【完結】家も家族もなくし婚約者にも捨てられた僕だけど、隣国の宰相を助けたら囲われて大切にされています。

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7.キスとお話し

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 それから1年近く経つと、やはりこのままここに置いてもらうのは申し訳ないと思うようになった。
 誰も頼れる人がいないから、不安ではあるけど、いつまでもメレディス様に甘えているわけにはいかない。
 仕事を見つけて、自分で稼いで、そして家を借りて……大人はそれをやってるんだから、僕にもきっとできる。
 だから僕はメレディス様と一緒に眠る日に話を切り出した。


「メレディス様、僕はこれ以上メレディス様に甘え続けることはできません。仕事を探して、ちゃんと自分で稼げるようになったら出て行こうと思います」
「君はまだ未成年なんだから、そんなことを考えなくていいんだよ」
「あと半年もすれば17歳の成人を迎えます。もう僕は1人でも大丈夫。メレディス様には本当に感謝しています。このご恩は必ず返しにくると約束します」
「ふぅ。レスター、君はまだ大人がどれだけ汚いか、君が1人で外に出ることがどれだけ危険なことなのか分っていない。
 明日、教えてあげよう」
「危険? はい」


 その夜、メレディス様は寝る前に、僕の唇にキスをした。今までそんなことは一度もなかったから驚いたけど、学園長にされた時と違って気持ち悪いとか嫌だとかは思わなかった。

 触れた唇は柔らかくて、ふわっとしていて、気持ちいいと思ったら、恥ずかしくなって顔が熱くなった。

「レスター可愛い」



 メレディス様が微笑んで抱きしめてくれることが、すごく幸せだと思った。
 でも僕は平民。身寄りもない。だからいつまでもメレディス様の側にいることはできない。
 せめて、メレディス様に何かできることがあればと思ったけど、何もできることが思い浮かばなかった。


 翌日、メレディス様は僕たちが会った日に少し話した閨事の話をしてくれた。
 男娼という仕事の人が、身を売るということがどのようなことなのかも教えてくれて、学園長が僕にしようとしたことも教えてくれた。

 知らなかった。愛していなくても、結婚していなくても、快楽を得るために誰かと裸で淫らで少し悍ましい行為をするなんて。
 とても怖いと思った。メレディス様が僕が1人で外に出たら危険だと言った意味も知った。


「怖いです。その……お尻にそんなものを入れたりして死んでしまうことはないのですか?」
「死んでしまうことはないけど、やり方によっては痛いし、裂けて血が出たりする。
 でもね、怖いだけではないんだよ。愛する者同士で行うのは、とても幸せで気持ちいいものなんだ」

「……そう、なんですね。キスみたいに?」
「ふふふ、レスターはキスが気持ちよかったの?」
「あ……」


 僕は変なことを口走ってしまい、しまったと思った。
 僕は悍ましく淫らな人間かもしれないと思ったら、自分が怖くなった。
 メレディス様もこんな僕は嫌だろう。嫌われてすぐに屋敷から出されるかもしれない。
 そうしたら僕はどうなってしまうんだろう?


「私もレスターとのキスは気持ちよかったよ。幸せだった」
「そうなんですか?」

 僕は少しホッとした。メレディス様は悍ましく淫らな人ではないと思うし、メレディス様がそう言うなら、大丈夫なんだと思った。



「レスター、そんなに安心してはいけないよ」
「え?」
「私も男だから、欲望はある。無理矢理襲ったりはしないが、抱きたくないわけではないからな」
「僕を、ですか?」
「そうだ。私が怖いか?」
「怖くはないです」

 そうなんだ。欲望を持つことはおかしいことじゃないんだ。メレディス様でも欲望はあるんだ。
 抱きたくないわけではないって、抱きたいってことだよね?それはさっき説明してくれた行為を僕としたいってことなんだろうか?
 いつも優しく抱きしめて寝てくれるから、メレディス様に触れられることは怖いとは思わない。不安ではあるけど。

 僕は、メレディス様の希望に応えて、メレディス様に抱かれるべきなんだろうか?
 愛する者同士だったら幸せで気持ちいいって言ってた。メレディス様は僕のことを愛しているわけはないけど、愛してなくても気持ちいいからしたいのかな?
 僕の体を差し出すことがメレディス様のためにできることなら、するべきなのかもしれない。


「メレディス様、僕のこと抱きたいなら、抱いていいですよ」
「こら」

 僕の頭に、全然痛くない拳骨が落ちてきた。

「レスター、もっと自分の体を大切にしなさい。そんなに簡単に体を差し出してはいけない」
「ごめんなさい」
「私も悪かった。変なことを言って。私でもそう思うんだから、大人なんて簡単に信用してはいけない。
 レスターは美しいから狙われやすい。気をつけなさい」
「はい」

 その後は、メレディス様と一緒に庭が見えるサロンでお茶をしながら最近読んだ本の話をしたり、街で流行っているものを教えてもらったりして、休日を満喫した。

 
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