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30.愛し合いたい(メレディス視点)2/2

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「んふぅ……んん……うしろからもきもちいぃけど、めれりすさまの顔、みたい……さみしぃ……」

 可愛いな。いつも遠慮しているが、抱いている時はちゃんとして欲しいことが言えるんだな。可愛い。もっと言って。

 レスターを仰向けにすると、レスターは枕をギュッと抱きしめたままだった。
 また私を嫉妬させる気か?


「レスター、抱きしめるなら私にしなさい」
「はい」

 レスターは私の言葉に枕を放し、嬉しそに微笑んで手を広げた。
 私が覆い被さるように身を預けると、ギュッと抱きついてきて胸が重なった。
 あぁ、気持ちいい。レスターの吸い付くような肌質と汗をかいて冷んやりした肌の表面温度が、私の熱に浮かされたように昂った気持ちを少し落ち着けてくれた。


「レスター、好きだよ。愛してるよ。久しぶりに会えてレスターを求める気持ちが止められなかった。余裕がなくて、優しくできなくてごめん」

 レスターが抱きしめた枕にまで嫉妬してしまうほど、私は余裕がなくなっていた。
 まだ慣れていないレスターを後ろから激しく求めてしまったことを反省した。


「嬉しい。僕に夢中になってくれるの。余裕がないってそういうことでしょう? 嬉しいです。僕もメレディス様のこと大好きで愛してます。僕のこといっぱい求めて?」

 それなのにレスターは啼きすぎて掠れた声で、私の落ち着いてきた気持ちを再燃させるようなことを言うんだ。
 本当に敵わないな。



「レスター、前も扱いてやるから一緒にイクよ」
「はい」

 ゆるく抽挿を繰り返していた腰の動きを速めていった。


「あっ、あっ、あっ……もぅ、出ちゃう……出ちゃう……めれりすさま……きて、きて、おくにきてぇ……ぁぁあああ……」
「イクよ……レスター、イクよ……んんん……」

 レスターの奥に私の種を吐き出すと、レスターの中がギュウギュウと私を締め付けて最後の一滴まで絞り取られる感じがした。
 レスターの中からズルリと抜け出すと、レスターの後孔はヒクヒクとしながら私の種をトロトロと溢れさせる。


「浄化をかけてやろう」
「はい。え? メレディス様も浄化使えるんですか?」
「一応ね。あまり得意ではないが」
「そうなんだ」

 私は自分の体とレスターの体に浄化をかけると、レスターを抱きしめた。
 あぁ、幸せだ。レスターが私の腕の中にいる。



「レスター、そう言えばあの襲ってきた奴が騎士に連行されたあと、笑っていたな。何がそんなに可笑しかったんだ?」
「あれ、僕の元婚約者だったんです。
 僕を簡単に捨てたくせに、僕が彼を好きだとか勘違いして抱くと言い出したり、僕が悪事を公にしたから彼の家は火の車だとか文句を言ってきて、それなのに騎士に連れて行かれたのが喜劇みたいで。ふふふ」
「好きだったのか?」
「いいえ全く。僕、メレディス様のことを好きになって気付いたんです。彼のこと好きじゃなかったんだなって。
 あんなことがある前は嫌いではなかったですよ。でも、僕にはこの世で一番格好いいメレディス様がいるから、あんなのと結婚しなくてよかったです」

 この世で一番格好いいか、彼の目に私はそんな風に映っているのか。
 余裕がない私を見せてしまったのに、まだそんな風に思ってくれるんだな。


「レスター、何が起きてもずっと一緒にいような」
「はい」

「レスター、体は大丈夫か?」
「え?」
「私が激しく求めてしまったから……」
「ちょっと腰が痛いけど、魔法陣をベッドに貼って寝るから大丈夫です。
 あ、魔法陣……屋敷だ……」
「取って来させよう」
「え? こんな夜に申し訳ないですよ。僕は我慢できるから大丈夫です」
「ダメだ」

 すぐに私は彼の屋敷に人を向かわせた。

「屋敷には護衛のベックとジェフがいるから、2人に聞けば部屋は分かると思います」
「分かった」


 私の胸に擦り寄ってくるレスターを抱きしめて髪を撫でる。

「1人で頑張ったな。偉かったな」
「はい。頑張りました。メレディス様の隣に立ちたいから。まだまだだと思いますが、少しは近付けましたか?」
「何を言ってるんだ。私の隣に立つのはレスターしかいない。レスター以外は考えられない」
「そっか。嬉しいです」

 レスターはそんなことを考えていたのか。
 大変なこともあっただろうに、本当に1人でよく頑張った。この国の王はそれをきっちり評価して答えを出せる人物だろうか?
 明日には返答がくることになっているが……まぁ、あれだけ脅しておけばNOとは言えないだろう。
 あとは他の貴族をしっかり抑えられるかというところだな。
 その辺は各地に広めた噂で民衆が後押ししてくれることだろう。

 屋敷へ向かわせた者が戻ってくると、レスターが治癒と回復の魔法陣を選んで、私がベッドに貼り付けた。


「明日も忙しくなる。ゆっくり休もう」
「はい」
「レスター、おやすみ」
「おやすみなさい、メレディス様」

 レスターの額に口付けをしてギュッと抱きしめて眠る。
 やっぱりレスターがいるとよく眠れるようだ。
 移動の疲れと、王に威圧を放った疲れと、レスターと愛し合った心地よい疲労感と満足感と安心感の中で私は眠りについた。

 
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