けたら囲われて大切にされています。

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51.幸せな時間

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 結婚式まであと三ヶ月。
 仕事は覚えることがたくさんあるけど楽しい。たまにステファノから届く手紙でも、領地経営はセバスのサポートもあって上手くいっているらしい。

 相変わらずメレディス様は僕に優しいし、仲良しだし幸せ。


「レスター、おいで」
「はい」

 僕が庭園のガゼボのベンチに座るメレディス様の膝の上に向き合って座ると、メレディス様は微笑んでギュッと抱きしめてくれる。

「レスターの髪、少しカールしていて美しいな」
「僕はメレディス様みたいにサラサラの真っ直ぐな髪に憧れます」
「そうか。じゃあお互い無い物ねだりなんだな」
「ふふふ、そうかも」

 僕にとってはメレディス様の全てが憧れ。
 綺麗な銀糸のような髪ももちろん憧れだし、そのサファイアみたいに吸い込まれそうな綺麗な青い瞳も憧れ。
 僕に触れる長い指も柔らかい唇も好き。

 僕はベンチの横に手を伸ばしてジャムがサンドされたクッキーを1枚掴んだ。

「メレディス様、あーんして下さい」
「ん? レスターが食べさせてくれるのかい?」
「はい。嫌ですか?」
「嫌なわけないだろう? 嬉しいよ」

 そう言ってメレディス様はあーんと口を開けてくれたから、僕はメレディス様の口にクッキーを半分くらい入れた。
 サクッと音を立ててメレディス様がクッキーを齧ると、サンドされていたジャムが押し出されて僕の手にべっとり付いてしまった。だから僕は慌ててメレディス様が半分齧ったクッキーの残りを口に入れて、はしたないかもしれないけどジャムのついた自分の指を舐めようとしたんだ。
 だけどその手はメレディス様に奪われてメレディス様の口に入った。

「メレディス様、それはクッキーじゃないから食べられませんよ」
「知ってるよ。甘くて可愛いレスターの指」

 メレディス様はジャムを舐め取って、もうジャムは無くなってるのに、チュッ、チュッって音を立ててキスしたり舐めたりしてる。擽ったいけど気持ちよくて、そんなことされたら少し変な気持ちになってしまう。


「ふふふ、レスター、美味しかったよ」

 舐めていた僕の指を解放してくれたメレディス様は悪戯が成功した子どもみたいに笑うから、絶対わざと僕の反応を見て楽しんでたんだと思った。

「僕を揶揄ったのですか?」
「うーん、揶揄ったのとは少し違うかな。甘くて美味しかったのは本当。レスターが可愛くてたまらなくて、いつでも欲しくてたまらなくて、レスターが愛しい」
「僕も、いつでもメレディス様のことが愛しいです」

 メレディス様が甘い。きっとジャムサンドクッキーより甘いよ。


「結婚したらお揃いのバングルを着けたいんだが嫌か?」
「お揃い? 嬉しいです。お揃いって初めてですね」
「そうだな。サファイアとエメラルドを両方あしらったものにしようと思うんだがどうだろう?」
「僕の目とメレディス様の目の色ですか?」
「そうだよ」
「素敵だと思います」

 お互いの目の色の小物を身に着けるのはよくあることだけど、両方ってのは思い付かなかった。
 しかもお揃いなんだ。嬉しい。着けるの楽しみだな。

「レスター、大好きだよ」
「僕も、メレディス様が大好きです」


 メレディス様はいつも僕に好きだと言って微笑んでくれる。抱きしめてキスをしてくれる。
 僕はメレディス様だけを愛する。きっとずっとこれからも変わらずメレディス様だけを愛する。
 メレディス様は、いつか側室とか持つんだろうか?
 自分の血を分けた世継ぎを残したいだろうか?

「どうした?」
「メレディス様は、結婚相手が僕でいいんですか?」
「そんなことを聞いてどうしたんだ? 私はレスターがいいんだ。他の誰でもなくレスターがいい」
「あの……側室とか、世継ぎとか……」
「側室は要らない。世継ぎは親戚から養子を取ればいい。宰相を継げるような優秀な者が見つかれば親戚でなくてもいいが。
 レスターはそんなことを心配していたのか? 可愛いな。私はレスターだけだ」
「そっか。僕もメレディス様だけです」

 メレディス様は僕をギュッと抱きしめて、髪を撫でてくれた。

「心配するな。私はレスターだけのものだ。レスターも私だけのものでいてほしい」
「はい。もちろんです」

 またメレディス様は僕の服の中に手を滑り込ませて背中を直に撫でている。
 ゾクゾクして、その優しい手の動きが気持ちよくて力が抜けて、はぁーっと吐息が漏れてしまう。
 さっきメレディス様が僕の指を官能的に舐めたりするから、余計気持ちよくて変な気分になってきた。


「レスターは可愛いな」
「メレディス様、好き」
「部屋に戻るか?」
「うん。キス、したい」
「いいよ。部屋に戻ったらたくさんしよう」

 メレディス様はそのまま僕を抱っこして部屋まで歩いていった。

「みんなに見られて恥ずかしい……。僕もう大人なのに」
「大丈夫だ。家の者しか見てない」
「うん」


 部屋に入ると、メレディス様はたくさんキスしてくれた。

「メレディス様、キスだけじゃ……足りないです」
「私も足りない。夜まで待てるか?」
「……待てない、です」
「ふふふ、レスターは素直で本当に可愛いな。私も待てないと思っていたところだ」

 まだ外は明るいのに、こんな昼間からいいのかな? と思いながら僕はメレディス様と愛し合った。

 僕は幸せすぎて、このまま溶けてしまうかもしれない。

 
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